世界レベルのマイム俳優、いいむろなおきが「宮沢賢治」を描く

2024.2.19 20:30

世界レベルのマイム技術を持つパフォーマー・いいむろなおき(2月15日・大阪市内)

(写真3枚)

世界レベルのマイムのテクニックを持ち、「東京2020パラリンピック」開会式にも出演した、兵庫県在住のマイム俳優・いいむろなおき。「兵庫県立芸術文化センター」(兵庫県西宮市)とタッグを組んだ新作『心象スケッチ~宮沢賢治の世界~』の上演が決定し、大阪市内で会見をおこなった。

第一線で活躍するクリエイターが、近代の詩人の作品をベースにした新作に挑戦する、「兵庫県立芸術文化センター」のプロデュース企画「100年の詩物語」。第2弾は、いいむろが「つねに引っかかっていた存在」だという宮沢賢治がテーマに選ばれた。『雨ニモマケズ』などの6~7作品から、宮沢賢治の心の動きが見えてくるような世界を紡ぎ出すという。

『心象スケッチ~宮沢賢治の世界~』の稽古風景(2月15日・大阪市内)

「賢治は自分の詩を『心象スケッチ』と呼んでいて、心に映ったことをそのまま描いた感じがする。だから詩の内容を(マイムで)当て振りするのではなく、作品を通じて見えてきた『宮沢賢治』という人を表現する物語になります」と解説。今までの作品ではあまり使わなかった、朗読や映像も前面に出し「賢治マニアの方と、『銀河鉄道の夜』ぐらいしか知らない方が同じように楽しめて、最後は心が軽くなるような作品にしたい」と意欲を語る。

台詞はほとんどなく、ときにはダンスのように抽象的な身体表現も出てくるいいむろの世界。美しい言葉に満ちた宮沢賢治の作品群との相性はどうなのか? と思いきや「見ている人の想像力を喚起する」という点では、マイムと非常に親和性が高いそうだ。

新作『心象スケッチ~宮沢賢治の世界~』について話すいいむろ(2月15日・大阪市内)

「賢治の作品は説明不足気味で、そのわからない部分を想像していくのが、読んでいて楽しいところ。言葉がない分、お客さまが想像力を使って埋めていくマイムとは、そこが共通点」と分析し、「どうしても言葉にならないニュアンスでも、マイムにすれば見えてくることもある。マイムの舞台を観たことがない人は多いと思うけど、今回は宮沢賢治という手がかりがある分、ほかの作品より敷居が低いと思います」と観劇をうながした。

いいむろのほかには、梶本瑞希、小松阿弥、田中啓介、外岡玲真、羽田兎桃、三田みらのが出演。公演は3月23日で「兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール」で上演。チケットは一般3000円、25歳以下1500円で、現在発売中。

取材・文・写真/吉永美和子

いいむろなおきマイムシアター『心象スケッチ~宮沢賢治の世界~』

期間:2024年3月23日(土)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(西宮市高松町2-22)
料金:一般3000円(U-25は3000円)
電話:0798-68-0255(芸術文化センターチケットオフィス)

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