道長暗殺計画を寸前で阻止、意外な人物が貢献【光る君へ】

14時間前

道長(柄本佑)を別の道に導く隆家(竜星涼)(C)NHK

(写真9枚)

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。9月15日放送の第35回「中宮の涙」では、道長たちがチャレンジした御嶽詣(みたけもうで)のあまりのハードさにSNSが盛り上がると同時に、道長の政敵・藤原伊周&隆家兄弟の決別にもスポットが当たった。

■ 伊周たちが矢を射かけようとするが…第35回あらすじ

藤原道長(柄本佑)は、一条天皇の中宮となった娘・彰子(見上愛)の懐妊を祈願するため、嫡男・頼通(渡邊圭祐)と義兄・源俊賢(本田大輔)を連れて、奈良・金峯山に参詣する「御嶽詣」に向かった。道長に恨みを持つ藤原伊周(三浦翔平)は、道長の供が少ないことを知り、平致頼(中村織央)と道長の暗殺を画策。そうとは知らない道長たちは、険しい山道を越えて本堂にたどり着き、無事に参拝を終えた。

思った以上にハードそうな「御嶽詣」(C)NHK

その帰り道に、伊周たちが道長一行に矢を射かけようとするが、兄の企みに勘づいた藤原隆家(竜星涼)が道長に追いつき、別の道に導いてしまう。伊周に「お前は俺の敵か?」と問われた隆家は、道長を殺してもなにも変わらないことと、憎まれてもそれを止めるのが自分なりの詫びだと訴える。その説得を聞いた伊周は「道長なぞ狙ったつもりはない。うつけ者め」と言い捨てて去っていった・・・。

■ あのCMを思い出し、SNS「ファイトぉぉ!」一色に

修験道の総本山・金峯山寺を、100日ぐらい前から身を清めて参拝する「御嶽詣」に向かった道長くんたちの話で、ほぼ前半が占められた35回。ちなみに最後の方で地面に埋められた筒は、道長直筆の経典が収められた「経筒」で、実は今も現物が中身ごと存在している。それを収めるための儀式がこういう形でビジュアル化されると、やはり1000年以上昔に藤原道長という人が確かに生きていて、強い願いを持ってこの地まで来たのだなあと、思わず感慨にふけってしまう。

実は今も現物が中身ごと存在しているという「経筒」。地面に埋めるシーン (C)NHK

しかしその道中は、思った以上のハードモード! 特に本堂に至る道(?)はもはやロッククライミングで、SNSでも「想像の1000倍キツそうでブルッてる。クリフハンガーやん」「デッドオアアライブすぎる!!」などの悲鳴が上がる一方、かつてまひろの亡夫・藤原宣孝(佐々木蔵之介)が、黄色いど派手な衣裳で御嶽詣をした話を思い出し、「待って! 御嶽詣って『いえーい』のノリで行けるもんじゃなかったの?」「宣孝おじさん、実は鬼フィジカルの持ち主だったのではないか」と、認識を改める人が続出した。

『光る君へ』第13回より、派手な着物をまひろの父・為時(岸谷五朗)に披露する藤原宣孝(佐々木蔵之介)(C)NHK
『光る君へ』第13回より。派手な着物をまひろの父・為時(岸谷五朗)に披露する藤原宣孝(佐々木蔵之介)(C)NHK

さらに筆者を含めた一定の世代より上の人たちは、残らず某健康飲料のCMを思い出して、SNSがあの決め台詞で埋まるという事態に。「あのCMしか思い出せない世代」「ファイトぉぉ! いっぱぁぁぁつ!! と叫んでいた人が多かったでしょうね」「予告以上に手に汗握るリポDのCMだったw」「御嶽詣でまさかの平安時代リポビタンDを拝見できるとは!」「想像以上にファイト一発な御嶽詣にぜひリポDのCMが来てほしい」などの声が上がっていた。

静止画で見ると、より「ファイトぉぉ!」感が増す (C)NHK

■ 襲撃計画、劇的なドラマ展開にSNS大興奮

さてそんな「笑ってはいけない御嶽詣」の裏で、藤原伊周による道長くん襲撃計画は、ちゃくちゃくと進んでいた。前回のコラムでも記したが、この暗殺計画自体は確かに噂にはなったが、特にそれが進んでいたという記録も残っていない。しかし『光る君へ』では、実行一歩手前までいったものの、弟・隆家が兄の様子がおかしいことを察知して、何食わぬ顔で道長を助けに来たという、なかなかに劇的なドラマに仕立て上げてきた。

道長一行に矢を射かけようとする伊周(三浦翔平)たち (C)NHK

SNSでも「うわーうわー弟くんそうくるか!」「隆家! GJ!!」「あの時(長徳の変)身をはって伊周は隆家を止められなかった。だけど、隆家は射られるのを構わず伊周を止めた、ここが差なのだ」「道長の襲撃が成功していれば、いずれ必ず伊周が主犯だとバレる。兄の処刑は確実。隆家は兄から恨まれようとも罪滅ぼしのために体を張る必要があったのだ」などの、隆家の判断と行動力を大絶賛する声があふれた。

兄の様子がおかしいことを察知した弟・隆家(竜星涼)(C)NHK

■ 隆家を敵と見なした伊周、分断は決定的に

家の没落以降、巻き返しをあきらめずに悪あがきする兄と、家の再興など考えず道長に従順する弟・・・と、ゆるやかに道を違えていた伊周と隆家。しかし伊周が今回の計画を、隆家に少しも相談せずに進めたこと。さらにそれを阻んだ隆家を「敵」と見なしたことで、分断は決定的になってしまったと言える。隆家が伊周に、改めて「長徳の変」の失態を詫びる言葉は、ある意味別れの挨拶と言えるものだったのかもしれない。

分断は決定的になってしまったと言える伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)(C)NHK

SNSでも「何も考えずに好き勝手に生きてる子かと思ってたら、妄執に取り憑かれた兄さん想いのよくできた弟だった」「過去の栄光に囚われ続ける兄と、深く後悔し、元気いっぱい前に進む弟。光と闇だなぁ」「伊周にとって弟は救いの神なのか疫病神なのか。ここで決別するのか」「隆家くん、身内に対しての罪悪感に焼かれつつ、主人公陣営に寝返ってるの、光堕ちとしてあまりに美しい」などの言葉が上がっていた。

竜星涼演じる、藤原隆家(C)NHK

隆家役の竜星涼は、「自分が謝ることで兄貴が変わってくれることを望んだけど、やっぱり反応はイマイチで、もう止められなくなったかというさみしさを感じた」と、公式のインタビューで語っていた。彼のコメント通り、完全に暗黒のトンネルから出られなくなった伊周。ここまで来たら、父・道隆役の井浦新がかつて『平清盛』で演じた崇徳上皇並みの、大河ドラマの歴史に残るぐらいの闇落ちぶりを期待したい。伊周ならやってくれる!

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。9月22日放送の第36回「待ち望まれた日」では、中宮・彰子が一条天皇(塩野瑛久)の子を宿したことで、まひろが道長から一つの使命を受けることと、清少納言(ファーストサマーウイカ)が伊周にある訴えを持ちかけるところが描かれる。

文/吉永美和子

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