吉本興業初の「人間国宝」、事務所に感謝「時代の流れが分かる」

2024.12.4 18:15

重要無形文化財保持者・人間国宝に認定された京山幸枝若

(写真2枚)

吉本興業に所属する浪曲師の京山幸枝若(きょうやまこうしわか)が12月2日、重要無形文化財保持者・人間国宝に認定された。浪曲語りに精通し、高度な技法を体現していることが認められ、吉本興業の所属としても初の快挙を成し遂げた。

■ 「死ぬまでに人間国宝を」70歳での認定

重要無形文化財保持者・人間国宝に認定された京山幸枝若

浪曲とは声、節、啖呵(たんか)の三拍子が揃い、力強く響かせる高音や節や啖呵の緩急を駆使して作品の世界を語る芸であり、重要無形文化財としても登録されている。

今回の認定により、京都市内で会見を開いた幸枝若は「各大衆芸能で浪曲だけが今まで誰ひとり、重要無形文化財の保持者がいないことが不思議でした。死ぬまでに人間国宝をいただいて、後継者に残したいと思っていました。それが古希、70歳という若さでいただいたということは、まだまだ浪曲の後継者を育てる期間があると思います」とコメントした。

■ 「島田紳助・松本竜介らと話をしたり…」

1971年17歳のときに浪曲語りの世界に入り、入門53年の幸枝若。「いろいろなことがあったので言い尽くせませんが、成人になってから漫才ブームが来たときは、B&Bをはじめ西川のりお・上方よしお、島田紳助・松本竜介、ザ・ぼんちらと、いつも話をしたり、飲みに行っていたのに、飲みにいないようになって、もうやめようかなと思うときがありました」と過去を振りかえる一幕も。

「舞台に上がっても、漫才が終わるとお客さんが半分以上いなくなって、前も3列目までは誰もいなかったりと、苦しいこともありました。ただ、いろんなところでやるという度胸がつきました」と続け、「吉本興業で一番勉強になったのは、時代の流れもわかるようになったことです。そういうことを勉強させてもらいました」と所属事務所への思いも明かした。

そんな幸枝若は未来を見据え、後継者の育成にも力を入れている。「今、浪曲界は若い子が少ないので、若い子を増やすために浪曲塾を作りたいなと思っています。若い子を対象にした賞レースを開催したい」。自分で演じ、歌う、というまるで和製ミュージカルのような浪曲。今後はロックやジャズなど、さまざまなリズムに合わせた新しい浪曲も考えているとか。

2025年2月28日には、人間国宝認定の記念公演が「なんばグランド花月」(大阪市中央区)で開催されることに。浪曲披露は約20年ぶり、今後の展開にも注目したい。

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