結が働くNSTはなぜ病院に必要? 制作スタッフに訊いた

12時間前

『おむすび』第91回より。低栄養で入院する患者・曽根麻利絵と話すNSTのメンバー。写真左から、松崎(永野宗典)、麻利絵(桧山ありす)、結(橋本環奈)、杉沢(犬飼貴丈)、桑原(妃海風)、篠宮(辻凪子)(C)NHK

(写真2枚)

今週の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)は、第19週「母親って何なん?」が放送中。大阪新淀川記念病院のNST(栄養サポートチーム)の管理栄養士として働く結(橋本環奈)は、過度なダイエットのために貧血と肝機能異常で入院したものの、食餌療法を拒む高校生の麻利絵(桧山ありす)に向き合う。

そんななか、居酒屋「きよし」で結の歓迎会が開かれ、薬剤師の篠宮が酔いにまかせてNSTの存在意義について疑問を述べるシーンがあった。「私は正直、NSTは無駄だと思います」「NSTにできることは週に1回のカンファレンスでの担当医への提言ぐらい」「その提言には強制力がなくて、結局決めるのは担当医」と言う篠宮。果たしてNSTは本当に必要なのか。制作統括の真鍋斎さんに訊いた。

『おむすび』第92回より。NSTの歓迎会に参加する結。写真左から、篠宮(辻凪子)、杉沢(犬飼貴丈)、松崎(永野宗典)、桑原(妃海風)、結(橋本環奈)(C)NHK

■「当時は『業務圧迫です』と反対したスタッフも多かった」

真鍋さんは、「2025年現在ではどこの病院でも受け入れられていますが、最初は賛成ばかりではなかったようです」と言い、こう続ける。「NSTの始まりの頃はなかなか一筋縄ではいかず、院内で篠宮のように『業務圧迫です』と反対したスタッフも多かったと聞きます。患者にはそれぞれ主治医がついているなかで、チーム医療というものがどういうふうに関わっていくのか。現在のドラマの設定である2018年頃は、まだあまり理解が進んでいなかった」。

認知されるようになった要因は何なのかとたずねると、「何年にもわたって調査してきたデータによると、食餌療法を加えたケアを受けた患者は明らかに退院が早く、予後がいいということがわかってきたんです。患者の退院が早いということは、ベッドの回転数が上がるということ。これは病院にとって非常にメリットが大きいわけです」と真鍋さん。

さらに、「極論で言えば人間って別に物を食べなくても、点滴だけで生命の維持はできるんですね。でも、そうすると胃や腸の運動機能が衰えてしまう。だから人間にとって口から物を食べるということは、本当に大事なことなんです。それをサポートするNSTの必要性が、ここ数年でどんどん認知されてきたということが大きいのかなと思います」とコメントした。

病気で入院する人たちが1日でも早く回復し、幸せな時間を過ごせるようになるための手助けに、今後も結は取り組んでいく。

取材・文/佐野華英

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