京都・二寧坂の耳かき、全国からのリピーターが絶えないワケは?
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「竹の店 かめやま」(京都府東山区)、「耳かき」や「竹箸」の旗が目印
年末年始の参拝者で賑わう京の街の一角に「耳かきの聖地」と呼ばれる店がある。世界遺産「清水寺」の参道・二寧坂にある「竹の店 かめやま」(京都市東山区)は、明治38年創業の老舗竹細工店だ。
店内にはお箸に置き物、竹かごなどの工芸品が所狭しと並ぶなか、「耳かき」は全国にリピーターが存在する人気商品。口コミでも「1度使ったら最後、2度とほかの耳かきには戻れない」と称賛される耳かきの魅力を探るべく、「竹の店 かめやま」を営む大崎健次さんと娘の久美子さんに話を訊いた。
■「お客さんはすごいですよ、その差が分かりはる」
───耳かきってこんなにバラエティがあるんですね。
久美子さん「耳かきといってもたくさんの種類があります。竹は皮と身でできているんですが、皮があると固い。皮が無いとしなるので、柔らかい耳かきになります。しなる分、耳当たりもやさしくなるので、お子さんの耳かきにもおすすめですね」
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健次さん「煤竹(すすたけ)の耳かきもあります。煤竹は100年くらい煙に巻かれて煤が付いたものです。茅葺屋根を支えている柱になりますが、今は古民家自体が無いから、本当に貴重です。よく見てみると、実際に民家として使われていたので、縄の跡なども竹に残ってますよ。でも、いずれは煤竹もなくなってしまうでしょうね」
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健次さん「そして面白いのが、同じ竹を使って作られた耳かきでも、職人の手によって個性が出るんです。だから職人同士で競争してもらっています(笑)」
久美子さん「お客さんはすごいですよ、その差が分からはるから。『この大きさのこの角度の耳かきを探しに来た』と、ご自分の好みの耳かきを店頭から一生懸命探さはります」
■「使い手の顔を思い浮かべながら」
───「かめやま」の耳かきはここが違う!というのがあれば教えてほしいです。
久美子さん「耳かきは『先の薄さ』が命なんです。商品を比べていただいたら分かるのですが、機械ではこの薄さが再現できず、どうしても先端が分厚くなってしまいます。この薄さは職人の手作業でしか再現できませんし、これがうちのこだわりでもあります。耳かきを作る職人にも色々な方がいますが、実際の使い心地や使い手の顔を思い浮かべながら作る職人の作品はやっぱり綺麗です」
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健次さん「1本いくらとか生産数ばかり考えていると、その気持ちが作品にも表れてしまう。そういった作品はうちでは売れません。でも最近は、耳かきを作るための竹だけでなく、竹の良し悪しを見分ける人材も作る職人も、すべてが不足しています。そんな状況のなか、どうにか職人たちの生活も支えなあかんなって・・・なので、私たちはリピーターさん、職人たちの両方を考えながら商売しています」
久美子さん「今はつてなどを頼って、何とか耳かき職人の後継者を見つけて、頑張ってもらっている途中で、やっと光が見えてきたところです。でも商品が店頭に並ぶに至るまでが本当に大変。職人さんと何度も話し合い、調整してもらいながら、ともに作り上げています」
健次さん「完成に至るまでには本当に時間を要します」
■「売り上げより、リピーターを大切に」
───それなのに、耳かき1本のお値段はお安いですよね。
健次さん「売り上げより、リピーターさんを大切にしたいんです。ものが良くなかったら絶対に駄目。お客さんに『ここあかんなぁ』って思われるのが怖いから手間を惜しむことはしません。できたら完璧なものばかり店に出したいけれど、手作業なのでそういうわけにはいきません。なので、良くない商品を減らす努力、そして、もし良くないものが店に出てしまってたら、それを認めて向かい合っていく、そんなスタンスを大切にしています」
久美子さん「1本買って良いと思ってくれたら長持ちしますし、無くしてしまった代えに、プレゼント用に、と買いに来てくださるお客さんは続いてくれますのでね」
◇
かくいう筆者も、数年前に店の前を通りかかり何気なく購入して以来、「かめやま」の耳かきの虜になってしまった1人である。お客さんの笑顔のため、誠心誠意「耳かき」に向き合い続けた結果、全国各地にリピーターを生んできたのだった。
取材・文/高岡奈津古
「竹の店 かめやま」
住所:京都市東山区桝屋町363-10 高台寺
営業:月〜金曜10:30〜17:30/土・日曜10:00〜18:00(水曜定休)
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