愛希れいか「表に出たいタイプでなく、仕事を悩んだことも」
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「私は音楽が大好きなので、幼いころから歌や踊りがあるミュージカルというジャンルは、特別に好きだなと思います」
元宝塚歌劇団月組トップ娘役で、2018年に退団後は数々のミュージカルや映像で活躍する愛希れいか。今年に入ってからもNHK大河ドラマ『べらぼう』やドラマ『未恋~かくれぼっちたち~』(カンテレ)で、女郎から編集部の派遣社員まで幅広い役柄を演じている。
3月~4月には、念願のフルバージョン上演となるミュージカル『イリュージョニスト』に出演。19世紀末のウィーンを舞台にしたミステリーロマンスだ。愛希がかつて演じたエリザベート皇后と本作で演じるソフィとの共通点、舞台上で感じる「マジック」や、オフでの充実感など、いろいろな話を伺った。
取材・文・写真/小野寺亜紀
■大河ドラマ『べらぼう』など映像にも積極的に
――2024年は、舞台出演がミュージカル『トッツィー』のみで、映像でのお仕事が多かった印象があります。
長い公演期間の『トッツィー』を終えた後は、映像を頑張りたいという思いがあり、所属事務所と話し合ってそうなりました。映像は正直まだまだ初心者ですが、舞台では出会えない監督さんやカメラマンさんとセッションすることで、新たな発見がありますし楽しいです。
――昨年注目を集めたNHKドラマ『3000万』の野崎春奈役は、キリッとした雰囲気の刑事で、宝塚入団3年目までの男役時代を少し彷彿とさせるところがありました。
そうですね。野崎はまだ刑事の経験が足りず、ちょっと浅はかで猪突猛進なところがある部分を表現したいなと、あえてショートカットにしました。この作品は脚本に力を入れていて(公募で決定したメンバーで脚本を開発していく、脚本開発チーム「WDRプロジェクト」で生まれた)、そのぶん演じるプレッシャーが大きかったです。監督や、バディとなる刑事役の野添義弘さんといろいろお話ししていくなかで役を作っていき、すごくいい経験になりました。
――NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の初回で演じられた朝顔は、病に侵されて死んでゆく、とても印象に残るお役でした。
「蔦重」こと蔦屋重三郎(横浜流星)にとって、すごく大事な人物だということは、演出の大原拓さんからもずっと伺っていたのですが、出番が細切れに少しずつで難しかったです。私がイメージする女郎や、吉原というところは、漢字一文字で表現するなら「欲」という言葉がまず思い浮かびます。朝顔も以前はその「欲」があったのかもしれないですが、このドラマの中ではたぶん彼女の中に「欲」がないと思って。自分のさだめを受け入れ、人にやさしくできる器の大きさを、雰囲気から醸し出すにはどうすればいいだろうと、すごく考えました。
――回ってくるお役が、バラエティに富んでいますね。
はい、うれしいです!
――とても充実しているのが伝わってきますが、オフで充実感を感じられるのは?
いい睡眠がとれたときです(笑)。いろいろ考え事があるとなかなか眠りにつけないですよね。やっぱり本番前は緊張していますし、映像のお仕事をしているときは特に、なかなか眠りにつけないけれど、仕事を終えた後のお休みの日はぐっすり眠れるので、そうすると「この間の仕事に力を注げたんだな」と充実感を感じます。
――よく寝られるタイプですか?
私は本当にロングスリーパーで、「寝ていいよ」と言われたらいくらでも寝られる人なんです! 人は酔っているときと、睡眠が足りないときは同じぐらいの脳だというぐらい、睡眠が大事だと聞いたことがあるので、睡眠が足りないと本当に困ります。
――やはりお仕事期間中は、ピンと張りつめているものがあるのですね。この春には、4年前に一度、コンサートバージョンとして上演されたミュージカル『イリュージョニスト』に再び挑まれます。
4年前にもともとフルバージョンで上演するはずだったのが、(新型コロナウイルス感染症の影響で)稽古が中止になり、結果的に3日間5回だけの公演になってしまい、悔しい気持ちが大きかったです。もちろん、お客様に届けるという目標を達成できたことはうれしかったのですが、いつかフルバージョンをお届けしたいという思いがありました。
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――まだ稽古が始まったばかりだそうですが、再集結したキャストの皆さんとはどんなお話を?
「懐かしい! そんなことあったね!」なんていろんな話が出てくるのですが、私は4年前の大変さが勝っていて、記憶が定かでない部分がたくさんあります(苦笑)。劇場入りしてから1週間で作り上げたので、そのときのことを思い出すと今でも緊張するぐらい。キャストの皆さんも緊張していたようで、同じように特別な想いがあるのを、再びお会いして感じます。
■同時代を生きたエリザベートとは違う「強さ」がある女性
――演じられる公爵令嬢・ソフィの役作りで、意識していることを教えてください。
演出のトム(・サザーランド)が、「ソフィは意志が強い女性だ」と4年前からしきりにおっしゃるほど、芯の強い人だと思います。ただ、その自分の意志とは別に、この時代の「あるある」なのですが、政略結婚をするために、皇太子レオポルド(成河)と婚約していて。彼女には幼少期に引き離されたアイゼンハイム(海宝直人)への強い想いがあり、その強さ、貫く強さが物語にどう影響してくるのかというところは…。
――この作品はミステリーロマンスであり、驚きの展開があるのでお話しできない部分があるのですよね(笑)。
貫くことが正義なのか。自分にとっての正義は、ほかの人にとっても果たして正義なのか…など、演じていて私もとても考えさせられます。また、19世紀末のウィーンが舞台ですが、この時代の女性の、何か押さえつけられているものを感じます。エリザベートはこの物語の前年に、確か亡くなっているのかな。
――愛希さんがミュージカル『エリザベート』で演じた、ハプスブルク帝国最後の皇后ですね。
作中のエリザベートが現代的な考えをもつ女性として大きく取り上げられていたなかで、ソフィも何か影響されることがあったのでは、などいろいろ想像が膨らみます。
――エリザベートも強い女性だと思うのですが、ソフィはまた違う強さの持ち主でしょうか?
エリザベートは死の世界とつながりたい、ととても感じている人なので、また違う強さだと思います。
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――ウィーンには訪れたことがありますか?
何度か訪れていて大好きな街です! もし海外に住むならウィーンがいいと思うぐらい。わりとこぢんまりとしていて、ニューヨークなどとは違う華やかさ、落ち着きや品を感じます。音楽留学をされている日本人の方が結構いらっしゃって、ウィーンの方と結婚し、そのまま住まわれているとよく聞きます。ミュージカルだけではなくピアノコンサートにも足を運びましたが、「音楽の街」という感じが心地よく、とても好きな空気感でした。
■初日に感じる特別な「舞台のマジック」
――『イリュージョニスト』は、イリュージョニスト(奇術師)のアイゼンハイムによるイリュージョンも見せ場となるそうですね。
4年前のコンサートバージョンでは割愛されている部分が多かったのですが、今回のフルバージョンはセットから全然違いますし、イリュージョンのプランを聞いて、私たちも「ウワー!」と想像が膨らみ、大きな見どころになると思いました。
――ちなみに愛希さんが今までに、「これは奇跡なのでは」と思うような「舞台のマジック」を感じたことはありますか?
やっぱりどの舞台も初日は特別なものだなと感じていて。宝塚時代は(愛希さん在籍時)初日と同じ日にゲネプロをやることが多かったのですが、同じ日の公演でもお客様が入るとこんなに違うのかと思いました。急に力が湧いてきたり、あんなに稽古していたのに初めて出てくる感情に驚いたり、「こんな風に歌えた!」と思ったり。初めて生み出されるものが初日には多いです。再演であれ、お客様の前で初めてお届けする時間は、やっぱり特別ですね。
――ご自身に力が湧いてくるのですね。
もちろん毎日の舞台がそうなのですけど、初日というのはより一層緊張感があるので。4年前の『イリュージョニスト』初日は特に大変だったからこそ、なんとも言えない初めての感覚を味わったことを、よく覚えています。
――2009年に初舞台を踏まれてから、そうやっていくつもの初日を乗り越え、多くの作品を届けてこられた愛希さんですが、今後も「表現すること」はずっと続けていきたいとお考えですか?
はい。このお仕事が好きだからこそ、続けるのは難しいなと思うことはありました。今でも、好きだからこそ「こうしたい」という思いが強く、そうなれなかった自分から立ち直るのに、すごく時間がかかります。それに私のもともとの性格は、表に出たいというタイプではないので。
――先日ご出演されていたテレビのバラエティ番組(『突然ですが占ってもいいいですか?』)でも指摘されていましたね。
そう! 本当に当たっていました。本名の自分は手を挙げて発表するようなタイプでは全くないので、このお仕事が向いているのかと悩んだこともありました。でも役があるからこそ、何か違う自分になれて、それが心地よかったり、おもしろかったりするんです。私はたぶん、この仕事をしていなかったらつまらない人間だろうなと思います(笑)。
それぐらい役のおかげで充実していますし、いろいろな人生を生きられて、役の感情から学ぶことがとても多く、自分の生き方にも影響があるんですね。だから「表現すること」はすごく好きですし、続けられるかぎり続けたいです。
◇ ◇
ミュージカル『イリュージョニスト』は、3月11日~3月29日に東京「日生劇場」、4月8日~4月20日に「梅田芸術劇場メインホール」で上演される。現在、チケット発売中。
ミュージカル『イリュージョニスト』
期間:2025年4月8日(火)~4月20日(日) ※4月10日・16日は休演
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪府大阪市北区茶屋町19−1)
料金:平日…S15000円、A10000円、B5500円、土日祝…S16000円、A11000円、B6000円
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