原作漫画家も泣いたアンメット「大切にしてきたこと伝わった」

2024.5.12 20:30

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』のワンシーン (C)カンテレ

(写真3枚)

杉咲花、若葉竜也の熱演が話題となっている医療ヒューマンドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ、毎週月曜夜10時~)。その漫画原作者である漫画家・大槻閑人が、ドラマ化の感想などについて語った。

原作は『モーニング』で連載中の『アンメット-ある脳外科医の日記-』(原作:子鹿ゆずる/漫画:大槻閑人)。大槻はドラマ化にあたり、「『すごく上質なドラマ』、その一言に尽きると思います。昨今の日本のドラマは、もっと分かりやすくライトなものが受け入れられやすいのかなと思っていましたが、SNSに寄せられたコメントを読むと、後遺症の恐さや登場人物たちの複雑な心情など、原作で大切にしてきたことが視聴者の方たちにきちんと伝わっていて、とてもうれしかったです」とコメント。

4月15日に放送された第1話では、事故の後遺症で過去2年間の記憶を失い、日々の記憶も1日でリセットされてしまう脳外科医のミヤビ(杉咲花)が、同じ脳外科医でアメリカ帰りの三瓶(若葉竜也)と出会い、医師としての自分を少しずつ取り戻していく姿が描かれた。放送後には「#アンメット」が日本トレンド1位を獲得し、無料の見逃し配信は1週間で208万回再生を突破した。

その第1話を担当編集らと一緒に観たという大槻は、「屋上でミヤビが『今日が明日につながらない』と三瓶に苦しい胸の内を吐露する場面では、作者として2人の過去を知っているからこそ、そこに言葉以上のものを感じて、人目もはばからずボロボロ泣いてしまいました。そのあと、残されたミヤビが1人で泣くシーンも、医者でいたいけれどいられないミヤビの気持ちがひしひしと伝わってきて、杉咲さんが神々しく見えるほど素晴らしいシーンでした」と振りかえった。

撮影現場を訪れた漫画家・大槻閑人(左)と主演の杉咲花 (C)カンテレ

そして、「今まで、あまり原作ファンの方の声を聞く機会がなかったのですが、ドラマの放送後、『ドラマもおもしろいけど、漫画もおもしろいよ』とSNSに投稿してくださっている読者が想像以上にたくさんいて驚きました。そういった生の声を聞いたのが初めてだったので、こんなにたくさんの人たちが原作を読んで支持してくれていたんだと、感動で胸が震えました」とも。

綾野剛主演でドラマ化もされた産科医療漫画『コウノドリ』で知られる漫画家・鈴ノ木ユウのアシスタントを長くつとめていた大槻。「自分には医療ものは描けない、プレッシャーが恐くて無理だと思っていたんです。それが、ご縁あって医療もののお話をいただき、僕には無理だなと思っていたら『原作者(子鹿ゆずる)は、元脳外科医の先生ですよ』と言われて、それならできるかも! と。以来、子鹿先生に甘えっぱなしで描いています。担当編集者さんと『いつかドラマになるといいね』なんて夢を語ったこともありますし、それが今現実になって、本当に幸せです」とはにかんだ。

5月13日放送の第5話では、ミヤビ(杉咲花)は三瓶(若葉竜也)から難易度の高い手術の術者に指名される。今の自分にはまだ無理と反論するが、「川内先生ならできます」という三瓶の口ぶりは、まるで手術の成功を確信したかのようだった。一方、全科で専門医レベルを目指す星前(千葉雄大)は、自分にも脳外科の手術をさせてほしいと三瓶に頼むが、あっさり拒否される。めずらしく声を荒げる星前だったが、その裏にはある理由が隠されていた。

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