ツアー開催の伊藤蘭「今この瞬間を楽しみましょうと伝えたい」
2019年、キャンディーズの解散以来41年ぶりにソロ歌手としてデビューした伊藤蘭。2023年末には、46年ぶりに『NHK紅白歌合戦』にも出場し、大きな話題となった。
そんな伊藤が8月21日にニューシングル「風にのって 〜Over the Moon」をリリースし、さらに25日に大阪「フェスティバルホール」にてコンサート『伊藤 蘭 〜Over the Moon〜コンサートツアー 2024-2025』を開催する。そこで今回は、自身の生き方の話も絡めながら、音楽活動のおもしろさについて語ってもらった。
取材・文/田辺ユウキ 写真/木村華子
■ 「今、ゼロから作る喜びを噛み締めている」
──ニューシングル「風にのって 〜Over the Moon」ですが、「Shibuya Sta.Drivin’ Night」(2023年)の流れを汲む良質なシティポップで、すばらしい楽曲でした。
「Shibuya Sta.Drivin' Night」は私にとって心地の良い、新しい出会いの楽曲となりました。ですので、作詞・作曲の安部純さんにも、さらに世界を広げるような楽曲を制作していただきました。
──東京で生まれ育った伊藤さんだからこそ、シティポップがよく似合う気がします。
私が生まれたのは、東京でもシティのちょっと外れだったので(笑)。だから余計に子どもの頃からシティへの憧れがありました。昔って、日曜日なんかは学校も仕事もお休みで、商店街なんかも閉まっていることが多くて。人が外にあまりいなかったからなんだか物足りなくて、私は休日が好きではなかったんです。
だけど都会の街はそうじゃなかった。お休みでも常に人が動いているし、パワーが感じられました。私もそのなかの一人になりたいってずっと考えていました。だから、夜の六本木とか大好き。お酒を飲んだりすることはないけど、その場所で人が生きている感じが伝わってくるから。そこを歩くだけでも元気になります。
──カップリング曲「大人は泣かない」もレトロフューチャー感のあるデジタルサウンドで聞き応えがありましたし。伊藤さんが今、アーティストとして非常に充実していることが伝わってくる2曲ですね。
2019年に歌手活動を再開しましたが、今はゼロから作品を作る喜びを噛み締めることができています。かつては、曲作りにゼロの段階から携わるということはなく、できあがったものをいただいて、「じゃあ歌唱面でどういう風に表現しようか」というのが当時の流れでした。
──キャンディーズ時代などはまさにそうですよね。
そのときは、チームのみなさんが作ってくださったものを表現することの責任と大切さが学べ、なにより「枠を設けられた上で、自分たちはなにができるのか」を考えることもできました。そういった素敵な経験があったからこそ、今、ゼロから作ることの喜びがちゃんと感じられるんです。
■「自分はいつも、成熟の手前にいたいんです」
──そう考えると「風にのって 〜Over the Moon」「大人は泣かない」は、伊藤さんが音楽面で目指している方向性がかなり表れた2曲なのではないでしょうか。
具体的に「こういうものが好き」と定まってはいないのですが、好きな方向性は確かになんとなくあり、そちらを向いてやっていこうというのはあります。ただ、これは「風にのって 〜Over the Moon」の私なりの楽曲解釈にも繋がるのですが、こだわりを持ちすぎず、できるだけ自由にやっていきたい気持ちはあります。
私は自由を感じる瞬間が一番好きで、それによって心がちょっとだけ高みにいけるんです。こだわりを持ちすぎると動けなくなっちゃうので、できるだけそういうものは手放して、なにごとも開放的な気分で進んでいます。
──なるほど。
あと私自身、達観したくないところもあって。成熟したら枯れるだけ、というのが人の常。でも自分はいつも、成熟の手前にいたいんです。そんなだから、私はすっかり大人ですけど、総体的には大人になりきれていません。年齢だけ重ねて、中身は幼い頃から大して変わりがないんです。
■「特別なプレゼントのように感じた」紅白出演
──しかしそれが楽曲含めて、新鮮さが失われない秘訣な気がします。そういった魅力が、フレッシュな顔ぶれが揃っていた2023年末『第74回NHK紅白歌合戦』のなかにあっても、非常に目立っていたというか。
昨年の『紅白』は素敵なシチュエーションを作っていただいて、特別なプレゼントのように感じました。スタジオでバンドとともに出演させていただき、ファンのみなさんもその場にいらっしゃって。みなさんの応援も楽曲やステージを彩る大切なものの一つなので、『紅白』という場でそういった光景を全国の方にご覧いただけたのは本当にうれしかったです。
『伊藤 蘭 〜Over the Moon〜 コンサートツアー 2024-2025』
【大阪公演】
日時:2024年8月25日(日)・開場17:00 開演18:00
会場:フェスティバルホール(大阪市北区中之島2-3-18)
【京都公演】
日時:2025年1月12日(日)・開場16:00 開演17:00
会場:ロームシアター京都 メインホール(京都市左京区岡崎最勝寺町13)
【兵庫公演】
日時:2025年1月13日(祝・月)・開場16:00 開演17:00
会場:神戸国際会館こくさいホール(神戸市中央区御幸通8-1-6)
料金:指定席9900円、U-18チケット5500円(未就学児入場不可。U-18シートは18才未満対象のお席となり、一般発売からの販売となります)
お問合せ:0570-200-888(キョードーインフォメーション/11:00~18:00 ※日祝除く)
0570-08-9999(CNプレイガイド)
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