「失恋出家」「エアー出家」道長にツッコミ続出【光る君へ】
吉高由里子主演で『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。11月24日放送の第45回「はばたき」では、『源氏物語』を書き終えたまひろと、出家することを決めた道長の新たな人生の岐路が描かれたが、道長の出家の動機にはSNSでさまざまなツッコミや苦言が聞かれた。
■ 願い通り出家した道長だったが…第45回あらすじ
藤原道長(柄本佑)が「この世をば」の歌を詠んだ夜からほどなくして、一条天皇(塩野瑛久)の第一皇子で、太皇太后・彰子(見上愛)が育てた敦康親王(片岡千之助)が若くして世を去った。道長の嫡妻・源倫子(黒木華)は、夫の栄華を記した物語の執筆を、長年仕えた女房・赤染衛門(凰稀かなめ)に依頼するが、道長はその頃から体調を崩すように。まひろが別れの挨拶に訪れてからまもなく、倫子に出家する意志を打ち明けた。
倫子はそれに反対し「藤式部(まひろ)がいなくなったからですの?」と尋ねるが、道長は口を濁した。道長は願い通り出家し、挨拶に来た藤原公任(町田啓太)、藤原行成(渡辺大知)、藤原斉信(金田哲)に、嫡男・頼通(渡邊圭祐)を支えてくれるよう頭を下げる。そして迷惑行為を重ねる左大臣・藤原顕光(宮川一朗太)の処遇を相談しに来た頼通に、顕光を侮辱してみずから辞任するよう仕向けることを命じるのだった・・・。
■「まさかの道長きづいてなかった!」SNS大盛り上がりに
長期連載『源氏物語』を、この第45回でついに書き上げたまひろ。SNSでは「『物語は、これまで』・・・おわったんだ」「先生脱稿おめでとうございます!!!!」「書き切ったまひろ先生、お疲れ様でございました」というねぎらいと祝福の言葉があふれた。しかし『源氏物語』は終わっても『光る君へ』は終わらない。今回は物語を書き終えたまひろと、摂政・左大臣の職を辞した道長の、対照的な「第2の人生」に話題が集中した。
まずまひろは、賢子が宮仕えをして一家を支える決意を固めたこともあり、物語の舞台となった場所や、亡くなった人たちの思い出の地をめぐる旅に出ることを決意。この展開にSNSは「原作者自ら聖地巡礼の旅を・・・!」「(夫の)宣孝(佐々木蔵之介)が大宰府に赴任してたのが、ここで美味しく料理された」「人生を賭けた物語と同じくらい、今も宣孝さまやさわ(野村麻純)さんを想ってるのがなんかもう・・・なんかもうだよ!!!」などの、感慨に満ちた言葉が。
しかしそこで困ったのが、最近は「まひろチャージをしないと死ぬの?」という状態になってきた道長だ。こっそりまひろを引き止めるも「もうあなたを追いかけるのは疲れた」とキッパリ拒絶された上に「実は私の娘、あなたとの子どもだから」と、とんでもない爆弾を落として呆然としてる間に立ち去られた。しかし道長くん、柄本佑自身「道長は気づかない人」と言ってたとはいえ、本当に100%それに気づいてなかったらしいことに、SNSは大盛りあがり。
「まさかの道長気付いてなかった!」「娘だと気づかず裳着の反物送ってたのか」「道長からすれば、心当たりはあっても確証はないからねえ」「まひろちゃんとの子どもということで、どの子どもよりめっちゃ愛でたいけど出来ない苦しさよ」「賢子はお前の子だと告げられた道長のあの顔は、知らなかった驚いたじゃなくて、今ここでそれを告げる、我が子を頼むと置いていく=二度と帰らぬ覚悟・・・と気付いた顔じゃねえのだろうか」などのツッコミや考察が並んだ。
■ ついにプライドを捨てた倫子様、同情の声続出
その二重のショックで、ついに出家の決意を固めてしまった道長。以前から体調の理由もあって、たびたび「出家したい」とは言ってたけれど、大事な栄養補給源を絶たれてしまったのが決定打となったのか。しかしそれに納得がいかない倫子が、ついに「藤式部がいなくなったから?」と直球質問。倫子様からしてみれば、これまで夫の出世のために自分の財産も心も捧げたのに、別の女がいなくなったから世を捨てるとか言われるの、ほぼ駆け落ちされたようなものだと思う。
SNSでも「出家でもしないとまひろさんへの未練を断てなかったか」「全部わかってるのにまひろや賢子に温かく接してた倫子さまほんま・・・」「『藤式部がいなくなったからですの』倫子様がどれだけプライド自分でくじいてその言葉口にしたか道長くんわかってんのかよ!!(わかってないよね・・・)」「倫子様!! そんな旦那は往復ビンタで蹴り倒しな!!!」など、倫子様への同情&道長への非難ごうごうの言葉があふれかえった。
■ 悪い意味で「父親超え」…エアー出家の道長
そうして出家した道長くんだけど(一発勝負で地毛を剃り上げた柄本佑の覚悟よ!)、全然世を捨てる気配もなく、むしろ頼通に「引退してくれないベテランをパワハラで追い出す方法」を指南するとか、直接政に関わらない分、よりエグい駆け引きを考えるようになってしまった。父・兼家(段田安則)もたいがい辛辣だったが、出家したら割と大人しくしていたのに比べると、道長は悪い意味で「父親超え」をしてしまったと言えるだろう。
SNSでも「心は出家してない、エアー出家」「フィジカル出家、メンタルは現世」「道長『全くうちのバカ息子は、パワハラひとつ満足にできん』」「頼通に説教する道長、すっかり政治家になったし、兼家そのままである。ほんとそっくりになった」「剃髪しても権力闘争から退かないんなら、それ単に失恋したから髪切っちゃった、の昭和の乙女ムーブじゃないの・・・どこまでも粘着彼氏だよ道長・・・!」などの「出家とは?」を問うような声が相次いだ。
本来もっと厳粛に受け止められるべきな道長の出家、これまでの粘着ぶりが祟って「ずっと好きだった人に振られたから当てつけで断髪」みたいな扱いにされてしまってるのが、さすが俺たちの道長(笑)。『源氏物語』と彰子の存在をきっかけに、ようやく人生を並走できた2人が、物語の終わり&彰子がたくましくなったのをきっかけに、再び別々の道を歩みだした。
ここから先はどうなるのか? 特に紫式部の『源氏物語』終了以降の人生はなんの記録もないので、フィクションの翼がどこまで広がるかが楽しみだ。
また頼通にパワハラで追い出される予定の藤原顕光、没したあとに道長の身内たちを祟り殺した疑いで「悪霊左府」の別名を持つに至るのだけど、個人的にはそのエピも盛り込んでほしい。
◇
『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。12月1日放送の第46回「刀伊の入寇」では、大宰府を訪れたまひろが、越前時代の顔なじみ・周明(松下洸平)や若武者・双寿丸(伊藤健太郎)と再会するも、異国の海賊たちが九州に攻め込んだ戦「刀伊の入寇」に遭遇するところが描かれる。
文/吉永美和子
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