【光る君へ】「NHKですよね?」濃厚なラブシーンに騒然

2024.3.16 06:15

『光る君へ』第10回より、愛を確かめ合うまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑) (C)NHK

(写真7枚)

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。3月10日放送の第10回「月夜の陰謀」では、まひろと道長の関係が思わぬ方向へと大きく動き、その衝撃の結末に、SNSが上を下への大騒ぎとなった(以下、ネタバレあり)。

■ 第10回「月夜の陰謀」あらすじ

父・藤原兼家(段田安則)をはじめ、一族が花山天皇(本郷奏多)退位をはかって動く一方、三男・道長(柄本佑)はまひろへの愛をつのらせ、和歌を送り続ける。しかしまひろが返すのは、その想いをはぐらかすような漢詩ばかり。藤原行成(渡辺大知)に「和歌は人の心を見るもの聞くものに託し、漢詩は志を言葉に表す」と助言を受けた道長は、「あなたに再び会いたい」という漢詩を送り、ついにまひろの心が動く。

道長から届いた「あなたに再び会いたい」という漢詩 (C)NHK
道長から届いた「あなたに再び会いたい」という漢詩 (C)NHK

廃屋で再会し、道長から「2人で遠くの国へ行こう」と強く乞われるまひろ。道長への愛を打ち明けながらも、道長が高貴な家に生まれたのは、この国を変えるという使命のためであり、自分とひっそり幸せになるためではないと拒否する。「誰よりも愛しい道長さまがこの国を変えていく姿を、私は死ぬまで見つめ続けます」というまひろを道長は抱き寄せ、そのまま2人は肌を重ねるのだった・・・。

■ 性描写に大パニック「待って、NHKですよね?」

当初「まひろと道長はソウルメイト」という設定を聞いたとき、「性別を超えた同士関係みたいなものを築くってことなのかなあ?」と思っていたが、始まってみると予想以上に恋愛要素強めだったことにドギマギしたのは、多分筆者だけではないと思う。そしてこの第10回では、ついに「セックス&バイオレンスの平安時代」の、前者の部分が濃厚に描かれるという、8時のドラマとは思えない展開に、SNSは大パニック状態に。

『光る君へ』第10回より、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の濃密なラブシーン (C)NHK
『光る君へ』第10回より、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の濃密なラブシーン (C)NHK

「えええ待って、NHKですよね?」「大河! 大河! これ、大河ドラマ!!」「血圧上がったの私だけじゃないと信じてる」「暗闇でもわかる、まひろの頬の上気した感じとか、乱れた道長の襟とか・・・うー(じたばた)」などの声に混じって、副音声担当の宗方脩氏は「ごめんwwwおじさん動揺しちゃったwww」の書き込みの後に「#5回も噛んだ」のハッシュタグを付け、作る側も相当ドキドキした回だったことをうかがわせた。

そしてこの体験が、のちにまひろが記すことになる『源氏物語』につながることを予感して、「源氏物語の『夕顔』の映像化だあ・・・屋根つきぬけて星が見える」「月夜の逢瀬は『賢木』の段での、光源氏と朧月夜との逢瀬のオマージュ」「やはり、まひろと道長は、藤壺-光源氏コースに乗るのだな」「まひろ、これもう一人で源氏物語女君全載せ分くらいの経験値になったな」などの考察の声も見られた。

■ 実は恋愛観が相当すれ違っている2人

さて、体は結ばれたとはいえ、この2人の恋愛観が実は相当すれ違っているというのも、今回で露呈してしまった。道長が「愛があれば怖いものはない」と完全に猪突猛進なのに対して、やはりさまざまな物語を読み込み、人生の経験値も高いまひろは「好きだけでどうにかなるほど、現実は甘くない」ことを知っている。だが、彼女に理性と知性があったからこそ、この関係を短期間で激しく燃え尽きる愛ではなく、「ソウルメイト」として末長く続けるものにできるのだろう。

『光る君へ』第10回より、愛を確かめ合うまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑) (C)NHK
『光る君へ』第10回より、愛を確かめ合うまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑) (C)NHK

SNSでも、「直秀(毎熊克哉)が居なければ出会わなかった二人が、直秀のおかげで距離を縮め、直秀の死でお互いに惹かれ合い、ただその解釈と見通した未来が真逆だった」「恋心と魂は共鳴するけど、芯の部分で相性がよくないんだろうね」「単純に好きで漢文読む女だから、社会全体の利益や損失が見えちゃう。愛の先に、駆け落ちの果てに、失われるものがわかっちゃう。でもそんな達観した女だから道長が惚れてしまうわけで」などの言葉が。

そう考えると『源氏物語』に出てくる姫君たちは、光源氏との恋に溺れるタイプはほとんどおらず、どこか一線を引いていたり、突き放そうとしたり、最終的には独立したりする人が多い。ラブゲームを描いているようで、実は一筋縄ではいかない男女のすれ違いの方に重きを置く。道長に見せたまひろの冷めた恋愛観が、のちに『源氏物語』に影響することになるのだろう・・・というより、大石静は『源氏物語』に描かれた関係性を分析したうえで、このまひろの恋愛のスタンスを定めたのかもしれない。

道長(柄本佑)に「道長さまがこの国を変えていく姿を、私は死ぬまで見つめ続けます」とまひろ(吉高由里子) (C)NHK
道長(柄本佑)に「道長さまがこの国を変えていく姿を、私は死ぬまで見つめ続けます」とまひろ(吉高由里子) (C)NHK

とはいえやはり、これだけヘヴィーなラブシーンを見せつけられると、2人が結ばれない運命にあるということが、いっそう歯がゆく思えてくる。SNSでも、「歴史なんてどうでもいいから、2人で遠くの国で生きちゃえよ!」「俺たちと一緒に史実ぶっ壊そうよ大石先生」などのあきらめきれない声が。今後2人にとって辛い展開があるたびに、私たちは「あの月夜の晩よもう一度」と、天を仰ぎ見ることになりそうだ。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。3月17日放送の第11回「まどう心」では、花山天皇の退位によって苦境に陥ったまひろの一家と、それに対して栄華を極めようとする兼家たちの姿が描かれる。

文/吉永美和子

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