「刀伊の入寇」ガッツリ描写に歴史ファン大歓喜【光る君へ】
平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。12月1日放送の第46回「刀伊の入寇」では、まひろが大宰府に来たタイミングで、大陸の海賊たちが日本に攻め込んだ「刀伊の入寇」が勃発。大河では初となるこの戦いの描写と、指揮官となった藤原隆家の無双ぶりに、視聴者が湧いた。
■ まひろと周明の姿も…第46回あらすじ
大宰府に到着したまひろは、大宰府権帥となった藤原隆家(竜星涼)と再会。宋(中国)の名医の治療で視力を取り戻した隆家は、平為賢(神尾佑)や地元の武士たちと親交を深める、今の暮らしに充実感を覚えているとまひろに語った。まひろが松浦に赴くために、船越の津に向かったのと入れ違いに、異国の賊たちによって、国守を含めた壱岐の人々が皆殺しに遭ったという報告が入り「刀伊の入寇」がはじまった。
隆家は九州の各国の国守や朝廷に文を出すと同時に、みずから博多に向かう。兵のなかには、まひろの娘・賢子(南沙良)の想い人だった双寿丸(伊藤健太郎)の姿もあった。まずは能古島から博多へ上陸しようとした賊たちを、少数の兵で撃退することに成功。地元の武士たちから、次に攻め込まれるとしたら船越という助言を得た隆家は、そちらに兵を送り込むが、すでに賊が民たちを襲っており、そのなかにはまひろと周明(松下洸平)の姿もあった・・・。
■ 屋外ロケ&大量エキストラ! ガッツリ描写に歓喜
今回の大河ドラマに藤原隆家が登場するということで、一部の歴史ファンの間で「刀伊の入寇やるかな?」という期待の声が上がっていた。平安時代唯一の対外戦争という大きな事件ながら、中央政権がほとんどタッチしなかったこともあり、日本史の教科書ではあまり大きく取り上げられない「刀伊の入寇」。割と歴史好きな筆者すら、恥ずかしながらほとんど詳細を知らなかったのだから、一般的にはこの第46回で、初めて実態を知った人が多かっただろう。
かように割とマイナーな戦ゆえ、その模様が屋外ロケで大勢のエキストラを使って、めちゃくちゃガッツリと描かれたことに、特に歴史ファンからは「ガチでやるのか!! 刀伊の入寇!! 力業すぎるけどこれはもう喝采するわ」「隆家くんが大宰府で活躍したよ、くらいのナレ報告で終わると思ってた」「ちゃんと戦闘しててワクワクしたな」「刀伊の入寇なんて観れるの後にも先にも今宵だけだと思います!」などの喝采の言葉が並んだ。
■ あの隆家が見せた、理想の戦争指揮官ぶり
そのなかでも注目を集めたのは、やはり藤原隆家だ。謀と呪詛にまみれた内裏の世界になじめないうえ、良くも悪くも単純で力勝負に走りがちな性格。その性格が災いして起こした最悪の事件が、あの花山法皇(本郷奏多)に矢を射かけた「長徳の変」だった。しかし大宰府権帥になってからは、地元の役人や武者たちともわけ隔てなく接し、私腹もこやさずに善政をおこなったという。彼にとっては貴族よりも「力が正義」な武者たちとのカラッとした付き合いのほうが性に合い、それゆえ周りからも好かれる存在になれたのかもしれない。
そんな隆家が、日本の未曾有の危機に対して、周囲の武者たちと連携を取りながら外敵に立ち向かっていく姿に、SNSでも「隆家さま、めっちゃワイルドで活き活きしてる。泣ける」「もともと宮仕えは性に合わなさそうだったもんな、隆家」「隆家くんむちゃくちゃ乱世のリーダーとして有能じゃん」「ふざけて弓を放った人と同一とは思えない」「笑いながら矢を打ちかけていたあの日の隆家はどこへ行ったの・・・成長著しすぎる」などの感嘆の声があふれた。
実際、この「刀伊の入寇」、これまで何百年も外国から攻め入られることがなかったため、敵の情報も乏しく、国防も万全ではなかったときに起こった、まさに寝耳に水の戦争。多分今の感触なら、宇宙人にでも攻撃されたぐらいの「どうしたらいいってのよ!?」レベルの事態だけど、隆家様は「攻撃は最大の防御なり」「緊急事態は上の指示を待たずにその場で判断」「現場のことは現場のプロに聞け」「防衛ラインを越えすぎたら別の問題が発生するから注意」「誰も無駄死にしないこと!」と、戦闘指揮官としてあまりにもパーフェクトな立ちふるまいに、彼の評価はまさにストップ高に。
SNSでは「『無辜の民に害が及ぶ』ねぇ本当に立派におなりになったのねぇ隆家」「院の牛車に向かって矢を射れば『ヤバい奴』だが、侵略者に向かって矢を射れば英雄。隆家の生き場所はここだったか」「敵の出方待つだけでなく自分から打ってでる事を即判断。もしかしたら隆家って戦国安土桃山時代にいたら天下人になれた逸材?」「このタイミングで大宰府にいるトップ貴族が隆家くんってベスト人選にもほどがある」などの称賛の言葉が止まらなかった。
■ 双寿丸に乙丸…死亡フラグにザワつくなか、まさかの
さて実際に、無辜(むこ)の民たちが多数殺されるという、非常に壮絶な闘いだった「刀伊の入寇」。そうなると非常に心配になるのが、いつ死ぬのかは作者の一存にかかっているオリジナルキャラたちがどうなるか? だ。視聴者は双寿丸が手がらの野心を語ったり、まひろの従者・乙丸(矢部太郎)が妻のために紅を買ったりするたびに「それ・・・死亡フラグ?」とザワザワしたが、まさか周明が「大宰府に戻ってきたら話したいことがある」という、第一級フラブをぶっ刺して、3分も経たずにそれを回収することになるとは思いもしなかった。
予想通りSNSでは「オリキャラ3人が乱戦になっている予告をみて3人の誰かが死ぬのでは? と思ったけど・・・周明ーーーおまえかー!!」「後方の乙丸が心配過ぎて乙丸ー! 乙丸ー! って叫んでたらまさかの周明に矢が刺さって絶句」「さっきまで恋のキューピットがまわりに飛んで祝福しそうなシーンだったのに、それじゃない矢が飛んでくるとかあんまりな展開」「大石静(脚本)も中島由貴(演出)も鬼です(褒めてます)」などの、ショックが隠せないコメントが相次いだ。
前回の大河ドラマ『どうする家康』の大阪夏の陣以来の戦の描写となった「刀伊の入寇」。「朝廷の命令を待たずに出陣した」ということで、このあと大きな波紋を呼ぶことになるけれど、その場所に紫式部(まひろ)を立ちあわせるという大胆なアイデアが、抜け殻のようになったまひろにどのような影響を与えるのだろうか。
というかその前に、周明死ぬの? 「急所外れて助かりましたー!」ってならない? このままじゃ第二の直秀(毎熊克哉)だよ!!!! と、一週間が待ち切れない思いになっているのは、きっと筆者だけではないだろう・・・。
◇
『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。12月8日放送の第47回「哀しくとも」では、「刀伊の入寇」の対応について朝廷の意見が激しく分かれる一方、大宰府から戻ったまひろと道長の再会が描かれる。
文/吉永美和子
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