【どうする家康】元忠の覚悟に不安、史実を知らずも気づく?

2023.11.3 16:30

『どうする家康』第41回より、家康から「伏見城を守ってもらいたい」と伝えられる鳥居元忠(音尾琢真)(C)NHK

(写真3枚)

松本潤主演で、徳川家康の人生を描く大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。10月29日放送の第41回『逆襲の三成』では、家康が人質時代から仕えていた鳥居元忠との対話がじっくりと描かれ、史実を知る人はもちろん、知らない人たちからも、退場への不安の声が次々に上がった(以下、ネタバレあり)。

■ どうする家康、伏見城の守りは誰に

会津で不審な動きを見せる五大老のひとり・上杉景勝(津田寛治)征伐のため、自ら出陣することを決めた家康。本多忠勝(山田裕貴)、榊原康政(杉野遥亮)、井伊直政(板垣李光人)などの家臣たちが久々に集まるなか、家康は幼いころから自分に仕えていた鳥居元忠(音尾琢真)を呼び出し、伏見城を守ってもらいたいと伝える。

わずか3千人しか手勢がいないことに、不安の声を漏らす家康だが、元忠は「伏見はそうたやすく落ちやしません。殿を困らせるやつは、このわしがみんなねじ伏せてやります」と笑顔で返した。そして家康が会津に向かったのち、佐和山に隠居していた石田三成(中村七之助)が挙兵。まず狙いを定めたのは、元忠と妻・千代(古川琴音)が守る伏見だった・・・。

■ 家康の外交顧問や2代目茶屋も登場

間違いなく、家康最大の「どうする?」が続出する関ヶ原の戦い。そのなかでも苦渋の決断のひとつが、今川家の人質時代から自分の側にい続けた鳥居元忠を、少ない手勢で伏見城に残さざるを得なかったことだろう。

この41回は、「徳川四天王」ほどの功績はなかった彼を、家康に「もっとも信用できる家臣」と言わせることで、このあとの元忠の奮闘により味わいを与えるという、助走のような回となった。

ただその前にSNSがザワついたのは、のちに家康の外交顧問的な存在となるウィリアム・アダムス(村雨辰剛)と、二代目茶屋四郎次郎(中村勘九郎)の登場だ。特に四郎次郎は、初代が公式サイトではいつの間にか故人扱いとなっていたため「ちゃんと退場させてほしかった」と惜しむ声があふれたのだが、ちょっと眉が太いだけで父親と瓜二つという、まるでお市と茶々のような体でのカムバックとなった。

『どうする家康』第41回より、家康(松本潤)のもとを訪れるウィリアム・アダムス(村雨辰剛)と、二代目茶屋四郎次郎(中村勘九郎)(C)NHK
『どうする家康』第41回より、家康(松本潤)のもとを訪れるウィリアム・アダムス(村雨辰剛)と、二代目茶屋四郎次郎(中村勘九郎)(C)NHK

これにはSNSも「父親の遺伝子強すぎ!」「眉毛のクセがすごい」「茶々に続いて茶屋四郎次郎も親子1人2役なら、二代目服部半蔵も山田孝之さんの2役がありえるなあ」というコメントに混じって、実弟・七之助と同じ回に登場したことを受けて、「兄貴は堺の商人、弟は三成って凄い配役だよな」「同じ回に中村屋の御兄弟が出てるって感慨深い」「中村屋贔屓にとって高画質完全保存版」という声もあった。

■ 別れの予感、酒を酌み交わすひととき

話を元忠に戻すと、2人でしみじみとお酒を酌み交わしながら、お互いのことを語り合う(実際に家康が東国に向かう前にサシ飲みしたそう)という、いわゆる「死亡フラグ」がバンバン立つような状況に。

この時点で三成が挙兵する可能性は、さほど大きくはない感じだったけど、いつどこで別れが来るかわからない戦国の世を、ともに駆け抜けた2人だけに「もしかしたら・・・」という思いはきっとあったに違いない。

『どうする家康』第41回より、しみじみとお酒を酌み交わす家康(松本潤)と元忠(音尾琢真)(C)NHK
『どうする家康』第41回より、しみじみとお酒を酌み交わす家康(松本潤)と元忠(音尾琢真)(C)NHK

SNSでは、史実を知らない人からは「え、なに殿と彦(元忠)の2人でしっぽりしてんの。なんか怖いからやめて」「これ死亡フラグじゃないよね?」という声があふれ、逆に知る人たちからは「この情勢での伏見城留守居役は捨て石に等しい。しかし、その捨て石はかけがえのない重石でなくてはならない。だからこその鳥居元忠」「涙を溜めつつも真っ直ぐ彦を見て『頼んだぞ』と言える家康、本当強くなった」という、覚悟を決めた声が並んだ。

ここまで長く付き合ってきた登場人物との別れの予感は、視聴者にとってもつらいが、彦が語り合ってくれたおかげで、かつては家臣が自分のために死ぬことを泣いて止めた家康が、これほど残酷で、でも深い信頼がないとできない命令を出せるようになったのか・・・と、彦の仕えた50年の歳月の重さと長さを一瞬で感じさせる名シーンとなった。次週では、久々にやってくる大切な家臣との別れのときを、ハンカチを手にしながら見届けよう。

『どうする家康』はNHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。11月5日放送の第42回『天下分け目』では、三成と対決するために西に向かう決意をした家康の姿と、伏見城で戦う鳥居元忠の最期が描かれる。

文/吉永美和子

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