「虎に翼」第1週振りかえり・女賢しくて牛売り損なう?

2024.4.5 19:30

寅子(伊藤沙莉)の肩を抱いて覚悟を問う、母・はる(石田ゆり子)(C)NHK

(写真5枚)

4月1日にスタートした、女性として日本史上初めて法曹の世界に飛び込むヒロイン・猪爪寅子(読み:いのつめともこ)の人生を描く連続テレビ小説『虎に翼』(NHK朝ドラ)。4月6日の放送では、「女賢(さか)しくて牛売り損なう?」と題する第1週(4月1日〜5日放送)を振りかえる。

■ 女性にとっての一番の幸せって?

昭和6年(1931年)夏、東京で暮らす17歳のヒロイン・猪爪寅子(伊藤沙莉)は女学校の卒業を控えており、父・直言(岡部たかし)と母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧められていた。

同級生で親友の米谷花江(写真左、森田望智)と話す、ヒロインの猪爪寅子(伊藤沙莉)(C)NHK

世間では、女性は女学校を出たら結婚し、子供を産み、家族を守るのが当然とされている。しかし、寅子は「女性の一番の幸せは結婚である」と決めつける考えは自分にはしっくりこず、納得できないでいた。女学校で優秀な成績を誇る寅子は、そこで学んだ知識を卒業後に活かす生き方もあるのではないか、とも考えていた。

嫌々お見合いに出ては相手から断られることが続いていた寅子は、同級生で親友の米谷花江(森田望智)にその気持ちを打ち明ける。しかし、花江から諭された寅子は、愛する両親のために覚悟を決め、「三度めの正直にする」と3回目のお見合いに臨む。しかし、気合いが入りすぎた寅子は、見合いの場で喋りすぎてしまい、相手の機嫌を損ねて破談となる。

■ 法学との出会い、寅子の運命が動き出す

やがて、猪爪家は長男の直道(上川周作)の結婚に向けて忙しくなっていく。直道の相手は花江で、猪爪家に遊びに来た花江に一目惚れした直道が頼み込んで見合いにこぎつけたのだ。それは、女学校在学中に結婚することを夢見ていた花江にとっても願ってもない縁談で、ふたりとも幸せそうな様子だ。

写真左から、寅子(伊藤沙莉)、教授の穂高重親(小林薫)、臨時講師の裁判官・桂場(松山ケンイチ)(C)NHK

両家の母親たちが結婚準備を進めるなか、寅子の母・はるが親戚の不幸でしばらく自宅を留守にすることになる。代わりに食事の用意などを任された寅子は、猪爪家の下宿人・佐田優三(仲野太賀)のお弁当を届けるために「明律大学」を訪れる。亡き父に憧れて弁護士を目指す優三は、大学の夜学で勉学に励んでいる。

教室を訪れた寅子は、そこで教授の穂高重親(小林薫)と、臨時講師の裁判官・桂場等一郎(松山ケンイチ)の講義を耳にする。法律、そして女性の在り方について興味を持つ寅子に、穂高は自身が教授を務める「明律大学女子部法科」への進学をすすめる。そこは女性も弁護士になれる時代が来ることを見越して開かれた、女性のための法律の学校だった。

■ 女子部法科への進学に希望を見出すが・・・

穂高の言葉に胸を躍らせる寅子は、女子部への進学を心に決め、父・直言に事の次第を話す。直言は寅子の進学に賛成し、「はるは自分が説得するから」と背中を押す。そして、寅子と直言は、はるが戻ってくる前に既成事実を作ってしまおうと、はるが不在のうちに女子部に願書を出し終えた。

寅子(伊藤沙莉)と穂高教授(小林薫)の会話を聞き、顔がこわばる母・はる(石田ゆり子)(C)NHK

数日後、はるが自宅へと戻ってくる。しかし、味方のはずの父は頼りにならず、女子部法科への進学を切り出せないまま時間だけが過ぎていく。そんな寅子の心境を知った花江は、結婚式を最高の日にするために「直道との式が終わるまで、その話はしないでほしい」と釘を刺す。

そして花江は、自身の経験を踏まえ、寅子に「どうしても欲しいものがあるならば、したたかに生きなさい」と助言する。実は今回の結婚は、花江の方が先に直言に一目惚れしており、直言と結婚するために行動した結果、直言に見初められることに成功したのだ。次の日から、寅子は家事を黙々と手伝い、はるの機嫌を損ねないように努めてチャンスを狙う。

猪爪家と米谷家は無事に式を終え、いよいよ寅子ははるに進学の件を切り出そうとする。すると、偶然会場に現れた穂高教授と遭遇する。穂高は何も知らないはるの前で寅子に話しかけ、説得をする前に進学の件が明るみにでてしまうのだった。

■「それでも本気で地獄を見る覚悟はあるの?」母から問われる覚悟

寅子が法律家を目指せるほど優秀であることは十分にわかっていながらも、娘に普通の結婚を望むはるは、弁護士を目指すなど当然大反対する。それでも必死に説得しようとする寅子に、はるは「夢破れて行き遅れた時はどうするのか」と現実の厳しさを教え、放課後に振り袖を買いに行こうと提案する。

桂場の言葉に耳を傾ける寅子(伊藤沙莉)(C)NHK

母との待ち合わせ場所へ向かった寅子は、そこで裁判官の桂場と再会する。母を説得する方法を尋ねる寅子だが、桂場から「私も女子部進学には反対だ」と言われてしまう。女子も法律を学ぶべきという穂高の意見は素晴らしいとしながらも、時期尚早だと考えていた。

食い下がる寅子に「君のように甘やかされて育ったお嬢さんは、土俵に上がるまでもなく血を見るまでもなく、傷つき泣いて逃げだすのがオチだろう」と続ける桂場。すると、「お黙んなさい」「何を偉そうに、あなたにうちの娘の何がわかるっていうんですか」と、姿を現したはるが声をあげる。「そうやって女の可能性の目を潰してきたのは、どこの誰?男たちでしょ?!」と啖呵を切ったはるは、寅子を連れて店を出ると、呉服店を通り越して書店に入り、六法全書を買い与える。

戸惑う寅子に、はるは「自分自身の人生に悔いはない」「でも新しい時代を生きる娘にはとりすました顔をさせたくないと思った」と打ち明けると、「寅子、何度でも言う。今お見合いをしたほうがいい。その方が間違いなく幸せになれる。それでも本気で地獄を見る覚悟はあるの?」と告げる。母に覚悟を問われた寅子は「・・・ある」と凛とした眼差しで返すのだった。寅子の返事に、はるは「・・・そう」と優しく微笑み、寅子は「地獄への切符」を手に入れ、法学への道を歩み始めるのだった。

本作は、戦前戦後に女性法律家の草分けとして足跡を残した三淵嘉子(みぶちよしこ)さんをモデルに、日本初の女性弁護士でのちに裁判官となる一人の女性が、困難な時代のなかで仲間とともに道なき道を切り開いていく物語。土曜日はその週の振りかえり。

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