【光る君へ】愛人を断固拒否したまひろ、2つの布石が理由か

2024.3.23 07:30

『光る君へ』第11回より、道長(柄本佑)の申し出を断るまひろ(吉高由里子) (C)NHK

(写真5枚)

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。3月17日放送の第11回「まどう心」では、まひろと道長の関係に暗雲が立ち込めると同時に、恋のライバルの存在感が一気に増すという状況に、SNSではハラハラするような声が相次いだ(以下、ネタバレあり)。

■ 第11回「まどう心」あらすじ

花山天皇(本郷奏多)が退位し、藤原兼家(段田安則)が摂政になったことで、天皇側に付いていたまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)は官職を失った。まひろは兼家の屋敷を訪ね、直談判をすることは叶ったが「ひとたび背いた者に、情けをかけることはせぬ」と、にべもなく追い返された。自宅に戻ったまひろを迎えた父の友人・藤原宣孝(佐々木蔵之介)は、まひろの度胸に感心し、婿取りを進めようとする。

まひろは使用人たちに暇を出し、家事に励むようになるが、その状況を知った藤原道長(柄本佑)はまひろを廃屋に呼び出し「妻になってくれ」と申し出る。しかし北の方ではなく、妾にしかなれないと知ったまひろは「耐えられない、そんなの」と拒否。ついに道長は怒ってその場を立ち去り、家に戻ったまひろは水に映る月を見ながら、ひとりすすり泣くのだった・・・。

『光る君へ』第11回より、まひろ(吉高由里子)の返事に苛立つ道長(柄本佑) (C)NHK
『光る君へ』第11回より、まひろ(吉高由里子)の返事に苛立つ道長(柄本佑) (C)NHK

■ 愛人を断固拒否のまひろ、理由はもしかして…

ついに前回で身も心も結ばれた・・・と思いきや、心の方はちょっとすれ違ってる? と、1週間視聴者をヤキモキさせたまひろ&道長カップル。この第11回の道長くんは、まひろの実家が自分の父親のせいでピンチ! なんとかしなきゃ! という男気も込みで、一気にゴールインを目指したのはよかったが、そこは悲しきかな一夫多妻制の時代。妾になる=立場的には絶対に一番になれないという、まひろの葛藤を道長が理解できず、破談(?)ということになってしまった。

この辛すぎる展開に、SNSでは「心の中で一番でも世が許さぬ。時代が許さぬ。2人の恋が実る道の障害が大きすぎて砕け散る。しんどさの極み」「道長の立場上まひろを正室に出来ないことは理解できるけど、妾大前提で求婚するなんて残酷すぎひん?」「あれ程慕い合うまひろと道長も相容れない価値観があると現実突きつけられて、視聴者のライフはゼロ」という、息も絶え絶えのようなコメントが相次いだ。

『光る君へ』第7回より、公任らが女性の品定めをする話をこっそり聞いてしまうまひろ(吉高由里子) (C)NHK
『光る君へ』第7回より、公任らが女性の品定めをする話をこっそり聞いてしまうまひろ(吉高由里子) (C)NHK

ただ、高貴な身分でしかも好き合ってる男性の愛人になるのを断固拒否なんて、多分現在に例えたら「1億円が当たりました」というのを断るぐらい不可解なこと。実際SNSでは「道長もあかんけど、まひろもわがままでは」という感じの意見も散見されたが、ここで思い出したいのは第7回の「北の方は身分の高い女にして、本当に好きな女は妾に」という公達たちのゲスい会話。そりゃあ「道長、お前もか!」というショックで、拒否反応が出るというものだろう。

『光る君へ』第11回より、『蜻蛉日記』の作者である寧子(財前直見)と兼家(段田安則) (C)NHK
『光る君へ』第11回より、『蜻蛉日記』の作者である寧子(財前直見)と兼家(段田安則) (C)NHK

そしてもうひとつ思い浮かぶのが、まひろが藤原道綱(上地雄輔)の母・寧子(財前直見)の『蜻蛉日記』の愛読者ということだ。妾ゆえに、どうしてもないがしろにされてしまう我が身の不遇を、恨み節フルスロットルで書きつづった告白本に、「妾にはなるもんじゃない」と刷り込まれてしまったとしてもおかしくない。しかも寧子の相手は、道長の父である兼家だから、余計に「いつかこの人も・・・」と思ったのかもしれない。寧子が今回チラリと登場したのも、その暗示なのでは・・・というのは考えすぎだろうか。

■ 女子トークに戦慄、水面下での三角関係

そんなわけで、自分の恋も家庭の状況も大変なまひろだが、そんな彼女をやさしく包みこんでくれたのが源倫子(黒木華)だ。登場した当初は、その親切な振る舞いに対して「京都人のいけずの裏返しでは」と疑う声が相次いだが、どうやら素でやさしい姫君ということがわかってきた。これはまひろと仲良くなれそうだ、と安堵したのもつかの間、お互いの思い人が道長だと知らないまま、女子トークを繰り広げる場面には戦慄が走った。

『光る君へ』第11回より、お互いの思い人が道長だと知らないまま、女子トークを繰り広げるまひろ(吉高由里子)と倫子(黒木華) (C)NHK
『光る君へ』第11回より、お互いの思い人が道長だと知らないまま、女子トークを繰り広げるまひろ(吉高由里子)と倫子(黒木華) (C)NHK

SNSでも、「まひろちゃんが倫子さまと親密になればなるほど、この先の展開が恐ろしい」「笑ってるけどまひろちゃん、どう見てもあなたのライバルよ?」「慕う先輩の好きな人が自分と同じってことを知らない残酷な少女漫画あるあるじゃん」「たいへん愛らしい場面なのに、狙ってる人→道長くんだと知ってる視聴者側からすれは超絶グロい場面」などの、水面下の地獄にハラハラする声が一斉に上がった。

しかも倫子さま、摂関家の強さがどれほどのものであり、自分の立場だとどのように対処するべきかを把握したうえで、まひろにピシャリと意見した。勉強は苦手と言いつつも、実は政治家の妻の資質という点では、まひろより断然上ということまで露呈してしまったわけだ。そして今回のラスト、どうやら道長が周囲の思惑通り、倫子を北の方にする道を選ぶことがほのめかされたわけだが、この三角関係を、果たして我々は冷静に見続けることができるだろうか。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。3月24日放送の第12回『思いの果て』では、まひろを妻にすることをあきらめた道長が、源倫子の婿入り話を進めると同時に、もうひとつの縁談が舞い込むところが描かれる。

文/吉永美和子

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