久本雅美、若手5人中心の新体制「松竹新喜劇」に華添える

2023.12.12 13:00

前列左より曽我廼家一蝶、久本雅美、藤山扇治郎、渋谷天笑、後列左より曽我廼家桃太郎、曽我廼家いろは

(写真2枚)

正月の風物詩となった「南座」(京都市東山区)での『松竹新喜劇 新春お年玉公演』が2024年も1月2日より幕を開ける。今や松竹新喜劇に欠かせない存在の久本雅美もゲスト出演、パワー全開で華を添える。

■ 若手中心のフレッシュな面々、初の南座公演

2023年5月に藤山扇治郎、渋谷天笑、曽我廼家一蝶、曽我廼家いろは、曽我廼家桃太郎の若手5人が中心の新体制となった松竹新喜劇。本公演は、新体制になって初めての南座公演となる。

先駆けておこなわれた大阪市内での取材会では、久本雅美と5人の新リーダーが登壇。久本は「今回は若手の素晴らしい面々が中心となって盛り上げるということで、私はどう考えても彼らのお母さんのような感じ」と穏やかな笑顔を見せ、「全力で頑張っている彼らと一緒におもしろい作品を作れるよう頑張りたい」と続けた。

長きにわたり劇団をけん引し、新リーダーに引導を渡した渋谷天外が不在の公演となる。久本は「私がワハハ本舗の笑いをやり、『それは松竹新喜劇でいかがなものか』みたいなこともあったのですが、そのときに天外さんが『それでは久本さんを呼んだ意味がない、久本さんらしくやればいい』と後押ししてくださいました」と、初出演時の天外とのやりとりを振りかえった。

「そして喜劇を演じるにあたって『リアルはええけどシリアスはあかん』とその根本を教えてもらいました。今回、一緒にできないのは寂しいですが、また再び一緒にできることを励みに演じてきたいと思います」と意気込んだ。

少ししんみりとした表情を浮かべたのもつかの間、天外が無類のラムチョップ好きであると明かし、「これまでの南座公演でも、ラムチョップ、ラムチョップ言うて。私は京都の羊を何匹食うたんやというくらい、一緒に食べました!」と豪快に笑った。

■ 新リーダーらも自信「作品も若返る」

本公演をきっかけに、若い世代にも松竹新喜劇をアピールしたいと意気込む新リーダーたち。それぞれに松竹新喜劇の未来を考えている。「南座公演は新しいスタートだと思っているので、作品も若返ると思います」と胸を張るのは扇治郎。

39歳の天笑は「僕と同世代で松竹新喜劇を知らない人に見に来ていただき、一緒に年をとっていくのが理想」と観客とともに新たな松竹新喜劇を作り上げたいと夢を語った。

「技術面では先輩方にまだまだ及ばない」と話す一蝶だが、「僕たちは体が動くし、口も回ります。特にAプロの『小判掘出し譚』はドタバタ喜劇で走り回るので、これは我々にしかできないのではないかなと思っています」と自信をのぞかせた。

いろはは本公演の料金設定をアピールし、「いつもよりお求めやすいと思います!」と声に力を込めた。また、今回は初のリピーター割引も実施し、さらに間口を広げる。

桃太郎はAプロの『小判掘出し譚』の演出をTHE ROB CARLTON主宰の村角太洋が、Bプロの『蕾』の作・演出をわかぎゑふが担うことに言及し、「いつもと違う演出なので、新しい形の笑いになるのでは」と期待を寄せ、関西の若い役者にも見てほしいといざなった。そして「この芝居に出たいなと思ってもらえる芝居ができたら」と意気込んだ。

『初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演』は、出演者が劇場を元気に走り回るドタバタ喜劇のAプロ『小判掘出し譚』と、大阪・船場の老舗料亭を舞台にした心温まる物語のBプロ『蕾(つぼみ)』を交互に上演。また、Aプロ、Bプロとも、扇治郎、天笑、一蝶、いろは、桃太郎、久本による新春ご挨拶もおこなわれる。

取材・文/岩本

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