【光る君へ】清少納言が大人の絡み、相手は枕草子の登場人物

2024.5.4 20:00

『光る君へ』第17回より、藤原斉信(金田哲)から迫られる「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ) (C)NHK

(写真5枚)

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。4月28日放送の第17回「うつろい」では、まひろがうれしい再会をきっかけに作家の業に目覚めるとともに、宮仕えを楽しむ清少納言の快進撃も描かれた(以下、ネタバレあり)。

■ 第17回「うつろい」あらすじ

救護施設「悲田院」でかかった疫病から回復したまひろは、藤原道長(柄本佑)がまひろを一晩看病したという事実を従者の乙丸(矢部太郎)から明かされる。父・藤原為時(岸谷五朗)は2人がこのまま深い関係になることを願うが、まひろはそれを否定。一方、悲田院の惨状を目にした道長は、疫病対策に無関心な兄の関白・藤原道隆(井浦新)に代わり、私費で救い小屋を建てる決意をする。

『光る君へ』第17回より、まひろに追いつくために届いた文を写していたさわ(野村麻純) (C)NHK
『光る君へ』第17回より、まひろに追いつくために届いた文を写していたさわ(野村麻純) (C)NHK

一緒に石山寺詣に行って以来、まひろと連絡を絶っていたさわ(野村麻純)が、ふいに家を訪ねてくる。兄弟を疫病で亡くして人生のはかなさを感じたさわは、まひろに追いつくために届いた文を写していたことを明かし、再び友情を築く約束をかわした。自分の書いた文章が、人の心を動かせることを知ったまひろは、筆をとらずにはいられないという衝動にかられるのだった。

■ 止まっていた創作活動、さわの言葉で再起動

石山寺で藤原道綱(上地雄輔)がぶち壊してしまった、まひろとさわのシスターフッド。このままフェイドアウトするのか・・・と思いきや、今回で突然修復した。その理由は、この疫病禍で人間関係の大切さを思い知ったから。新型コロナ禍や、あるいはそれ以前の東日本大震災などをきっかけに、昔の友情や恋愛を取り戻したという話が結構聞かれたものだが、さわも同様の心境になったということか。

『光る君へ』第17回より、再び友情を確認するまひろ(左・吉高由里子)とさわ(野村麻純) (C)NHK
『光る君へ』第17回より、再び友情を確認するまひろ(左・吉高由里子)とさわ(野村麻純) (C)NHK

SNSでは、「さわさん! 仲直り良かった」「まひろの気持ちが通じたんだね」「まひろが悪いんじゃなく、自分のなかのコンプレックスに全ての問題があることにきちんと自分で気づけたのは良い」などの歓迎の声が噴出。さらにまひろからの手紙を書き写して学んでいたことに、「素晴らしいぞさわさん。その努力は見事」「まひろの文字を写すことで、しっかりと気持ちを受け取っていたのかな」などのお褒めのような言葉が。

また以前、直秀(毎熊克哉)の散楽一座のために、まひろが芝居の台本を書いたとき「これが『源氏物語』執筆の大きなきっかけになるのか?」と思ったが、彼らの死から創作活動はストップ。しかし、思いの丈を綴った文章がさわの心を動かしただけでなく、その成長のきっかけにもなったという言葉が、ようやくまひろを再起動させた。これで「自分が生まれてきた意味」を知るための扉を、また少し押し開いたと言えるだろう。

『光る君へ』第17回より、さわ(野村麻純)が書き写した書 (C)NHK
『光る君へ』第17回より、さわ(野村麻純)が書き写した書 (C)NHK

SNSでも、「まひろの作家魂、完全に覚醒」「『何を書きたいのかは分からない。けれど筆をとらずにはいられない』それこそが物書きの業!!!」「書くことが即ち彼女の人生そのもので、自己表現になるんだろうな」「自分の言葉が人を動かす経験をして、作家(の卵)として一歩前進」「さわさんがまひろの筆をとることのきっかけになる展開、あつい」などの、期待を高めたというコメントが相次いだ。

■ 『枕草子』に登場頻度が高い斉信と大人の絡み

そうしてまひろが、彼女らしく不器用にコツコツと自分探しを進めているのに対して、一気に貴族の社交界の台風の目となったのが「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ)だ。彼女のことを「鼻柱をへし折りたい」と言っていた藤原斉信(金田哲)とは、どうやら大人の関係となったらしく「きゃー!」という描写もあったけど、それを「ちょっと寝たぐらいで『俺の女』扱いすんなよ」とつれなくはね返すききょう姐さんに、絶賛の声が集中。

『光る君へ』第17回より、藤原斉信を冷たくあしらう「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ) (C)NHK
『光る君へ』第17回より、藤原斉信を冷たくあしらう「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ) (C)NHK

「いいぞ! いいぞ! き・きょ・う!」「格好いい! どんどん袖にして!」「ききょうさんめっちゃメンチ切ってる! 斉信様タジタジ」「手玉に取るききょう様、ドS」「つれない女っぷりが癖になりそう」「機転が利いて仕事できて、職場の男と体だけの関係を持ったりしてて平安トレンディドラマ始まったかと思った」などの声援が見られた。

藤原斉信は『枕草子』で、清少納言がその人となりを褒めたり、2人が交わしたウイットに富んだ会話が記されるなど、かなり登場頻度が高い。実際に深い仲になっていた可能性もゼロではないし、斉信とのエピソードが割と浮かれた調子で書かれているところを見ると、ききょうも本気でふったというより「こんなステキな公達を冷たくあしらえる私、カッコいい!」と、ちょっと自分に酔っていたのかも・・・と思わなくもない。

今はききょうが仕える藤原定子(高畑充希)のサロンに出入りしている斉信だが、定子の父・道隆の死をきっかけに、政治的には微妙な関係になってしまう。ウイカの好演もあって、視聴者も現在のききょうのイケイケドンドンぶりを、ただただ応援するモードに入っているけど、その分今の美しい日々が終わりを告げたときの喪失感も、相当なものになるのではないだろうか。大石静の筆の容赦なさを考えると、今から構えておいた方がいいかもしれない。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。5月5日放送の第18回「岐路」では、道隆の次に関白に選ばれた人物の思いがけない結末と、まひろが藤原宣孝(佐々木蔵之介)やききょう、そして道長と再会する姿が描かれる。

文/吉永美和子

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