「道長と同じ月を見上げよう」呼びかけ、大河ドラマ民は胸熱

2024.11.12 08:00

満月のイメージ(Adobe stock@tuiphotoengineer)

(写真2枚)

「2024年11月16日に、道長と同じ月を見上げよう」・・・そんな呼びかけが「X(旧ツイッター)」に浮上。道長とは、現在放送中のNHKの大河ドラマ『光る君へ』で、主人公・紫式部(ドラマの名前はまひろ)のソウルメイトとして、大きくフィーチャーされている藤原道長だ。

そんな彼が見上げた月と、同じ月が現代で見られるとはどういうことか? 投稿主で、『身近にあふれる天文・宇宙が3時間でわかる本』(明日香出版)などの著作を持つ天文学者・塚田健(@tsuka_ken)さんに話をうかがった。

■ 道長が歌を読んだ日の月とほぼ状態が合致

藤原道長が遺したあまりにも有名な句「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」。自分の娘が後一条天皇に入内した祝いの宴席で、満月を見ながら詠んだと伝わっている。これを詠んだ1018年11月26日(当時の暦では10月16日)の満月は午前7時過ぎ。そして今年の11月16日の満月は午前6時29分なので、道長がこの歌を詠んだ日の月と、ほぼ状態が合致するのだ。

「現象としては、10数年に1回起こることなので、めずらしいことかと聞かれると微妙です。ただ今回は『光る君へ』とかぶって、しかも件のシーンが翌日(11月17日)に描かれるというのは、奇跡だなという感じがします」と塚田さん。

「#道長と同じ月を見上げよう」の企画ビジュアル

『光る君へ』には「枕草子や源氏物語の一節をモチーフにした映像が美しくなされていて、観ていて楽しいです」と関心を寄せ、今年5月には勤務先の「平塚市博物館」(神奈川県平塚市)でプラネタリウム番組『月を詠み 星を綴る~王朝文学に刻まれた月と星』を制作している。

「星や宇宙って、案外、何とでもつながれます。文学とも歴史とも、絵画や音楽とも、場合によってはスポーツとも。その異分野のつながりを楽しんでほしいというのが、今回のキャンペーンの『裏』の願いです」と呼びかけの狙いを明かす。

その予想通り「『こういう月の楽しみ方があったのか!』という反応が多かったです。天文が好きな人に歴史や文学のことを、逆に歴史が好きな人に天文の世界に触れてもらう、知ってもらう機会になればと思います」と期待を語った。

■ 12月には『枕草子』に登場した星が観測できる!?

ちなみに塚田さんいわく、12月にも『光る君へ』と関連した天体観察ができる機会があるそう。ファーストサマーウイカの演じる清少納言が『枕草子』で、星の美しさについて語った段で登場した星たちが、一度に見られるかもしれないのだ!

「あの段に登場するのは、すばる(プレアデス星団)、彦星(わし座のアルタイル)、夕づつ(金星)、夜這ひ星(流星)ですが、すばるは宵の東の空、彦星と夕づつは宵の西の空で見られます。夜這ひ星だけは運次第ですが、12月14日前後はふたご座流星群が出現する時期なので、チャンスはあります」とのこと。

そして「冬は四季のなかで飛び抜けて明るい星が多い季節。寒さが厳しくなる時期ですが、ぜひ夜空を見上げてほしいです」と、この機会に宇宙に思いを馳せることを勧めてくれた。

1000年以上前に道長も、そして紫式部も眺めたかもしれない満月。時を越えてみんなで同じ月を見て、SNSに「#道長と同じ月を見上げよう」のハッシュタグを付けて投稿してみよう。そのためには当日の天気が、曇りとか雨にならないことを、ただ祈るばかりだ。

取材・文/吉永美和子

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