【光る君へ】非常に複雑だがリアルな表情、柄本佑に絶賛の声

2024.3.2 08:30

『光る君へ』第8回より、捕らえられた直秀の顔を見た道長(柄本佑)(C)NHK

(写真5枚)

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。2月25日放送の第8回『招かれざる者』では、本作屈指の人気キャラ・直秀の突然の恋愛イベントに盛り上がったかと思うと、ショッキングなラストを迎えるというジェットコースター状態に、SNSが翻弄された(以下、ネタバレあり)。

■ 第8回『招かれざる者』あらすじ

右大臣・藤原兼家(段田安則)が突如寝たきり状態となり、道兼の娘で東宮の母・詮子(吉田羊)は、左大臣・源雅信(益岡徹)との結束を確かなものとするため、弟・道長(柄本佑)の婿入りを進めようとする。兼家と詮子に苦手意識を持つ雅信は申し出を渋るが、打毬の見学で道長に惹かれていた雅信の娘・倫子(黒木華)は、ひそかに心をときめかせる。

一方道長とも親しい散楽師・直秀(毎熊克哉)は、まもなく都を出ていくことをまひろに告げる。「一緒に行くか?」という誘いに、まひろは少し心を動かされるが、直秀は「行かねえよな」と笑い飛ばした。まもなく右大臣の館に盗賊が押し入るが、武士たちが一団を捕縛。駆けつけた道長は、覆面を剥がされた賊の一人が、先日館を訪れたばかりの直秀だったことに愕然とする・・・。

■ 直秀、さらに少女漫画成分がアップ

この物語のメインキャストのなかで、数少ないフィクションの人物となる散楽師・直秀。全体的に「70年代の王道少女漫画」に近いテイストが生まれているのは、直秀がそういった作品によく登場する「主人公に好意を持ちつつ、本命との恋愛を助けるサブキャラ」が立体化したような存在だからだ。しかも「裏稼業は義賊」なんてドラマティックな属性まで付いて、さらに少女漫画成分がアップ。そしてこの第8回は、表も裏も岐路を迎える姿が描かれた。

『光る君へ』第8回より、まひろ(吉高由里子)に「一緒に行くか?」と声をかける直秀(毎熊克哉)(C)NHK
『光る君へ』第8回より、まひろ(吉高由里子)に「一緒に行くか?」と声をかける直秀(毎熊克哉)(C)NHK

まずは前回の打毬の見学会で、道長も含めた貴族の男たちの本音を聞いてしまい、すっかりシオシオになってしまったまひろに、この都以外にもいろんな場所があることを語った上で「一緒に行くか?」という一言。この、どう考えても愛の告白としか思えない言葉と、まひろの心が動いたら冗談話に変えてしまうという照れとやさしさに、SNSは一斉に色めき立った。

「いきなりの乙女ゲー台詞!!」「不意打ちで直秀ズギャン砲きた」「気になる女の子をできるならば別世界に連れていきたいと半ば本気で尋ね、色よい返事をもらうもごまかしてしまうこの一連がまんま少女漫画」「道長とまひろ結婚しろ派から、まひろやっぱ、直秀にしておこうか?派になりました」などの、盛り上がったコメントが相次いだ。

■ 柄本佑の道長役は間違いなかった

一方道長とは、前回の打毬の助っ人で「腹違いの弟」という設定を与えられた縁で、本当の兄弟のような関係に。しかし道長は心の奥底で、自分が弓を射掛けた盗賊は直秀ではないか? という疑惑を抱いていた。職業病なのか、招かれた屋敷の構造をついつい詳しく聞いてしまう直秀に、道長がそっと釘を差していたにもかかわらず、悲劇は起こってしまった。

『光る君へ』第8回より、本当の兄弟のような関係になった直秀(左・毎熊克哉)と道長(右・柄本佑)(C)NHK
『光る君へ』第8回より、本当の兄弟のような関係になった直秀(左・毎熊克哉)と道長(右・柄本佑)(C)NHK

直秀の顔を見たときの、道長の顔は忘れがたい。疑惑が当たってしまった失望と悲しみ、「釘を差したのになんで押し入った!」という怒りはもちろん、それらの感情の異常な高まり+あきれからくる笑いまで含まれた、非常に複雑だけどリアルな表情。柄本佑が道長役に選ばれたのは間違いなかったと、改めて確信するような名演だった。

SNSでもこのシーンについて「うわあ。直秀と道長に友情が芽生えかけていたのに」「盗賊直秀の顔を見た道長のその表情、どう受け止めればいいんですか」「なんで捕まるんだよ、という道長の顔がまたつらい」「怒りなのか、悔しさなのか、恐らく色んな感情が入り混じっているのだろう道長の張り裂けそうな表情が流石柄本佑さん」などの絶望の声と、柄本の演技を褒め讃える声が並んでいた。

『光る君へ』第8回より、道長(柄本佑)に屋敷の構造をついつい詳しく聞いてしまう直秀(毎熊克哉)(C)NHK
『光る君へ』第8回より、道長(柄本佑)に屋敷の構造をついつい詳しく聞いてしまう直秀(毎熊克哉)(C)NHK

フィクションの人物が怖いのは、歴史上の人物と違って、いつどこで退場になるかがまったく読めないところだ。次回の予告から、直秀たちが牢に入れられるのは間違いないが(そしてなぜかまひろにもとばっちりが)、なんとか自力で脱出してくれるか、道長が裏から手を回すというミラクルが起こってほしい。多分筆者以外にも「ご都合主義でもいいから生き延びさせて!」と祈っている人は多いはずだから。

『光る君へ』はNHK総合では日曜・夜8時から、NHKBSでは夜6時から、BSP4Kは昼12時15分の放送。3月3日放送の第9回『遠くの国』では、 まひろが直秀の盗賊仲間と思われて捕らえられてしまうところと、道兼が花山天皇の信頼を勝ち得ていく姿が描かれる。

文/吉永美和子

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