水族館の「ジンベエザメ」は海に帰って大丈夫? 海遊館に聞いた

海遊館のジンベエザメ「海(搬出前)」と「遊」(10月2日・太平洋水槽/Lmaga.jp撮影)
大阪の水族館「海遊館」(大阪市港区)が、世界最大の魚類である「ジンベエザメ」の搬入・搬出を実施。10月2日夜、同館で飼育展示されていた「海(かい/オス、全長5.9m/2019年に搬入)」を搬出し、新たに「大阪海遊館 海洋生物研究所以布利センター」(高知県土佐清水市)から1頭(オス、全長4.7m)が搬入された。
もともと海で生活していたとはいえ、一時的に人の手で健康管理された生き物を再び自然の海に帰して、無事に生きていけるのだろうか?「海遊館」の村上寛之館長に話を聞いた。
■ 今できることからやっていくことが大事
──なぜ海に返すのでしょうか?
絶滅危惧種のジンベエザメは、まだまだ生態などに謎が多く、これを解明することが保護や保全に繋がると考えています。
たとえば、南の方から来て日本の沿岸を通ってまた南の方に戻っていくという回遊行動をしているのではと推測できたり、海の表面で暮らすことが多いのに1500メートル程潜る事もあるので、そこに何かジンベエザメにとって必要なものがあるのか?どんな地域でどんなことをするとジンベエザメの保全に繋がるのか、今できることからやっていくことが大事なんです。
飼育しながらどういう栄養が必要か、成長していく身体の仕組みが少しずつ分かってきます。今回は、海くんの血液データなどが蓄積され、体調も良好ですので海に返すことになりました。
──水槽にいた生き物を自然の海に放流しても大丈夫なのでしょうか?
食べ物を得る習性を忘れてしまうのでは?と心配されることもありますが、もともと漂うようなプランクトンを食べているジンベエザメには「海遊館」でも同じような餌を与えているので、プランクトンを海の中で見つけられたらちゃんと食べてくれると思います。
過去に6カ月の回遊調査をした時は、高知県からフィリピンの方まで泳いでいった記録もあるので、一度飼育をしたジンベエザメでも、ちゃんと海で暮らしてくれることが分かっています。
■ 多くのスタッフが見守るなか、約5時間の大作業

搬入・搬出に伴うジンベエザメの長距離輸送は、特製の輸送容器と大型トレーラーを用いた陸上輸送で実施。新しいジンベエザメは2日の夜7時頃「海遊館」に到着し、血液検査やエコー検査などがおこなわれた後、巨大なクレーン車を駆使して慎重に移動、無事太平洋水槽にリリースされた。直後からスイスイと泳ぎ回り、この瞬間は3頭(旧・海くん、新・海くん、遊ちゃん)が同じ水槽にいる貴重なひとときとなった(新しいジンベエザメは歴代のオスの名前「海」を引き継ぐ)。
搬出される「海」は、多くのスタッフたちに見守られながら、午前0時頃に同館を出発した。

■これからどうなるの?
輸送先の以布利センターで健康チェックをした後、記録装置を装着し、故郷である太平洋へ放流。1カ月にわたって、自然の海での回遊経路を調査する。
今回仲間入りした「(新)海」は、高知県沿岸の定置網に迷い込んだ個体。2024年から以布利センターで餌付けや健康管理に伴うトレーニング、血液検査がおこなわれており、これからも健康管理・生態研究を継続しながら、2014年より海遊館で暮らす「遊(ゆう/メス、全長6.2m)」とともに2頭で展示される。
もちろん、水族館という環境が得意でない子もいるため、見極めながら場合によっては短い期間で海に返すこともあるそう。ちなみに、遊ちゃんと以前の海くんは、お互い泳ぐ場所を分け合うなど仲良くしていたそうだ。
1990年の開業当初から迎え入れ、2024年10月現在では本州で唯一ジンベエザメを飼育する海遊館。他の水族館とも情報共有をしながら命を守っていく。


取材・文・撮影/Lmaga.jp編集部
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