頭そこやったん…? 大阪のランドマーク的存在「ぴちょんくん」

2024.12.1 17:00

梅田の「大ぴちょんくん」看板。新御堂筋側の東面

(写真8枚)

大阪の梅田と新大阪駅に設置されている、空気の専門メーカー「ダイキン工業」(本社:大阪市北区)の大看板。同社のイメージキャラクター・ぴちょんくんがトレードマークのこの看板、ここ数年のうちに大阪を訪れた人なら一度は目にしたことがあるはず。

大看板はその時々の温度や湿度、季節イベントなどに合わせ発信されるコンテンツが変わるという仕様になっている。そんななか、10月下旬にとあるX(旧ツイッター)ユーザーが「お前頭そこだったんだ・・・」とハロウィン仕様のぴちょんくんにツッコミを入れるという一幕が。すかさず同社の公式アカウントも「ちょっと帽子がちいさいよね・・・」と応じ、X上で大きな反響があった。

今や大阪でもお馴染みの存在である大看板「大ぴちょんくん」だが、よくよく考えてみればどういった存在なのか謎な部分も多い。これはぜひとも知りたい・・・ということで、プロジェクトに携わる同社の総務部広告宣伝グループ・高須友理さんに、話を訊かせてもらった。

意外と知らない「大ぴちょんくん」の秘密

──梅田にある「ぴちょんくん」の大看板は2016年3月に誕生したんですよね(新大阪の看板は2018年3月)。私もよく見かけますが、街に馴染みすぎてもっと昔からある感覚でした。

ありがとうございます。今年で8歳になります。 実はあまり知られていないんですが、看板の「大ぴちょんくん」とぴちょんくんは別の生き物。そもそも、ぴちょんくんは地球が生まれたときから存在する生き物で、この世界に存在するたくさんのぴちょんくんが集まって生まれたのが「大ぴちょんくん」なんです。

──そんなストーリーがあったとは。じゃあぴちょんくんの集合体が「大ぴちょんくん」なんですね。

ちなみに梅田の大ぴちょんくんはタテ11m×横13mで、鎌倉の大仏くらいの大きさです。「大阪」と大と「大きい」の大をかけて「大ぴちょんくん」という名前になりました。

9色で空気感を伝える「空気色ぴちょんくん」(写真提供:ダイキン工業)

──まさかの大仏クラスのサイズだったんですね。新大阪の「新大ぴちょんくん」もそうですが、あの大きさの看板を目立つ場所に設置するのにはどういう意図があるのでしょうか。

やはり空調メーカーですので、「空気の大切さ」を伝えていくことが根底にあります。以前は弊社のロゴを使ったシンプルな看板を設置していたんですが、建て替えることになりまして。メインコンテンツとして、大阪の温度や湿度、花粉やPM2.5など空気にまつわる情報を発信することになりました。

乾燥しがちなシーズンは「乾燥コンテンツ」も発信。ほかに、梅雨コンテンツや桜開花コンテンツなども(写真提供:ダイキン工業)

──それでいうと「空気色(きゅうしょく)ぴちょんくん」というコンテンツもありますが、それも同じ狙いがあるのでしょうか?

そうですね。「空気色」はその日の温度と湿度をベースに、今の大阪がどういった空気感なのか9色のぴちょんくんで表すものです。例えばエアコンを使う場合、ただ温度を下げるだけでは室内は涼しくならないので、湿度にも気をつける必要があります。あまり意識されることのない「温度と湿度の関係性」をセットで覚えてもらいたいという思いがあります。

新大阪駅に設置されている「新大ぴちょんくん」。コンテンツは梅田の大看板と同じものを発信している(写真提供:ダイキン工業)

──なるほど。そう考えるといかに注目してもらえるか、見せ方も大事になりそうです。

看板のプロジェクト自体は2005年ごろから始まっているんですが、どういったコンテンツがいいのか、大ぴちょんくんの見せ方やデザインは何がベストか検討した結果、今の形に落ち着きました。当初は、大阪の「たこ焼き」や同じ近畿圏の奈良からイメージした鹿をモチーフにしたデザインも案にありましたね。

以前は電光掲示板や看板で気温情報を発信する施設やビルも多かったと思うんですが、最近は減りつつあって。「大ぴちょんくん」も設置から8年が経ち、みなさまに受け入れてもらえた一方、風景のひとつとして定着しているような気がしていました。暮らしにとって有益な情報を発信している自負はあるものの、どう伝えるべきかというのはひとつの課題です。

大ぴちょんくん、頭の位置がやっぱり気になる

──話題になっているハロウィン仕様の大ぴちょんくんはどういったコンテンツなんでしょうか?

「愛される看板」を目指しているので、メインの情報発信だけではなく梅雨や桜、お正月やクリスマス、年末のカウントダウンなど季節に合わせた特別コンテンツにも力を入れています。

それまで特別コンテンツが流れる時間はやや短めで、メインの情報などを集中して流していました。今後はもっとかわいいコンテンツを前面に出していこうということで、もう少し長めに流し始めたのが今年のハロウィンでした。今回たくさん反応をもらって、それは正解だったなと感じましたね。

クリスマスコンテンツ。表情や下のメッセージもその都度変わるので注目だ(写真提供:ダイキン工業)

──ちなみにハロウィン大ぴちょんくんの帽子をかぶっている位置ですが、結局これは正解なんでしょうか?

帽子の位置はここじゃないですね(笑)。本当なら頭がとんがってる部分に帽子をかぶせるべきだったんですが、どう可愛さを伝えるか追求していくうちにああなっちゃったんです。未定ですが、来年のハロウィンに正しい位置に修正するのもアリかなと考えています。

──それは来年が楽しみです(笑)。今後、大阪を訪れた方々にどう見てほしいなどはありますか?

まずは入口としてぴちょんくんの可愛さを知ってもらえるだけでもありがたいので・・・。これからも大看板に注目していただきたいです!

取材・文・写真/つちだ四郎

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