触って愛でる木彫り動物、神戸で「はしもとみお展」

2024.8.11 10:00

いきものをやさしく触って愛でたい(8月8日:はしもとみお展)

(写真10枚)

兵庫県出身の彫刻家・はしもとみおさんの巡回展『はしもとみお展ー時を刻むいきものたちー』が、「神戸ゆかりの美術館」(神戸市東灘区)で開催中だ。巡回展の中で神戸会場が最大の広さとなる。

いまにも動きだしそうな、まるで生きているような表情の木彫りの彫刻作品を多数生みだしている、はしもとさん。愛らしさと躍動感を兼ね備えたそれらの作品を再現したカプセルトイは「キタンクラブ」など複数メーカーから何バージョンも発売されたりするほどの人気で、多くの人たちから愛されている。

いまにも走り出しそう「アラブのスナネコ」(8月8日:はしもとみお展)

はしもとさんは、獣医を目指していた15歳の時に阪神・淡路大震災を経験し、動物たちのいる風景が一瞬にして失われるという光景を目の当たりに。この体験をきっかけに、たとえ失われた命であってもその輝きを「彫刻」という形で残したい、と作品づくりをはじめた。

本展では「時間」をテーマに、新作の彫刻「ゴン」「トム」をはじめとする木彫りの彫刻作品や、これまでに発表されていない、被災後から美術大学在学中の作品、作品を制作するまでに丁寧に観察した動物たちのスケッチ、モデルたちの個性を記録したメモなど、約 110件が展示されている。

「トム」は「かわいいだけでない大胆な動きが魅力」と学芸員の辻さんは語る。時計は阪神・淡路大震災の発生時刻を指す(8月8日:はしもとみお展)

■ いきものたちを触って愛でたい!肉球マークのシールが目印

今回の展示の特徴は体験型。全てではないが、実際に触ってなでたり、木彫りの手触りを楽しむことができる彫刻作品が多数。なんとロバの木馬には20キロ以下の子どもは乗ることもできる。

さらに静止画撮影はもちろん、1分以内の動画撮影もOK。SNSへの投稿も可能だ。それゆえ何時間もかけて、じっくりと展示を楽しむ来場者も多いそう。

乗車可能なロバの木馬、ただし20キロまでに限る!(8月8日:はしもとみお展)

学芸員の辻さんは「はしもとさん本人からの楽しいのアイディアと、いきものへの愛が詰まった展示になりました。次の展示室の移動を猫の『シナモン』が誘ってくれたり、神戸会場にちなんだ遊び心のある展示もあったり、至る所で『かわいい~』の声があがっています。彫刻作品は前から見るだけでなく、全方位からじっくり楽しんでほしいです」と話す。

表情がたまらない人気の作品「わさお」(8月8日:はしもとみお展)

■ 展示に連動した音楽イベントとマルシェ、9月に開催

今回の展示のクロージングイベントとして、9月14日には『ケモノとひと時音楽祭 -阪神・淡路大震災復興祈念-』も開催される。

イベントの会場装飾ははしもとさんが担当し、出演者にも名を連ねる。共演は、はしもとさんとゆかりのあるアーティストたち。元「たま」で、現在は「ちくちんどん楽団」の活動などで知られる「知久寿焼」、木琴などを奏でる「むぎ(猫)」、オルガン弾きの「JON(犬)」という、なんともかわいい布陣だ。

同日には、いきものをモチーフとした作家の作品が集まる『いきもにあマルシェ』も同時開催される。そちらでは音楽祭の出演者「むぎ(猫)」とのコラボの皿、「平米ワークス」×「はしもとみお」の木製の手描きの皿などが会場限定で発売されるので、ファンは見逃せない。

展示、音楽祭、マルシェと「はしご」をして、はしもとみおさんの作り出すやさしい空間と時間をじっくり楽しみたい。

宇宙に行った犬、クドリャフカ(8月8日:はしもとみお展)

『はしもとみお展ー時を刻むいきものたちー』の開催は「神戸ゆかりの美術館」で9月16日まで。開館時間は朝10時から夕方5時まで(入館時間は夕方4時30分まで)。入場料は一般1200円。他詳細は公式サイトでチェックを。

『ケモノとひと時音楽祭 -阪神・淡路大震災復興祈念-』は「神戸ゆかりの美術館」と同建物内の「オルビスホール」にて、9月14日昼2時から。料金は一般4500円 、 小・中・高校生2000円※未就学児膝上無料。詳細は公式サイトで確認できる。

神戸ゆかりの美術館 、オルビスホール
住所:神戸市東灘区向洋町中2丁目9-1
交通:六甲ライナー「アイランドセンター駅」下車南東すぐ

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