ジュニア「芸人は必死、奥の手を使わなければいけないときも」

2024.2.15 19:00

「即興力」を競う笑いの総合格闘技『座王』の企画考案者・千原ジュニア

(写真6枚)

芸人たちが椅子取りゲームをおこない、椅子に書かれた「大喜利」「ギャグ」といったお題と相手を見てネタバトルを仕掛けるバラエティ番組『千原ジュニアの座王』(カンテレ)。「即興力」を競う笑いの総合格闘技でありながら、芸人の隠れた魅力を引き出すことも多く、深夜の関西ローカル放送ながらコアなお笑いファンの注目を集めている。

放送開始から6年、2月16日には『300回記念1時間SP』が放送される。歴代優勝回数・通算勝利数ともに1位の西田幸治(笑い飯)をはじめ、通算100勝を達成した強者といった「座王オールスターズ」が勢揃いする。そこで今回は、同番組の企画考案者でMCも担当する千原ジュニアに、『座王』のおもしろさについて話を訊いた。

取材・文・写真/田辺ユウキ

◆「もっと広く笑いについて考えている」

──『座王』の原形は、もともとジュニアさんが劇場ライブでおこなっていたものですが、当時から完成度が高い内容でしたよね。

いやいや、そんなことはないです。最初からおもろくなりそうという感じはありましたけど、ずっと同じ顔ぶれでやってたらしんどくなりますし。だから、『座王』という番組化するにあたって、メンバーが毎回変わるという部分でリニューアルを繰りかえしている感じです。あと、先輩・後輩の戦いが入ってくるんで。そのあたりのヒリヒリ感が緊張につながって、おもしろいバラエティ番組になっていくんかなって気はしていました。

2024年2月16日放送の『千原ジュニアの座王 300回記念1時間SP出演者』 (C)カンテレ

──『座王』では、出場する芸人たちの知られざるお笑い才能が発揮されることも多々ありますね。

特にサツマカワRPGはそうですよね。ギャグの人かと思いきや、大喜利も歌にのせてやったり、いろいろできるんやなあと。もし『座王』をやってなかったら気づかなかったんちゃいますか。さっきも収録があったんですけど、ヤーレンズもボケの楢原ではなく、意外にもツッコミの出井が『座王』向きだったんですよね。

──そういえば、2023年最後の『1時間SP』でも、ジュニアさんはサルゴリラ・児玉さんのことを「『座王』向き」とおっしゃっていましたね。

『座王』向きというのは結局、ずっと笑いのことを考えているかどうかじゃないですかね。漫才のこと、コントのことだけを考えている芸人が多いですけど、そうじゃなくて、もっと広く笑いについて考えているというか。

100勝達成者に贈られるゴールドビブス所持者であるR藤本 (C)カンテレ

──その点では、『座王』の看板プレーヤーのひとりであるR藤本さんも、あそこまで活躍するとは思いもよりませんでした。ベジータのものまねで知られていますが、総合力がとても高いですし。

ベジータって、あのビジュアルは鉄下駄でしかないですからね。自分で勝手に鉄下駄を履いてきて、それで戦ったりして。でもそれを使わず、うまいことトークもやったりして。ただ、『座王』ってみなさんが観ているよりも現場では芸人が必死になっているんです。普段のバラエティでは絶対に出さない奥の手を使わなければいけないときも出てくる。

というか、『座王』に巻き込まれるんですよね。それが吉と出る場合もあるし、うまくいかないときもある。だからこそベジータなんかは、あの衣装を1回全部脱ぐことになって、ただの青い人になりましたから(笑)。あんなこと、ほかのバラエティでは絶対にないから。

──それこそ年末の『1時間SP』に出場したTKOもすごかったです。特に木本さんは、不慣れな一発ギャグ、大喜利を死に物狂いになりながらクリアしていって、奇跡の快進撃を遂げましたよね。

あれはおもしろかったですね。なにより置かれている状況が「窮鼠笑いを生む」みたいやし。っていうか笑いを生むしかない状況ですからね、TKOは。

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