関西の週末アート3選、大阪人も共感の「あるある展示」etc.

2024.7.5 17:30

えぇ人…スマホ片手に「縦でも撮りますね~」と言ってくれる人の像

(写真7枚)

現在、関西で開催中のさまざまなアート展のなかから、いま必見の展覧会をピックアップ。今週は、SNSで話題の展示、今までにない国宝展、巨匠・安彦良和氏の回顧展・・・と盛りだくさん!

■ 思わずニヤリ、共感呼びまくりの展示が大阪へ

シュールなイラストや写真で表現された「いい人すぎるよ」作品

「電話なのにお辞儀してる人」・・・といった日常に潜む「いい人」をイラストや文などで紹介する展覧会『いい人すぎるよ美術館+切ないすぎるよ博物館』が、「心斎橋PARCO」(大阪市中央区)で開催中。身近な人や自分の「あるある」事象がSNSで話題を呼んだ、くすっと笑える作品が勢ぞろいする。

2023年から全国7都市を巡回し、SNSでは「自分でやってることばかり」「あるあるの量がすごい」「誰もが過去になんとなく見た事あるいい人が絶妙に集まっててニヤニヤ」「『切ないすぎるよ』は哀しくも可笑しい」など、共感の声が続出。累計入場者数は10万人目前という好評ぶりで、大阪会場は最後の開催地となる。

心斎橋や粉もんなど大阪にちなんだ「切ない」作品も

また、各都市にちなんだ限定作品も登場しており、大阪会場では「梅田駅から大阪駅を案内してくれる人(いい人)」、「心斎橋の広い道路を渡りきれず、途中の島みたいなところで待っている時(切ない)」など、コアなご当地ネタから「阪神タイガース」「551」の王道ものまで、大阪人なら共感できる(?)作品にも注目。

「心斎橋PARCO」14階パルコギャラリーにて、7月7日まで開催。料金は1500円。

■ 友達感覚で仏様を感じて…新感覚の「国宝展」

重要文化財『大威徳明王像』平安時代(10世紀)通期展示

「大阪・中之島にパワースポット出現!」というポップなキャッチコピーと「桜ミク(初音ミク)」とのコラボレーションで開幕前から話題になっていた『開創1150年記念 醍醐寺 国宝展』が、「大阪中之島美術館」(大阪市北区)で開催中だ。

醍醐寺は、俵屋宗達の重要文化財『猿楽図屏風』(後期展示7月24日~)など、近世の名画が数多く伝わっており「桃山期の美の殿堂」ともいえる存在で、国宝や重要文化財など、約15万点もの文化財を所蔵している。今回はそのうち国宝14件、重要文化財47件の計約90件が全3章構成で一挙に公開される(会期中展示替えあり)。

「国宝」と聞くと少し堅苦しく感じるかもしれないが、同展では仏教美術の展覧会としては新感覚でポップなイベントやコラボが多い点が特徴。かつ、監修を務めた大阪市立美術館の内藤栄館長を含む、4名の専門家がしっかりと学術協力をしているため、従来の仏教美術ファンの期待を裏切らない見応えのある展示内容となっている。

国宝『文殊渡海図』 鎌倉時代(13世紀)前期展示(7月21日まで) 「美少年ぶりは格別」と紹介された文殊菩薩のお顔に注目を

また、大阪なだけに「太閤秀吉((豊臣秀吉)がもうひとつのテーマ」である点にも注目したい。「大阪中之島美術館」にて8月25日までの開催。料金は一般1800円ほか。

■ ガンダム、ヤマト…多彩な安彦良和氏の回顧展

『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターとしても知られ、マンガ家としても活躍する安彦良和氏(6月7日・神戸市内)

アムロ・レイやシャア・アズナブルなど・・・不朽の名作『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナーで同作のアニメーションディレクターとしても知られ、マンガ家としても活躍する安彦良和(やすひこよしかず)氏の大規模回顧展『描く人、安彦良和』が「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で開催中だ。

同展担当の学芸員が「あまりにも多才。これを観たら、大抵の絵描きは泣くんじゃないかと思うほどの画力」と力説するほど、全6章構成で約1400点という圧倒的なボリュームの作品や資料から、まさに「描く人」として、77歳になる現在までの超人的な仕事ぶりを通覧できる同展。

展示風景より。向かって右上がLPレコード『機動戦士ガンダム 戦場で オリジナルサウンドトラックⅡ」ジャケット用イラスト原画(1979) Ⓒ創通・サンライズ

その卓越した画力を示す伝説的な逸話がガンダム以前に携わった『宇宙戦艦ヤマト』で残っている。テレビ版の成功を受けて制作された劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』の主人公・古代進が恋人・森雪の亡骸を抱きかかえる静かなラストシーンでは、当初、絵コンテで参加していたものの、このシーンの複雑な心情表現が難しすぎて誰も描けないと、急きょ原画も担当することになったのだ。

安彦氏は北海道遠軽町出身であることから、開拓時代の北海道を舞台にした作品『王道の狗』も。同作は、自由党の壮士で網走監獄を脱獄した主人公2人とアイヌ人の女性・タキの恋愛を軸に描かれているが、勝海舟や陸奥宗光といった実在の偉人も次々登場する。同展は、マンガの原稿なども展示することで、安彦氏の創作活動の全貌に迫る初の試みでもある。

「兵庫県立美術館」にて9月1日までの開催。料金は一般1900円ほか。

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