アイナ・ジ・エンド「歌ではまだ『求められている』実感ない」

2023.10.12 19:00

映画『キリエのうた』主演のアイナ・ジ・エンド

(写真9枚)

◆「もう二度と同じ歌は歌えません」

──なるほど。

映画には海で歌う場面もありますが、波の音って自分が思っているよりも大きくて、本来なら小さい声で歌いたい曲だったんですけどすごく声を張らなきゃいけなかった。でも、だからこそできた表現がありました。

路上で歌う場面でも、自分では気づかなかったんですけど、街の雑踏って結構うるさくて。ほぼシャウトみたいにして歌わないと人に届けられないんです。『キリエのうた』のなかの音楽は本当に、その場、その場でしかできない表現ばかり。もう二度と同じ歌は歌えません。

BiSH時代、グループの振付を制作していたアイナ・ジ・エンド

──そんなさまざまな場所で、キリエは自分の歌で人々を惹きつけていきます。そうやって多くの人たちに求められる存在になる。アイナさんは自分の表現が「求められている」と実感する瞬間はありますか?

BiSHの活動期間はずっと曲の振付を制作していて、最初は所属事務所の社長(渡辺淳之介)に「予算が少ないから振付をやってほしい」と言われて、「えーっ!」と戸惑ったんですけど、いつしかそれが生きがいになりました。

それこそ、「自分がBiSHにいる存在価値は振付があるから」と思えるくらい。そして、自分が考えた振付をお客さんが踊ってくれる景色を見たとき、「自分は求められているんだ」と喜びになりました。「この振付は私だからできた」「やって良かった、生きていて良かった」と感じることができたんです。

──歌の面ではどうですか。

歌ではまだ、それを実感したことがないんです。ただ自分ができることって、「世界平和のために歌う」とか大きな規模ではなく、隣にいる友だちに「今日もマジでお疲れ」、「おやすみ、明日も頑張ろうね」くらいの近い距離感覚で歌いかけることなのかなって。いつか、ダンスのときみたいに歌でも「求められている」という実感を掴めるようになりたいです。

キリエ(右/アイナ・ジ・エンド)のマネージャ役を買って出る謎の女性・イッコ(広瀬すず) ©2023 Kyrie Film Band

──歌はもちろんですが、俳優としても今後、いろんな作り手から求められる存在になると思います。

そうなるとうれしいのですが、今回は岩井俊二監督だからできたところがあったんです。そしてなにより広瀬すずちゃんに引っ張ってもらって、なんとかやり抜くことができました。俳優業は今後もぜひやりたいんですけど、自信がまだ追いついていません。だから、すずちゃんがもれなくついてくる作品でお願いしたいです(笑)。

映画『キリエのうた』

2023年10月13日(金)公開
監督:岩井俊二
出演:アイナ・ジ・エンド、松村北斗(SixTONES)、黒木華/広瀬すず
配給:東映

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