朝ドラで突然の「カツ丼コント」、シュールすぎる場面の裏側

2024.3.14 08:15

取り調べを受ける小田島(水澤紳吾)と向かい合う高橋(内藤剛志)(C)NHK

(写真1枚)

現在放送中の『ブギウギ』(NHK朝ドラ)第24週「ものごっついええ子や」では、愛子(このか)の誘拐恐喝未遂事件が起こり、スズ子(趣里)は身代金として3万円を要求される。幸い愛子は無事で、3月14日放送の第115回では、犯人の小田島(水澤紳吾)が身代金を受け取りに来たところを現行犯逮捕された。

妻に先立たれた小田島は男手ひとつで息子の一(井上一輝)を育てているが、身体が弱いために仕事にありつけず、止むに止まれず犯行に及んだのだという。

警察署で高橋(内藤剛志)が小田島の取り調べにあたるのだが、ここである「異変」が起こる。取調室にカツ丼が運ばれてきて、日本人なら誰もが知っている、あの「ベタな展開」になるのかと思いきや、高橋がスッと丼を引き寄せ、食べてしまう。遅れて特上のカツ重が運ばれてきて、別の刑事が小田島に「いつか息子にも食わせてやれるように、真面目に働けよ」と声をかけ、小田島は咽び泣く・・・。このシュールなシーンの成り立ちについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

■「現場でもだいぶ不思議な空気が漂っていました(笑)」

前代未聞のカツ丼の用い方について福岡さんは、「脚本の足立紳さんによる、ちょっとした・・・というか、かなりのユーモアでした。台本のト書きには『高橋、おもむろにカツ丼の蓋を開け食べ始める。小田島のぶんはない。黙々とカツ丼を食べる高橋』と書いてあって、初めて読んだとき、僕はひっくりかえりました。現場でも、高橋を演じる内藤剛志さんと撮影チームの間に、だいぶ不思議な空気が漂っていました(笑)」と振りかえる。

刑事ドラマでよく見る、「取調室で犯人にふるまわれるカツ丼」。これは実際にあることなのだろうか。福岡さんは、「警察指導の方に考証に入っていただいているので、『当時、こういうことは実際あったんですか?』と伺ってみたところ、昔は、カツ丼をふるまうこと自体『ないこともないです』と。でも、刑事さんがカツ丼の並で、犯人に特上のカツ重という展開については『見たことありませんね』と、すごく楽しそうに笑っていらっしゃいました」と明かした。

特上のカツ重に泣いた小田島が1日も早く堅気としてやり直して、一と一緒に暮らせるようになることを願ってやまない。

取材・文/佐野華英

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