大阪府&市が注力「文化・芸術」の発信、2月に歌舞伎の特別公演

2024.11.12 17:15

「大阪は元気じゃないとおもしろくない街なので、これからも盛り上げていきたい」と意気込む吉村大阪府知事(11月11日・大阪市内)

(写真7枚)

大阪府と大阪市が共同となって力を入れる「文化・芸術」のうちひとつとして取り上げる「歌舞伎」。その特別公演として、円熟のベテランから期待の若手まで、上方(関西)歌舞伎の俳優たちが大挙出演する『立春歌舞伎特別公演』が、2025年2月に「大阪松竹座」(大阪市中央区)で開催される。その詳細が明らかになった。

■ 吉村府知事「いろんな世代の人に観てほしい」

『立春歌舞伎特別公演』会見より(11月11日・大阪市内)

大阪府&大阪市などが、大阪の文化の魅力を国内外に発信するために立ち上げた『大阪国際文化芸術プロジェクト』の活動の一環としてはじまり、今回が4回目となる公演。公演が発表された11日の会見で、吉村府知事は「大阪府と市が共同で文化・芸術を発信する1つとして、ぜひ多くの人に歌舞伎を楽しんでもらえたら、と。今年2月の『源平布引滝』も大変おもしろかったので、いろんな世代の人に観てほしい」と呼びかけた。

続けて横山市長も「すばらしいスターの皆様にお集まりいただきました。大阪の風物詩として根付いてほしいし、大阪から文化を発信する素晴らしい機会にしたい」と希望を語った。

出演者が勢揃いした会見に「大変緊張致しております」と明かした横山大阪市長(右)(11月11日・大阪市内)

上演されるのは、関西に縁があったり、優雅さと人情味が持ち味の「上方歌舞伎」の特色が活かされた演目ばかり。昼の部では『本朝廿四孝 十種香』『恋飛脚大和往来 封印切』『幸助餅』の3本。夜の部では奈良・吉野山が主な舞台となる、歌舞伎3大名作のうちの1本『義経千本桜』から、めったに舞台にかからないものも含めた六場を上演する。

■ 中村獅童が嘆く「なぜ引き受けてしまったのか?」

出演者のコメントに合いの手やツッコミを入れ、会見を盛り上げる中村獅童(11月11日・大阪市内)

11日の会見には、同公演に出演する中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助、中村獅童、市川中車、中村壱太郎、中村虎之介、市川團子らも出席。

プロジェクト立ち上げの当初から関わってきた鴈治郎は「大阪松竹座では1月の公演を逃すと、7月まで出る機会がなかったりする。2月も出させていただくことになったのは、本当にうれしく思います」と喜び、鴈治郎の弟・扇雀は「『十種香』の八重垣姫ははるか昔に演じて、もう二度とやらないかと思っていました(笑)。日本にはこんなに素晴らしい伝統文化があるということをお伝えして、リピーターを一人でも多く作るのが僕らの使命です」と強い気持ちを語る。

中村鴈治郎(11月11日・大阪市内)

また『義経千本桜』で、歌舞伎屈指の人気キャラ・狐忠信役を演じ、今回は客席上空を飛ぶ「宙乗り」を行う愛之助は「よりお客様と多く触れ合えるよう、劇場を斜めに飛ぶ宙乗り(※通常は花道上のみ)に挑戦します」と自分の見どころを明かすとともに「東京の歌舞伎座は毎月歌舞伎が開いてますが、上方でまだそれは難しい。大阪と京都で毎月交互に歌舞伎が上がるのが私の夢で、それが近づいてきていると思います」と将来の希望も語った。

片岡愛之助(11月11日・大阪市内)

一方、江戸歌舞伎の世界から招かれた獅童は、上方歌舞伎を代表する名作『封印切』の主役・忠兵衛役で出演。「関東の役者が関西の芝居を、関西ですることの重大さに今日になって気づきました。『なぜ引き受けてしまったのか?』と思ってますが(笑)、一生懸命やりたい」と笑いを交えつつ抱負を述べ、中車は「『幸助餅』は8年前にやって以来で、(『義経千本桜』の)庄司重忠は初役。大阪は万博の勢いを感じるので、盛り上げて行けるようがんばりたい」と気合を見せた。

豪華な時代物にシリアスな人情芝居、さらに松竹新喜劇の作品を元にした喜劇まで、歌舞伎の多様性を知ることができる昼の部。そして名作中の名作にふさわしく「これぞ歌舞伎」という派手な演技と仕掛けを、大いに堪能できる夜の部。どちらも初心者にもわかりやすく、見ごたえのある演目&役者ぞろいとなっている。

チケットは一等席1万5000円、二等席9000円、三等席5000円で、11月16日から発売開始。

取材・文・写真/吉永美和子

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