ブギウギ最終盤、スズ子が「直球勝負」で魅せた歌の凄み

2024.3.22 08:15

大歓声の中「ヘイヘイブギー」でトリを飾る福来スズ子(趣里)(C)NHK

(写真5枚)

『ブギウギ』(NHK朝ドラ)の第25週「ズキズキするわ」が今週放送され、物語はいよいよラストスパート、残すところあと5話となった。3月22日に放送された121話では、スズ子(趣里)が年末の大型番組『オールスター男女歌合戦』の大トリをつとめ、『ヘイヘイブギー』を披露した。

福来スズ子の歌手人生の集大成となるような圧巻のステージに、観客や舞台袖で見ていた新人歌手の水城アユミ(吉柳咲良)と同じような表情で、テレビの前の視聴者の多くもスズ子のパフォーマンスに魅了されたのではないだろうか。このステージの撮影秘話について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

■「現場で見ていた我々も感慨深かった」趣里のパフォーマンス

福岡さんは「『ベテラン感』を感じさせつつも、若い頃よりもっとお客さんの心を掴んでいるのが伝わる、本当に素晴らしいパフォーマンスでした」と、ステージ撮影を振りかえる。

「これまでの楽曲と違って『ヘイヘイブギー』にはそんなに大きな振り付けがなく、踊りでお客さんの目を引くというよりは、しっかりと歌で魅了して、コール&レスポンスでお客さんと一体になって楽しむ曲になっています。スズ子の進化にあわせて、見せ方が新しい局面に入ってきたなと思わされました。ステージ上には『共演歌手』の役柄で、歌唱指導のゆうきさんやOSKのみなさん、OSK男役トップの楊琳さんにも立っていただいて、大いに盛り上げていただきました」。

スズ子の圧巻のステージを食い入るように見つめる水城アユミ(写真左、吉柳咲良)、茨田りつ子(右、菊地凛子)(C)NHK

また、「ベテラン歌手・福来スズ子の矜持」に見事な説得力を持たせながらこの大舞台をやりおおせた趣里について、「趣里さんの歌いぶりには力があふれ、表情にも余裕が感じられて。『歌』の直球勝負で人を楽しませるという貫禄を成立させていて、現場で見ていた我々も大変感慨深いものがありました」と、太鼓判を押した。

■ 『ヘイヘイブギー』をここまで寝かせた理由とは?

ところで、『ブギウギ』ではいつも羽鳥(草彅剛)から新曲を授かると、スズ子がその週の後半にステージで披露するのが習わしとなっていたが、第21週「あなたが笑えば、私も笑う」だけは特例だった。

新曲『ヘイヘイブギー』が出来上がったものの、ステージシーンはなく、21週の金曜回にてスズ子が愛娘・愛子(小野美音)の枕元で子守唄のように『ヘイヘイブギー』をアカペラ歌唱するシーンで終わっていた。それもすべてこの、121話の大舞台への布石だったということだ。

大歓声の中「ヘイヘイブギー」でトリを飾る福来スズ子(趣里)(C)NHK

福岡さんは、『ヘイヘイブギー』をここまで寝かせた理由について、こう説明する。

「『ヘイヘイブギー』の出しどころについてはとても考えました。『オールスター男女歌合戦』のトリという大舞台、しかも大和礼子(蒼井優)の娘である水城アユミとの新旧対決という場で何を歌おうかと考えたときに、ドラマのなかでの新鮮さも欲しい。そして、スタッフのなかにも『ヘイヘイブギー』が好きな人がとても多いんです。古さを感じさせず、今聴いても時代を超えて新しく思えるこの名曲が、最終盤のステージにはふさわしいのではないかと思いました」。

さて次週は、いよいよ最終週。週タイトルは「世紀のうた 心のうた」だ。福来スズ子にとって「歌」とは何だったのか、その答えが出るのかもしれない。

取材・文/佐野華英

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