【光る君へ】怨霊騒ぎの真相は?恐るべき兼家&晴明タッグ

2024.3.9 08:00

『光る君へ』第9回より、兼家に「秘策をお買いになりますか?」と持ちかける安倍晴明(ユースケ・サンタマリア) (C)NHK

(写真8枚)

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。3月3日放送の第9回『遠くの国』では、前回の怨霊騒ぎの驚くべき真相が明かされた。特に安倍晴明が、そこにちゃっかり一枚噛んでいたことにSNSでは大きな反響があった(以下、ネタバレあり)。

■ 第9回「遠くの国」あらすじ

寝たきりとなっていたが、突然目覚めて道長(柄本佑)ら子どもたちを呼び寄せた藤原兼家(段田安則)。内裏で倒れたのは本当だが、実は安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)と2人になった時点で回復していたという。

『光る君へ』第9回より、詮子が見舞いに来た際に目を覚ました兼家(段田安則) (C)NHK
『光る君へ』第9回より、詮子が見舞いに来た際に目を覚ました兼家(段田安則) (C)NHK

そこで、今の帝をなんとか退位させて、孫である東宮を即位させたいと兼家が打ち明けると、晴明から「秘策をお買いになりますか?」と持ちかけられ、ひと芝居を打っていたのだ。その計画は兄弟で唯一道兼(玉置玲央)に明かされ、父に虐待されているふりをしたことで、花山天皇(本郷奏多)の心をつかんだ。

さらに内裏ではさまざまな怪異が起こると、その原因が、兼家に取り憑いていた帝の后・忯子(井上咲楽)の霊が内裏に飛んできたからだ、と晴明は帝に進言。成仏させる手段を問われた晴明は、帝が出家することが唯一の方法だと告げるのだった。

■ この時代の「陰陽師」の立場を一瞬で認識

先週は、忯子の怨霊が兼家を昏睡状態にしたという展開に、それは平安時代なら普通にあり得ることなのか? いや芝居じゃないか? というのでSNSが大いに盛り上がった。この第9回は、まさにその種明かしの回となったが、大方の予想通り怨霊は完全に狂言。しかし計画を立てたのが兼家ではなく、実は陰陽師・安倍晴明の方でした! というのは、なかなかの番狂わせだった。

『光る君へ』第9回より、晴明(ユースケ・サンタマリア)と2人のときに回復した兼家(段田安則) (C)NHK
『光る君へ』第9回より、晴明(ユースケ・サンタマリア)と2人のときに回復した兼家(段田安則) (C)NHK

SNSでも、「うわ、晴明立案なのかよ」「さすが平安最強陰陽師。めっちゃ腹黒い」「そもそもの話として、晴明は最初から兼家と密談する気(自分の秘策を売る気)でやってきた、ということだったわけですね。おっかねえ」「霊能者としても見ても詐欺師として見ても、無限に格の高まる描写してるのマジですごい」などの恐れ入った声が。

これまでも、ただ兼家にこき使われるだけでなく「私をあなどれば、右大臣さまご一家とて危うくなる」「こういうやり取りが楽しくてならない」と、なにかと兼家に対抗意識ならぬ「対等意識」を見せていた晴明。それがプライドやハッタリではなく、本当に口先ひとつで政治の中枢すら動かすことができるのが、この時代の「陰陽師」だったということを、一瞬で視聴者に認識させたのは、まさに「おみそれしました!」という気分だ。

■ 話ごとに株の上昇下落が激しい藤原道兼

それにしても、登場当初の「品のいいクズ」扱いから、どんどん気の毒キャラになっていったのが花山天皇だ。最愛の后と子どもを一度に失ったのは当然ながら、その命を奪ったといえる安倍晴明&兼家コンビに帝位まで狙われ、しかも忯子を成仏させる相談を、なにも知らずに晴明にしてしまうという構図よ・・・晴明がしれっと出家をすすめるところなど、思わず「どの口が言う!」とテレビに本気でツッコみそうになったほどだ。

『光る君へ』第9回より、晴明から出家をすすめられ苦虫をかみつぶしたような表情の花山天皇(本郷奏多) (C)NHK
『光る君へ』第9回より、晴明から出家をすすめられ苦虫をかみつぶしたような表情の花山天皇(本郷奏多) (C)NHK

SNSでも「天皇の座と忯子さまの成仏、究極の選択」「花山天皇が自分で『なんでもする』って何回も言うのを待って、唯一出来ないことを条件に持ってくるの、詐欺師として最悪過ぎて最高」「花山天皇が出家する際に安倍晴明がその出来事を予見したという話があるけど、ドラマではそれを晴明の謀としちゃうのがスゴい」などの意見が。

さらに花山天皇と並んで心配の声を集めたのが、話ごとに株の上昇下落が激しい藤原道兼だ。兼家から暴力までは振るわれておらず、体の傷も自分でつけたものだというのが判明したのはホッとしたが、父親の謀をほかの兄弟は知らず、自分にだけ打ち明けられていたことを得意げに話すのは・・・、一族の汚れ仕事をすべて押し付けられているのを知ってか知らずか。後者だとしたら、なんとも気の毒な話だ。

『光る君へ』第9回より、DV偽装を得意げに話す道兼(玉置玲央) (C)NHK
『光る君へ』第9回より、DV偽装を得意げに話す道兼(玉置玲央) (C)NHK

SNSでも「心配したけどDV偽装だったんだね」「ねえ道兼、父上に信頼されてるとかじゃないよ。手駒にされてるだけだよ。得意気な顔してる場合じゃないよ」「兄と弟を『出し抜いた』と自信満々の顔してるところがもーーめっちゃ痛々しい!!」と、哀れみの声をかける人が多かった。

とはいえ、道兼がこうもあっさり花山帝を思うツボにはめたのは、彼の「父の愛が欲しい」という飢餓感だけは、まぎれもなく本物だったからに違いない。それが二度と手に入れられない愛に飢える、花山帝の心に共鳴したのが、帝に前代未聞の行動を決意させることになるのだろう。次回はこの2人の関係の総仕上げとも言える展開になるが、予告ではどうやらまひろと道長にも「うわあああ」ともだえるような動きがありそう?

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。3月10日放送の第10回『月夜の陰謀』では、藤原兼家が花山天皇の退位へと本格的に動く一方、道長とまひろが再び恋文を交わす姿が描かれる。

文/吉永美和子

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本