岡田将生が語る『ゆとり』の魅力「読み物としてちょっと別格」

2023.10.15 20:30

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』主演の岡田将生(左)と水田伸生監督

(写真7枚)

◆「すいすい書けるんです、天才ですよね」(監督)

──『謝罪の王様』もそうでしたが、本作も、なかなか直接的には触れられないことをコメディに落とし込んで成立させているのがすごいと思いました。

監督「『謝罪の王様』は、ジャンルとして風刺喜劇をやろうと言ってスタートしたんです。宮藤さんが『風刺喜劇って何ですか?』と言うので、戦争にまっしぐらに進もうとする陸軍、海軍がいた頃に、それに対して戦争反対と声を荒げることなく、喜劇で『それは間違っていませんか?』と問いかける作品を、伊丹十三さんのお父さん、伊丹万作さんや市川崑監督がお作りになっていて。それを例題にして説明したら『わかった』と言って、すいすい書けるんです。天才ですよね」

大阪の舞台挨拶にて、「ゆとりポーズ」で撮影した岡田将生(左)と水田伸生監督(10月4日・大阪市内)

──今回の脚本を読んで、ドラマのときとの違いを感じた部分はありましたか?

監督「やはりコロナを挟んだことですね。コロナ禍もあって、宮藤さんが脚本を書き直してくださったんですが、宮藤さんの見てるものがコロナ前後で変化したように感じました。コロナ以前は、まるで窓の外の景色のように過ぎ去っていく今の問題を、宮藤さんが足を止めてすごく具体的にして、さらに、自分の問題として考えられるように。それを全部今回の映画のなかに入れてくださってますよね。本当にすごいと思います」

岡田「コロナになってリモート会議が出てきて、接続の問題が起こって、それが笑いになる。そんな風に転換しているのがすごく面白いと思いました。やるまではどうなるんだろう? と思っていましたが、実際にやっていくうちに『これは面白くなる』と確信に変わっていきました。宮藤さんのああいうところは本当にすごいと思います。撮影は、本当に大変でしたけど(笑)」

──岡田さんは、主人公・坂間正和を演じる上でなにか意識されてますか?

岡田「先ほど監督がおっしゃったように、相手あってこその正和だと思っています。サクラさん演じる妻や友人の山路(松坂)とまりぶ(柳楽)がいて、みなさんの反応で正和はできあがっていったキャラクターなので。第1話のレンタルおじさんとのシーンで、吉田鋼太郎さんのお芝居を見て、そうか、こういう感じか、じゃあ僕も、と少しずつ輪郭がはっきりしてきたのが正和なので、こうしてああしてというのはないんです」

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』のワンシーン ©2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

──頭で考えて演じていないということでしょうか。

岡田「そうですね。その場で起きていることに対して自然にリアクションしています」

──舞台の感覚に近いのでしょうか。

岡田「演劇に近いですね。撮り方も長回しですし。だから、計算して演じようというのがまったくなくて。今までの僕のお芝居の作り方が間違っていたんだと気づかされました。考えながら演じることに限界を感じてしまって。20代前半の僕の技量ではそこに辿りつけていなかったので、それをこの現場で教えてもらいました。みんなで必死に作ったからこそ、忘れられない大切な作品になったんだと思います」

監督「みんな稽古熱心で。サクラちゃん含めて4人が揃うと、ずっと自主的に稽古してるんです」

岡田「前室(スタジオ手前の待ち合いスペース)もそうですし、プライベートでご飯を食べているときも台本を開いてます(笑)」

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』

2023年10月13日(金)公開
脚本:宮藤官九郎
監督:水田伸生
出演:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀、吉田鋼太郎、ほか
配給:東宝

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