ゴジラ最新作、山崎貴監督「神様と怪物、両方を兼ねた存在」

2023.11.12 20:00

映画『ゴジラ-1.0』で脚本・監督・VFXを担った山崎貴監督

(写真9枚)

◆「3代目なんです、僕のゴジラとしては」

──確かに儀式的なもの、鎮魂的なものを感じますね

国産のゴジラを作るという意味が、意外と日本に属するものなんだなという感じがしたんですよ。ハリウッドのゴジラは日本とは桁違いな製作費をかけて作られていますが、やっぱり本質は日本にあるんだなと。「ゴジラにおいてはそこは譲れんよ」というのを、作り終わってから感じたんです。

1954年の初代ゴジラが、まだ戦争の傷跡も残ってるのに核実験もたくさんおこなわれてしまって、日本はどうなるんだろうという人々の不安がゴジラという形でやってきたから、いろんな人たちの心に刺さったと思うんです。

映画『ゴジラ-1.0』 (C)2023 TOHO CO., LTD.

──不安の時代という意味では、現在まさにその最中に我々はいますね。

いろいろと世界情勢、キナ臭い問題もありますよね。あと、作っている最中に世界がコロナになって、どんどん映画の内容とリンクしていって。『シン・ゴジラ』が3.11のメタファーだったように、これも今の不安なんかが怪獣となって現れて、それが祟り神を鎮めるという意味なのかなと思いましたね。

──今回、主人公・敷島(神木隆之介)が、戦争でのトラウマを克服するために奔走します。山崎監督は、これまで『永遠の0』(2013年)や『アルキメデスの大戦』(2019年)など、戦争映画を何本か撮ってられるじゃないですか。東宝的に見てみると、監督なりの8.15シリーズ(※註)という感じがすごくしたんです。

※岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』(1967年)など、東宝が手がけた一連の戦争映画

8.15シリーズ+ゴジラですからね(笑)、本丸中の本丸です。僕の戦争映画は事実を描くだけじゃなくて、違った切り口をもっていると思うんです。例えば『永遠の0』なら、おじいさんが何を思ってるかを現代の若者たちが探っているうちに真実が浮かび上がるみたいな、いわゆる戦争映画じゃなかったじゃないですか。

『アルキメデスの大戦』に関しても、大和の沈没を前提として、大和を作ることの是非を問う映画でしたからね。同じ列に並んでいる。ちょっと違う切り口で戦争を描きたかったんです。そういう意味では今までと同じですね。戦争が終わって生き残った人たちの想いを映画のテーマにしたというか。

「生き残った人たちの想いを映画のテーマにした」と山崎貴監督

──まさに東宝らしく、8.15シリーズのなかにスポッと今回のこのゴジラが入っている気がします。しかしドラマ性は強いんだけど、ゴジラの出し方にはためらいがないですよね(笑)。

はい(笑)。オープニングからそうですね。

──山崎監督が手がけた『ALWAYS 続・三丁目の夕日』でフルCGのゴジラを見たとき、あまりの格好良さに、きっとゴジラ好きに違いないと。フォルムといい動きといいアングルといい、おそらく山崎監督はゴジラを撮りたいんだろうなと。

そういう意味で言うと、『続・三丁目の夕日』があって、「西武園ゆうえんち」で『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』というアトラクションをやって、で、今回のゴジラですからね。3代目なんです、僕のゴジラとしては。満を持して本編。ようやくここに辿り着いたという感じですね。

『ゴジラ-1.0』

脚本・監督・VFX:山崎貴
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介、ほか
配給:東宝

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