神戸の街から「らしさ」消える、愛されガリバートンネルが封鎖

2023.11.1 07:00

JR三ノ宮駅の南側にある「ガリバートンネル」こと「地下出入口A14」

(写真7枚)

JR三ノ宮駅(神戸市中央区)の南にひっそりと存在していた通称「ガリバートンネル」(地下道出入口A14)が、11月7日に閉鎖される。戦前より存在したコンクリート製のユニークな形のトンネルが神戸の街から消えることに、ネット上には惜しむ声が多く寄せられている。

同出入口は、神戸市によると少なくとも1933年(昭和8年)の三宮エリアを捉えた写真のなかに写り込んでいることが確認できている。つまり、阪神大水害(1938年)、神戸大空襲(1945年)、阪神・淡路大震災(1995年)を乗り越えてきた。

トンネルの地上面の姿が『ドラえもん』のひみつ道具「ガリバートンネル」の見た目に似ていることから、近隣住民からはいつしか「ガリバートンネル」と親しみを込めて呼ばれるように。実際に狭く薄暗いトンネルの階段を登り広い地上に出ると、ひみつ道具を通ったように大きくなったような清々しい気持ちになれる・・・気がする。

「地下出入口A14」は、さんちか「味ののれん街」や駅直結の地下街などと繋がっている

当初は、地下道から路面を走る神戸市電に乗るために4本のトンネルが存在していたが、ほか3本はすでに撤去されていた。今回、最後の1本がなくなってしまうため、以前より反響が大きくなっているようだ。

SNS上には、「戦前から神戸の街の移り変わりを見守ってきた貴重なものが消えてしまうのは、レトロ好きとしては残念」「また神戸市電の痕跡が無くなります」「なくなるのは惜しいです」「文化遺産にして欲しいくらい」と、見納め画像が続々と投稿されている。筆者が撮影した10月30日午前の45分ほどの間にも、6名がスマホを構えていた。

神戸市に同トンネルについて尋ねてみたが、やはり「残してほしい」「いつ閉鎖になりますか」などの問い合わせもあるという。しかし、トンネルの真上に東西方向に歩行者デッキが整備されるため、デッキの橋脚や基礎がどうしてもトンネルに当たってしまう。

JR三ノ宮駅前に佇む出入口、地下はさんちか「味ののれん街」や駅直結の地下街などと繋がっている

「現在のトンネルの階段幅は1.2メートルくらいと非常に狭く、階段自体を保存活用するのは難しいと考えています。三宮は、これからの時代を見据えたまちづくりをしていこうと整備していますので、ご理解をいただきたいと思っております」と神戸市の担当者は話しており、取り壊しは避けられそうにない。

ガリバートンネルが利用できるのは11月6日まで。11月7日からは、地下道側の出入口が閉まり、トンネルを含む地上歩道部が通行止めになる。

取材・文・写真/太田浩子

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本