東野圭吾の「手紙」が舞台化、ミリオンセラー作品をどう描く?

2025.2.16 09:00

左から村井良大、spi(2月15日・大阪市内)

(写真5枚)

犯罪加害者の家族に焦点を当てた、東野圭吾のミリオンセラー小説『手紙』(文春文庫)。この作品をミュージカルにした舞台『手紙』が、好評を受けて4度目の上演を迎えることに。2022年度版に続き、出演するのは村井良大&spiだ。

強盗殺人の罪で収監された兄・剛志と、その兄から手紙を受け取りつづけながらも「殺人犯の家族」というレッテルに苦しめられる弟・直貴を通して、罪の償いと家族の関係について描き出した人間ドラマ。ミュージカル版は2016年に初演され、その後もマイナーチェンジを繰り返しながら上演。今回も、新たに子役を登場させるなどの変更が入っている。

村井良大(2月15日・大阪市内)

2月15日、大阪市内での会見で村井は、「小説はとてつもなく胸に来てへこんだりするけど、そのへこんだ後の立ち直る力の強さ、人間の温かさみたいなものを、音楽が運んできてくれる」とミュージカル化への思いを明かし、spiも「ミュージカルは大衆に向けたエンターテインメント。問題提起の多い話をミュージカルにすることで、そういうことを考えてこなかった方々の人生に、それを滑り込ませるという役目があるのかなと思います」と分析。

spi(2月15日・大阪市内)

今回が2度目の兄弟役となるが、spiは再演のオファーがあったときに、一度は断ったという。「こんなに辛い役はないので『嫌です』と言わせていただきましたけど(笑)、(相手が)村井さんだということで。一緒に建設的にいろんなことを作っていけるし、ドキュメンタリーを見ているのかと思うほどリアルな芝居をする、すごい力のある人です」と、村井との再共演が、もう一度難役に挑む決意を与えたことを告白。

対する村井も「spiさんとじゃないと(直貴は)できない。このお兄ちゃんあっての弟です」と再タッグを喜び、さらに昨年結婚をしたことで「自分でも驚くぐらいに(劇中での)妻との接し方が変わったので、人生経験があるのとないのとでは違うなと。作品の見え方も変わって、兄弟だけではなく、もっと幅の広い家族の話なんだと感じました」と、前回との変化を明かした。

左から村井良大、spi(2月15日・大阪市内)

2022年度版は東京公演のみ。村井は「念願かなって大阪でやらせていただきます。本当に大事なテーマがたくさん散りばめられているので、それをお客様に持ち帰っていただきたいです」と希望を語ると、spiも「USJでハリー・ポッターを見たい。隙間を見て脱獄します」と役柄と絡めて笑いを誘いつつ、「自分が知らない世界が、こんなにたくさんあったんだと気付かされるミュージカル。ぜひ今すぐチケットを予約してください」と力強く締めくくった。

左から村井良大、spi(2月15日・大阪市内)

村井とspi以外には、優河、鈴木悠仁、青木滉平、稲葉通陽などが出演。演出は藤田俊太郎、脚本・作詞は高橋知伽江、音楽は深沢桂子が担当。3月の東京公演を経て、大阪公演は3月29日~31日に「SkyシアターMBS」(大阪市北区)にて。チケットはS席1万2500円、A席9000円で、現在発売中。大阪のあとは岡山でも公演あり。

取材・文・写真/吉永美和子

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