揺れる政局にも…安定の実資&道綱に絶賛の嵐【光る君へ】

5時間前

娘にデレデレの実資(秋山竜次)(C)NHK

(写真6枚)

吉高由里子主演で『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。11月3日放送の第42回「川辺の誓い」は、三条天皇が道長の勢力をどんどん削いでいくなかで、ついに道長がダウン。そんな不穏な状況のなかで、周りの貴族たちの動きにも視聴者の注目が集まった。

■ 政局が不透明となるなか…第42回あらすじ

三条天皇(木村達成)は、藤原道長(柄本佑)の娘・妍子(倉沢杏菜)を自分の中宮にすると同時に、身分の低い后・娍子(朝倉あき)を皇后にすると宣言。妍子の元に通うことを盾にして、道長にしぶしぶ承知させた。2人の対立もあって、妍子と天皇の仲は近づく気配がなく、道長は妍子の姉・彰子(見上愛)を『源氏物語』で救ったまひろに相談。まひろは「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ」としか言えなかった。

まひろと宇治を散歩し、涙を流す道長(柄本佑)(C)NHK

その直後、道長は病に倒れ、天皇に辞表を出すほどの重体となった。政局が不透明になったなか、内裏では道長の病を喜ぶ者として、藤原道綱(上地雄輔)、藤原実資(秋山竜次)、藤原隆家(竜星涼)らの名が連なった怪文書が出回りはじめる。「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ)は隆家に、現在の世の乱れを嘆くとともに、どうせ道長の命は長くないから、放っておけばいいと告げるのだった・・・。

■「事例を作ると過去から殴られる」…三条天皇に軍配

前回で即位した瞬間から、矢継ぎ早に道長を翻弄する策を繰り出し、想像以上の切れ者ぶりで視聴者を驚かせた三条天皇。その攻撃は第42回でも止まらず、最愛の妻・娍子を皇后にすることをゴリ押しした。これは道長自身が、彰子を一条天皇(塩野瑛久)に入内させるときに「一帝二后」の前例を作ってしまったこと。さらに「受け入れなかったら、妍子とは子どもを作らないよ?」という、それじゃあ后にした意味がない! という弱みを突かれて、またしても三条天皇に軍配が上がる結果となった。

娍子(朝倉あき)を皇后にすると宣言する三条天皇(木村達成)(C)NHK

この連勝具合にSNSも、「三条天皇やりおるな。東宮時代にめっちゃ作戦考えたのかな?」「これは摂関を抑える英主になるんやろなあ」「自分がやった一帝二后がブーメランに」「過去に事例を作ると過去から殴られる」などの声に混じって、「ドラマの中では精一杯嫌な奴的な雰囲気出してるけど、やってることは新しく来た若い妻に目もくれず糟糠の妻を何とか守ろうと必死な行動なので、普通にめっちゃ良い男」という感嘆の言葉もあった。

■ 寂しい宴席に同情の声…『真田丸』を思い出す人も

しかしまひろと約束した「良い政」をするためなら、割と手段を選ばなくなってきた道長くん。なんとか三条天皇のマウントを取るために、娍子の立后と妍子の内裏参入を同じ日にするという手段に。これはかつて、一条天皇の皇后・定子(高畑充希)の出産予定日に、彰子の入内をぶつけた、あの「ライバルの祝い事を自分たちのビッグイベントで上書きする」作戦のリフレインだ。だがその前例を知っていた三条天皇、あえてこちらの開始時間をズラすという返し技を使ってきたのだから、本当にその判断力に恐れ入る。

娍子の立后の祝いの席の様子 (C)NHK

とはいえ天皇の大誤算は、道長の影響力が思った以上に強くて、娍子の立后の儀&祝いの席が、悲しくなるほど寂しいものになったことだろう。この状況にSNSは「公卿達がろくに参加しなかったエピは知ってたけど、映像で見ると改めてツラい」「三条帝が無茶振りするばかりにかえってみじめな立場に」などの娍子への同情の声に混じって、昔の大河ドラマ『真田丸』(2016年)の、空席が目立つ石田三成の宴会を思い出し、「皇后さまの宴会が真田丸で見たことがあるやつすぎる」「友だちいない石田三成と友だちいっぱいの徳川家康の真田丸思い出しちゃってジワジワきた」というコメントもあった。

■ 俺たちの道綱くん&実資殿に、視聴者大喜び

そしてこの勝負、息子の突然の出家で精神的なダメージ&おそらく糖尿病と思われる病で身体的なダメージという二重苦の状態となった道長のダウンで、いったん保留に。しかしここで「道長が倒れたら喜ぶ人リスト」という怪文書が、公卿の間でバズるという事件が。この怪文書は実際に広まったものだが、道長自身は「道綱と実資はないよねー」と答えたとのこと(いや隆家は疑ったん?)。そして今回、この怪文書騒ぎを通じて評価を上げたのが、俺たちの道綱くんと実資様だ。

怪文書に驚く実資(秋山竜次)(C)NHK

まず実資は、娍子の立后の義に参列したことで怪文書の槍玉に上がったわけだけど、それは「天に二日なし、土に二主なし」=天皇が唯一絶対という信念があったからこそ。別に道長に敵意があるわけではなく、単に筋を通しただけなので、怪文書についても「それがなにか?」と涼しい顔。このブレない精神に加えて、年老いてから生まれた娘にデレデレのところまで見せるという実資祭りに、実資マニアの視聴者は大喜び。

SNSでも「帝と道長様のどちらの味方もしないと言い放つ実資殿は筋が通っていて好きーー!」「好きだ実資結婚しよう」「ロバート実資はやっぱり頼りになるぜ・・・さすが俺たちの実資」「実資、どこまでも実資なので信頼がおける。帝も道長も視聴者も」「オウムちゃんも元気だし娘の千古ちゃんも激カワだしで、今現在最も幸せなご家庭はロバート実資氏の御宅」などの、愛情にあふれた言葉が続々と。

怪文書に驚く道綱(上地雄輔)(C)NHK

そして制作統括・内田ゆき氏もファンだという『光る君へ』の癒やし枠・道綱くんについては、怪文書に名前が出てきた瞬間から「なんで道綱?! あんなに野心すっからかんで能天気なのに!」「道綱の名前をいれることで絶対嘘文書だろと思われてしまうので失敗だよ」「絶対に道長の病気を喜ぶメンタリティは持ち合わせないとわかりつつ、倒れてる人のそばでうるさくしちゃう、ラブリーな無能さがかわいい」などの、全面的な擁護の声が上がっていた。

■ まひろとの語らいで復活を遂げた道長…今後どうする?

かつて実資様は、道長がいないと政が回らなくなると断言していたが、このような怪文書が公卿たちをザワめかせた様子を見ると、道長の存在感が大きく揺らいでいたことが伝わってくる。しかし次週の予告では、まひろとの語らいによって見事に復活を遂げた道長くんが、早くも形勢逆転をはかる模様。

かつて父・兼家(段田安則)は息子たちと組んで、かなり卑怯な手段を使って花山天皇(本郷奏多)を退位させたが、道長くんは昔からの友人たちとともに、どうやって三条天皇の足を引っ張るか? それはスカッとするのか、少々後味が悪いものとなるのか? 道長の最後の一踏ん張りを、しっかりと見届けたい。

ちなみに三条天皇役の木村達成は、11月9日・10日に「兵庫県立芸術文化センター」(兵庫県西宮市)で上演される舞台『セツアンの善人』に出演。ギラギラとしたラスボスぶりに魅せられた人は、ぜひ木村のホームグラウンドである演劇の舞台で、その姿を確認してほしい。当日券の発売方法などの詳細は、劇場公式サイトでご確認を。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。11月10日放送の第43回「輝きののちに」では、道長が三条天皇の譲位に向けて本格的に動いていく姿と、まひろの娘・賢子(南沙良)と若武者・双寿丸(伊藤健太郎)の関係に大きな変化が訪れるところが描かれる。

文/吉永美和子

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