まひろを現実世界に戻した、従者・乙丸の叫び【光る君へ】

『光る君へ』第47回より。まひろ(吉高由里子)に自分の気持ちを訴えかける乙丸(矢部太郎)(C)NHK
平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。12月8日放送の第47回「哀しくとも」では、突然戦争に直面したまひろ&周明のその後が描かれるとともに、乙丸が取った思わぬ行動についても、驚きと感動の声があがっていた。
■ 周明を失ったまひろは…第47回あらすじ
九州・船越で「刀伊の入寇」の戦に巻き込まれたまひろは、彼女をここまで連れてきた薬師・周明(松下洸平)の胸に矢が刺さり、倒れる姿を眼の前で見てしまう。周明は、取りすがるまひろに「逃げろ」と告げ、まひろは従者・乙丸(矢部太郎)と、戦闘に参加していた若武者・双寿丸(伊藤健太郎)によって難をまぬがれる。周明はそのまま息を引き取り、死体は多くの戦死者と同じように野ざらしにされたままとなった。

周明を失ったまひろは「一緒に私も死んでおればよかった」と考えるほどの喪失感を抱えていたが、大宰府権帥・藤原隆家(竜星涼)が任期を終え、都に一緒に戻るか、このまま大宰府に残るかを選ぶことに。その言葉に考え込むまひろだったが、乙丸は「私は都に帰りたい! お方様と帰りたい!」と、必死に自分の気持ちを訴える。その言葉に心を動かされたまひろは、隆家とともに京に戻ることを決意した。
■ 周明の生存ルート、松下洸平本人が断ち切る
まひろを助けようとした周明の胸に矢が刺さるという、あまりにもショッキングなシーンでジ・エンドとなった前回。SNSでは一週間、ファンたちが「#周明の生存ルートを考える会」のハッシュタグを作り、彼の生存に一縷の望みを賭けていたが、この第47回では、隆家や双寿丸がまひろに対して「菩提」とか「成仏」など、彼の死を突きつける言葉を投げかけてきた。さらに松下洸平自身が公式サイトのインタビューで「まひろを助けて死んで、そのまま置き去りにされる」と明言し、残念ながら周明の死亡退場が確定してしまった。

SNSでは「周明のために沢山の視聴者が考えた生存ルートを木っ端微塵にし、トドメを刺したのは他ならぬ松下洸平さんでした」「双寿丸がぜっっっっったいに助けて介抱してくれて、まひろの前に現れるって信じてたのに」「ひとりぼっちの死じゃない。大切な人を守った尊い死だ」「周明生存ルートまだ諦めてないから!! 意味深な浜辺のカット後にナレ死がないもん!!」など、追悼あるいは「あきらめたらそこで試合終了」的な声が多数上がっていた。
■ 目の前で大切な人が倒れる…最終回、まひろに希望の兆しは
思えばまひろは、母・ちやは(国仲涼子)が藤原道兼(玉置玲央)の狂刃に倒れる姿を目撃したことで、この世の不条理や無常を幼い頃から考え込むようになった。まひろが「人間の闇」の深淵にギリギリまで迫ろうとする、その原体験になったことは間違いない。幼い子どもにはあまりにも過酷な経験だけど、今となってはあの事件は、まひろを「紫式部」たらしめる大きな布石であり、超えるべき第一の関門だったのだろう。

では一方、周明の死はまひろになにをもたらすのか? 周明は『源氏物語』完結&道長との関係の終わりで空っぽになったまひろに、再び水を注ぎ込むような存在になると、前回のコラムで記したが、脚本の大石静はシビアにもそのルートを断ち切った。
再び灯りかけた希望を、母と同じような突然の暴力によって消されたまひろ。おそらくは彼女の人生最後の試練がなにを生み出すのかは、まだこの回では示されなかったが、最終回でまひろの・・・あるいはまひろの次の世代への、希望の兆しを見ることができるのだろうか。
■ 乙丸の叫びにSNSは泣き笑いのコメントが殺到
このままだとまひろは、大宰府で周明のことを考えたまま朽ち果ててしまいかねなかった。そんな彼女を力ずくで現実世界へと引き戻したのが、まさかの乙丸だった。彼がひたすら「(妻の)きぬ(蔵下穂波)に会いたい! 帰りたい!」と繰り返すその叫びは、あまりにも朴訥かつストレートゆえに、誰の言葉よりもまひろの心に響いた。これまでずっと、まひろの予想外の行動に黙って従ってきた乙丸が、初めて我を出したことも含めて、SNSでは驚きと泣き笑いのようなコメントが殺到。

「乙丸一世一代のワガママーーーー!!!!」「妻に早く逢いたいのも本心ではあろうが、どこまでも忠実で主人思いであることよ」「主人に物申すなんて絶対にやっちゃいけないことだろうに、めちゃくちゃ頑張ったね!」「死に近付き過ぎたまひろを生者の世界に戻そうと、無い知恵と勇気を振り絞った行為なのだろうなぁ」「乙丸仕事した・・・矢部さんが1年掛けて作り上げた見せ場だったと思うよ・・・」などの言葉が並んでいた。
乙丸がなかなか結婚せずに、まひろから離れなかったのは、ちやはが殺されたときになにもできなかった後悔ゆえと語っていた。あのときと同じように、親しかった人を突然理不尽な理由で失ったまひろを救い出すことで、ようやくあのときの借りを返せたような気持ちになったことだろう。さらに「ほかの男の目に止まってほしくない」といって、きぬに紅を買わなかった乙丸が、もう揺らぐことのない夫婦関係を築けたことで、ようやく紅を買って帰れたことにも安心した視聴者は多かったようだ。

「大宰府でお土産を買った時点でイヤな予感がしたけど、無事に帰京してきぬへお土産の紅を渡せてよかったな」「きぬに紅を贈る乙丸、喜ぶきぬ。これが見たかった!よかった!」「乙丸がきぬにお土産の紅を渡せたことは、このドラマで最も良かったことの一つ」「きぬさんに紅を渡さないと私の中で『光る君へ』が終われない! と思っていたのでこのシーンが観れてホッとしました」などの言葉が聞かれた。
■ オリジナルキャラクターが魅力的だった『光る君へ』
大宰府滞在中に視聴者を残らずヒヤッとさせる死亡フラグを立てたものの、対照的な結果となった2人のオリジナルキャラクター。オリキャラの使い方が上手い大河は間違いなく名作というのは筆者の勝手な考えだけど、今は亡き直秀(毎熊克哉)といい、次回予告から察するにどうやら出世する模様の双寿丸といい、誰もが魅力的で、かつまひろの人生に欠かせないと思える人たちだったのは、見事だったとしか言いようがない。なお乙丸役の矢部太郎は、毎放送後にXで上げていた「光る君絵」の数々が、まとめて書籍になるとのこと! これは続報を楽しみに待ちたい。
◇
『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。12月15日放送の最終回「物語の先に」では、藤原道長とまひろの関係を知った道長の嫡妻・源倫子(黒木華)がまひろにある願いを託すところと、道長がみずからの死期を悟って最後の決断をする姿が、15分拡大版で放送される。
文/吉永美和子
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