ゴジラ最新作、山崎貴監督「神様と怪物、両方を兼ねた存在」

2023.11.12 20:00

映画『ゴジラ-1.0』で脚本・監督・VFXを担った山崎貴監督

(写真9枚)

◆「あれは本来、人間側の反撃のテーマ」

──今回の造形にも直接関わられていますが、どんなところを重点的にデザインされましたか?

立体でもデザインしたし、絵もいっぱい描いたんですけど、「『ゴジラ・ザ・ライド』のゴジラが一番良いんじゃねぇか?」となって。というのが、『ゴジラ・ザ・ライド』は究極のゴジラを作ろうと始めたものだったんです。それに対してのカウンターで作っていたんですが、最終的には『ゴジラ・ザ・ライド』をベースに、さらに映画用にブラッシュアップしようと。「俺たちのゴジラはこれだ!」と。

映画『ゴジラ-1.0』 (C)2023 TOHO CO., LTD.

──『続・三丁目の夕日』のゴジラは、オリジナルのフォルムに近かったですよね。今回ちょっとガタイがデカいというか。

マッシブですよね。ゴジラのカッコいいところを集めて作った感じです。いろんな時代のゴジラがあるけど、でも、誰が見てもゴジラだねって思えるようなゴジラで、それでいて凶暴で恐ろしいものを見たくて。

──そして、海のシーンが多い。

もう、大変だったんですよ(苦笑)。特にCGの時代は、1カットごとに全部シミュレーションしないといけないから、海はメチャクチャ大変で。でも、今までと違う感じを出したかったんです。あと、軍艦も出したかったから(笑)。あの時代を調べていくと、機雷処理の人たちがすごく活躍したということが分かってきて、そんな人たちなら貧しい船でも機雷の力でゴジラと戦えるんじゃないかと。

──そして、抜群のタイミングで伊福部昭さんの音楽が出てくる。もちろん、佐藤直紀さんの音楽もシンフォニックで素晴らしいんですが。

佐藤さんが作ってくれた部分はかなりストイックだったんです、音の使い方が。最初聴いたとき、もっとメロディアスな感じになると思っていたら、わりと現代音楽に近かったんで大丈夫なのかな? と。でも、音をつけてみたら、ものすごくゴジラの品格が上がって。

で、ここいちばんというシーンでは、伊福部サウンドじゃないですか。僕はもっと違う曲を想定してたんですけど、佐藤さんが「いや、ここはやっぱり伊福部先生でしょう」と、あえて当てたところなんですよ。

映画『ゴジラ-1.0』 (C)2023 TOHO CO., LTD.

──佐藤さんも伊福部ファンなんですかね?

というか、学校の先生らしいです。実際に伊福部さんの教えを受けてるんですって。

──え、そうなんですか!? どうりで、使い方をよく分かってるなぁと。僕みたいな伊福部マニアにはグッとくる(笑)。

ですよね(笑)。

──作戦のシーンは伊福部さんが自ら編んだ『SF交響ファンタジー第1番』冒頭をほぼそのまま使って、ゴジラ出現時には12音技法的なゴジラのテーマで。人間が立ち向かうタイミングで例のテーマが流れる。

あれは本来、人間側の反撃のテーマですからね。そこであのテーマ曲を当てるというのは非常に正しい使い方だと思います。実際、あそこは盛り上がりますよね。テーマ曲の強さは時間を超えますね。『ミッション・インポッシブル』でも、いざとなったらあれがかかる。

『ゴジラ-1.0』

脚本・監督・VFX:山崎貴
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介、ほか
配給:東宝

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