「虎に翼」第5週振りかえり・朝雨は女の腕まくり?

2024.5.3 19:30

写真左から、寄り添いあいながら直言を見守る寅子(伊藤沙莉)とはる(石田ゆり子)(C)NHK

(写真5枚)

激動の昭和時代、まだ日本では誕生していない女性弁護士を目指すヒロインが法曹の世界に飛び込んでいく姿を描く連続テレビ小説『虎に翼』(NHK朝ドラ)。5月4日の放送では、「朝雨は女の腕まくり?」と題する第5週(4月29日〜5月3日放送)を振りかえる。

■「直言が罪を自白した」と報道され、愕然とする猪爪家

ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の父で、帝都銀行に勤務する直言(岡部たかし)が贈収賄の容疑で突如逮捕される。突然の事態に混乱しながらも父の無罪を信じる寅子たちだったが、直言の逮捕はほんの皮切りに過ぎず、その後も官僚、現役大臣など合わせて16名が逮捕。通称「共亜事件」とよばれる世間を揺るがす汚職事件に発展する。

写真左から、新聞記事の内容に衝撃を受ける、はる(石田ゆり子)、寅子(伊藤沙莉)、優三(仲野太賀)(C)NHK

事件によって猪爪家にも世間からの注目が集まり、寅子は父の逮捕以来大学に行けずにいた。弁護士も見つからず暗く沈んでいく猪爪家だったが、そこに寅子の大学の同級生・花岡(岩田剛典)と、教授の穂高(小林薫)が訪ねてくる。法曹界の重鎮であり、直言の大学時代の恩師でもある穂高が弁護を引き受けてくれることになり、寅子たちは安堵する。

穂高の呼びかけでふたたび大学に通い始めた寅子だが、直言の逮捕から4カ月後に事態は急転。予審が終了し、逮捕された16人全員が裁判にかけられると報じる新聞記事には「直言が罪を自白した」とあり、寅子たちは愕然とする。その後、ようやく直言が帰宅するも憔悴しきっており、寅子は穂高から「直言の口から何があったのか、謂れなき罪を背負っているならばそのことを聞き出してほしい」と頼まれるのだった。

■無実の父を救うため、仲間とともに奔走する寅子

穂高の指示を受け、寅子は裁判所から借りた膨大な予審記録や調書を書き写し始める。授業以外の時間をすべて筆写に費やす寅子を見て、花岡や涼子(桜井ユキ)たち同級生も協力する。父の無罪の証拠を探すうちに、寅子は母・はる(石田ゆり子)が手帳に毎日欠かさずつけている日記の存在に気付く。

母・はる(石田ゆり子)が持つ、手帳を見つめる寅子(伊藤沙莉)(C)NHK

日記と調書の情報を照らし合わせると「共亜事件」が発生していた日に直言が自宅にいたことが明らかになり、寅子は父の無実を確信する。寅子はその事実を示して直言に迫ると、直言も上司から自白を強いられたことを明かす。しかし闘う気力をすっかり失っている直言は、証言は覆さないという。その事実を知った穂高は、「正々堂々と無罪を主張しよう」と宣言する。

そして穂高は、寅子に「共亜事件」被疑者の弁護を引き受けている弁護士たちを紹介する。弁護士たちの結束も固まる一方で、寅子は新聞記者に事件の記事を書くよう依頼するなど奔走するが、その最中に怪しい男から脅されてしまう。その場は帝都新聞の記者・竹中(高橋努)に救われ事なきを得るが、竹中から忠告を受けた寅子は仕方なく穂高たちに後のことを任せることにする。

■娘の思いに応え、ついに直言が法廷で無罪を主張する

昭和11年(1936年)1月。ついに第1回公判が始まり法廷に立つ直言だが、厳しい取り調べがフラッシュバックしたため一度退廷してしまう。しかし、記者の竹中から「また足突っ込むぞ娘さん。あんたがそんなんじゃ、また襲われるぞ」と言葉をかけられ、寅子が悪漢に襲われたことを知った直言は覚悟を決める。穂高からも勇気づけられ、直言はふたたび法廷に立つのだった。

写真右から法廷で証言する直言(岡部たかし)と、弁護する穂高(小林薫)(C)NHK

娘の寅子の気持ちに応え、取り調べで自白を強いられたことを公判で告白する直言。しかし、検察が自分たちの矛盾を認めることはなく、無罪は絶望的かと思われた。だが、直言が長時間にわたり革手錠をされて追い込まれたことが明らかになると、検察の高圧的な操作方法に対して世間の風向きが変わり始める。

■「共亜事件」の幕が閉じ、ようやく猪爪家に平穏な日々が戻る

こうして穂高をはじめとし、弁護人たちは直言らが自白を強要されたことを主張する。そして「共亜事件」に関わったとされる16名における100回を超える公判は結審となる。裁判長から言い渡された判決は無罪。その後、検察側は控訴を断念し、直言の無罪が確定する。ようやく平穏な日々が戻り、猪爪家の共亜事件は終わるのだった。

甘味処で裁判官の桂場(松山ケンイチ)と話す寅子(伊藤沙莉)(C)NHK

それからしばらくして、穂高から判決文を書いたのが桂場(松山ケンイチ)だと聞いた寅子は、桂場にお礼を言うために以前彼と遭遇した甘味処「竹もと」で待ち伏せする。寅子が感謝を伝えると、桂場は「誰のためでもなく裁判官として当然のことをしたまでだ」と答える。

そんな桂場に寅子は「自分は法律とは何かをずっと考え続けてきた」と語り、法律はきれいな水が湧き出ている水源のような場所と表現すると、「自分たちはそれがきれいな水のままでいられるように守り、正しい場所に導かなければならない」と続ける。寅子の話を興味深く聞いていた桂場は「君は裁判官になりたいのか?君のその考え方は非常に・・・」と返す。この会話が自身の未来に影響を与えることになるとは、寅子はまだ知る由もないのだった・・・。

本作は、戦前戦後に女性法律家の草分けとして足跡を残した三淵嘉子(みぶちよしこ)さんをモデルに、日本初の女性弁護士でのちに裁判官となる一人の女性が、困難な時代のなかで仲間とともに道なき道を切り開いていく物語。土曜日はその週の振りかえり。

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