注目俳優・水上恒司「こういう役がやりたい、という欲がない」

2023.11.20 07:30

俳優・水上恒司

(写真8枚)

◆「ホントに悪戦苦闘してます」

──『OUT』では、どの場面で一番喜びを感じられたのでしょうか。

声は音楽で消えていますが、エンドロールにみんなで乾杯するシーンがあって。そこで「俺はあんなもんで死ぬわけねぇだろ」と言ったときですね。あそこは最後の方の撮影で、台本もなくて「乾杯してください」と品川監督に言われただけだったので、そこまで積み上げてきたものが出たんじゃないかと。

──アドリブですか?

アドリブです。そこまで積み上げてきたものがあるからこそ、みんな動けるんですよね。

映画『OUT』のワンシーン ©2023『OUT』 製作委員会

──エンドロールで続編を予感させるような描写もありましたが、どのように感じられましたか?

公開されて、反響や興行収入が生まれてから「もう1回やりたい」と言うのは簡単だと思うんです。そうではなくて、僕は完成作を観た瞬間に、単純にまたこの人たちとお芝居したいと思いました。純粋に楽しかったので、品川監督をはじめ、関係者の方たちに「続編やりたいですね」と言い続けたいと思います。

──余韻を残すいい終わり方だったと思います。

確信犯ですよね、ずるい(笑)。あれが品川監督の技法です。

──現在、放送中の『ブギウギ』についても聞かせてください。大阪弁での演技はいかがですか?

しんどいです。自分が今、なにをしゃべっているのかわからなくなりますね。僕が加えたいニュアンスと、音の感覚が違うので。必死でやっています。

朝ドラ『ブギウギ』では、趣里演じるヒロインの最愛の人・村山愛助を演じる水上恒司

──水上さんは九州出身ですが、標準語にするのはいかがでしたか?

それも全然違いますが、標準語はそんなに抑揚がない。でも、大阪弁だと、さっきはこの使い方だったけど、文法によって音が変わったりするので。方言指導の方に「あんねん、そういうのが」と言われて、「ふざけんなよぉ」と思いました(笑)。さっきはこうだったのに、ここになったら、頭にアクセントがくるとか。もう深く考えるのをやめました。ホントに悪戦苦闘してます。しばらくの間、大阪弁の役は嫌だと思っちゃうかもしれないです(笑)。

──それぐらい難しいんですね。

言葉に囚われると、芝居をやってるときに「あれ? 今のまずかったんじゃないかな?」と考えてしまう。その時間があればあるほど、気を抜いたことになるし、動揺してしまうので。言葉に囚われずに100%で現場に立つべきなんですが、とはいえ、もう1回やりたくない思いもあって。非常に葛藤してます。鍛えられてますね。

映画『OUT』
品川監督の自伝小説および映画『ドロップ』の後日譚を映画化。少年院から出所した「狛江の狂犬」と恐れられた主人公・井口達也が、地元から遠く離れた親戚のもとで働き始めるも、暴走族「斬人」副総長の安倍要との出会いによって、壮絶な更正生活を送ることとになる。出演は、倉悠貴、醍醐虎汰朗、与田祐希(乃木坂46)、與那城奨(JO1)、大平祥生(JO1)、金城碧海(JO1)ら。11月17日公開。

映画『OUT』

2023年11月17日公開
監督:品川ヒロシ
出演:倉悠貴、醍醐虎汰朗、与田祐希、水上恒司、ほか
配給:KADOKAWA

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