東北と大阪を繋ぐ「高校生百貨店」、近鉄で7度目の取り組み

2024.3.3 08:30

「高校生百貨店」には、大阪府内の高校生たちが店頭に立ち接客

(写真8枚)

現在、百貨店「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市中央区)でおこなわれている催事『東北六県 味と技めぐり』の一部で、大阪府内の高校生が店頭に立ち販売をおこなっている。今回で7度目となる『高校生百貨店』という取り組みだ。

高校生と地域とのつながりを目指し、宮城県・石巻地方で立ち上げられた『NPO法人かぎかっこPROJECT』の一環として実現した「高校生百貨店」。2011年の東日本大震災後、就職のため外に出て行く学生が後を絶たず、そんななか石巻市に住む高校生たちに改めて「地元企業の良さ」を知ってもらうべくスタートした。

地元企業や生産者にインタビューなどをおこない、高校生が自ら商品を選定。出店催事には東北から各地に学生が出向き、販売をしていた。同百貨店ではコロナ禍のオンライン販売会を経て、昨年は大阪の高校生と共同体制に。今年は大阪府内の高校生が日替わり体制で売場に立っている。

「いろんなお客様に、東北の良さを知ってもらえるように頑張りたい」と開催への思いを明かす、参加者の高校生・阿部さん。今年はオンライン会議や資料共有などをおこない、大阪の高校生たちに思いや熱意を託したという。

催事場には、高校生の手書きプライスカードとともに、人気商品の醤油ぶっせや海苔のふりかけ、三陸沖の天然ぶりを使った缶詰など、約25種類の商品が並ぶ。なかには、早々に完売してしまった商品もあったそうだ。

■ 「学校に行くだけじゃ体験できない経験を」

高校生たちの商品説明もおてのもの。来店客とのコミュニケーションを楽しんでいた

昨年から参加しているという大阪の高校生・小谷凪紗さんは、「この取り組みに参加して、新しい友達もできましたし、普通に学校に行くだけじゃ体験できない経験ができていると感じます。大阪に住んでいたら少し遠いと思っていた被災地のことも身近に感じ、考えるキッカケになりました」と話す。

同イベントを開催するたびに足を運ぶ客もいるようで、実際に購入した客が商品を気に入り、生産者に問い合わせをして商品を購入するケースも。遠く離れた東北と大阪を高校生が繋いでいる。商品を吟味していた50代の女性は、「なかなか東北へ足を運ぶことができないが、ここの商品を買うことで少しでも震災の支援につながれば」と話す。

「高校生百貨店」を含む催事『東北六県 味と技めぐり』は3月5日までの開催。「近鉄あべのハルカス本店」にて。高校生の在店日は3月4日・朝10時〜夕方5時、最終日は昼3時まで。また今後、商業施設「河原町オーパ」(京都市中京区)内に「高校生百貨店」の常設店舗ができる予定だという。

取材・文/ナグモナツミ

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