観光客で賑わう「奈良」に新ホテル、地元民も意識したその全貌は

2024.9.8 10:00

「宿泊客と地域の人々との交流の場としてソーシャルハブになれば」との願いが込められた1階部分

(写真8枚)

昨今観光客で賑わう古都・奈良に、新ホテル「ノボテル奈良」(奈良県奈良市)が9月4日に開業した。インバウンドの旅行者などが主なターゲットの一方で、地元住民の利用をかなり意識している。その全貌は?

■ 全264室、随所に奈良モチーフ

9月4日に開業したノボテル奈良

世界110カ国以上で5700を超える施設を運営するアコー(本社:フランス・パリ)が手掛ける同ホテル。

全264室の客室は、3~7階がスタンダードタイプ、8・9階がエグゼクティブタイプに分かれ、全部屋に初導入となるミラー搭載されたタブレット型の「スマートミラー」を設置。従来の内線電話ではなく、この「スマートミラー」でレイトチェックアウトの依頼や周辺観光情報、館内の大浴場の混雑状況、ランドリーの稼働上状況などを確認することができる。

和洋室
キッズスペースも備えたウェルネスラウンジ

随所に奈良の文化や工芸、自然をモチーフにしたデザインが取り入れられ、エグゼクティブラウンジだけでなく、キッズスペースも備えたウェルネスラウンジやフィットネスジム、ミーティングルームなども完備しており、レジャーやビジネスはもちろん、近年ワ―ケーションで関心が高まるプレジャー(ビジネスとレジャーを組み合わせた造語)にも対応している。

■ 「地元住民の利用」もかなり意識

1階のレストラン「トラットリア・ポンテ奈良」は宿泊者以外も利用可。春になると奈良市内随一の桜並木を誇る「佐保川の桜」ビューになる

同ホテルは、奈良公園などがある観光の中心地から一駅離れた「新大宮駅」エリアに立地。すぐ隣には「奈良県コンベンションセンター」等があり、県が政策として推進するMICE(企業や団体が開催する会議やイベント、国際会議、展示会、見本市などのビジネスイベントの総称)で来訪したビジネス客やファミリーを含むインバウンドの旅行者などが主なターゲットだ。

しかし、それだけではなく、ホテルの広報担当者が「奈良の良いものを地元の方にも改めて感じていただけたら」と力を込めるほど、地元住民の利用をかなり意識している。宿泊客以外でも利用可能な場所は、1階のカフェ・バー「ソーシャルラウンジ」とレストラン「トラットリア・ポンテ奈良」、8階の奈良では初の通年営業をおこなうルーフトップテラスのカフェ&バーだ。

地元住民も「奈良の良いものを改めて感じる」ようにと地元食材がふんだんに使われた本格イタリアン

「トラットリア・ポンテ奈良」では、朝食・ランチ・ディナーすべてをビュッフェ形式で楽しめる。大和牛や大和ポーク、大和野菜、大和茶はもちろん、十津川村など県南部に伝わる保存食「ゆべし」と奈良漬を使用したウニのパスタ、奈良県葛城市で生産された古代小麦(スペルト小麦)を使ったピザなど、随所に地元奈良の食材をふんだんに使用している。

なかでも、奈良が発祥の地とされる清酒と柿の葉パウダー(奈良県は柿の生産量全国2位)を使用したティラミスは、爽やかな香りと甘みのなかにパウダー独自のほろ苦さがあり、地元人である筆者も驚きのおいしさと組み合わせだった。

さらに同ホテルは、奈良市内随一の桜並木の名所「佐保川の桜」の真横に建つ。そのため、桜シーズンの8階の「ルーフトップテラス」からの眺めは最高だ。当初は宿泊者のみの利用を予定していたが、あまりに見事な桜並木を真上から花見できたことから、地域の方にも楽しんで欲しいと開放に踏み切ったという。奈良の伝統行事「若草山焼き」や8月15日の「奈良大文字送り火」も間近に望めるビュースポットだ。

8階のカフェ&バー「ルーフトップテラス」

そして、七宝柄の大きな行灯がシンボルの1階「ソーシャルラウンジ」は、宿泊客と地元の人々との交流の場。広報担当者は「ソーシャルハブになるように。ゲストだけでなく地元の方にも奈良って良いところだと感じてもらえたら」と語っている。

取材・文・写真/いずみゆか

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