それ実はNGです、「貼らないカイロ」の正しい使い方を訊いた

2024.2.10 06:30

「貼らないカイロ」の正しい使い方、知ってますか?

(写真2枚)

寒い冬、身体を手軽に温めてくれる「カイロ」は外出時に欠かせないアイテム。筆者も野外ライブなどに参加する際にはマストで持っていくものの、なかなか「貼らないカイロ」で暖をとれず、「貼るカイロ」ばかりを使っていた。

これって私だけ・・・? そう思い、SNSでサーチしてみると「正しい使い方わからん」「効果的な使い方とかあるのかな?」といった声も見受けられた。

ここはプロに訊いてみようということで、「桐灰カイロ」を製造・販売する「小林製薬」(本社:大阪市中央区)の研究担当者に、「貼らないカイロ」の使い方を教えてもらった。

使い捨てカイロが日本に誕生して約50年

──「貼らないカイロ」と「貼るカイロ」ですが、そもそもなぜこの2種類に分かれているのでしょうか?

使い捨てカイロが日本に誕生して以来、約50年が経ちます。最初に作られたのは、手で持って使用する「貼らないカイロ」でした。そこから「手の届かない部位でも使用したい!」というニーズが生まれ、ポケットのついたベルトにカイロをセットし、体に巻きつけるタイプも考案された・・・という流れがあります。が、貼らないカイロを元にすると中身が片寄るため、圧迫による低温やけどなどが起こる可能性がありました。

その後、「貼らないカイロ」とは異なる素材の袋を使用することで中身が片寄らなくなることが発見され、現在の服に貼って使う「貼るカイロ」が完成しました。

金色とうさぎのパッケージが特徴的な「桐灰カイロ」(写真提供:小林製薬)

──貼らないほうが先に誕生したんですね。明確な違いがあれば教えてください。

2つの大きな違いは「使い方」にあります。「貼らないカイロ」は中身がシャカシャカと振れて、手で握ったときに自在に形が変えられ、「貼るカイロ」は中身が片寄らないため、体に沿うように曲げることができます。たとえば貼るほうはどこでも使える一方、貼ったまま寝たり暖房器具と併用されたりすることで低温やけどの危険性があるため、正しい使い方の理解が必要です。

■「貼らないカイロ」、揉んでませんか!?

──商品名の通りで、どちらも使い方がまったく違うんですね。「貼らないカイロ」を使うのに適した環境や場面があれば知りたいです。

まずは各々が使用する環境に応じて選んでいただくのが一番ですが・・・。まず「貼る〜」と「貼らない〜」は、使う場所がまったく異なります。手で持って指先を温めたいときは「貼らない」ほう、手で持つことができない部分を温めたいときは「貼る」ほうを利用するというイメージですね。

貼らないカイロの場合、朝から夜までの⾧時間の外出時や、釣りなど冬のアウトドアで手が冷えるシーンなどがオススメです。

──なるほど、「貼らないカイロ」は主に指や手を温めるイメージですね。正直なところ、これまであまり活用できていませんでした。

使うとき、ついつい揉んでしまいませんか? 実は、揉めば早く温まるということはありません。カイロ本体はそのままでは空気を通さない特殊フィルムなので、片面、あるいは両面に空気を取り込むための細かな穴が開けられており、そこから少しずつ空気が入り、発熱する仕組みになっているんです。

──確かに揉んで使っていました! これまで間違った使い方をしていたんですね。

何もせずとも発熱は進みますが、カイロ表面の穴に上手く空気を取り込むイメージで使えば、早く温められますよ。揉むのではなく、手のなかでニギニギと握って、離してを繰りかえし、空気を循環させるイメージです。

ただ揉み込むだけではこの循環は起こらず、袋がダメージを負って破れたり、カイロの粉が穴に目詰まりを起こしてかえって発熱しなくなってしまうことがありますのでご注意ください。

担当者によると、握って使う「貼らない〜」は低温やけどのトラブルが少なく安全性が高いため、「貼る〜」よりも自由な温度設計ができるという開発時のメリットもあるという。

そのため、「貼る〜」より⾧時間使用できるタイプやより熱さを感じられる高温タイプなども発売されているとか。意外と奥が深いカイロの世界、次に使うときは伝授してもらった使い方を試そうと思う。

取材・文/つちだ四郎

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