人助けとは…「米田家の呪い」週は根本ノンジ脚本の真骨頂

2025.2.28 08:15

『おむすび』第104回より。祖父・永吉(松平健)と話す結(橋本環奈)(C)NHK

(写真3枚)

今週放送された連続テレビ小説『おむすび』第21週は週タイトルにそのまま表れているように、「米田家の呪い」の集大成といえる週だった。結(橋本環奈)の父・聖人(北村有起哉)の胃がんの手術が成功して一段落としたところで、今度は糸島から祖父・永吉(松平健)と祖母・佳代(宮崎美子)が神戸の米田家を訪れて一騒動。しかしその1カ月後に、永吉は亡くなってしまった。

永吉の弔問にはラモス瑠偉(演:本人)や山内惠介(演:本人)、そして永吉がかつてお金を貸して助けた小松原親子(大鶴義丹/父と息子の一人二役)らが訪れ、これまでホラ話だと思われてきた永吉の「武勇伝」が事実だったことが明かされた。

困った人を見かけたら必ず助けてしまう「米田家の呪い」とは何だったのか。第21週にこめた思いについて、制作統括の真鍋斎さんと宇佐川隆史さんに訊いた。

『おむすび』第105回より。永吉の弔問に訪れたラモス瑠偉 (C)NHK

■ 21週では大事なことをストレートに。永吉だから語れた「人助け」の本質

第20週・21週の作劇について真鍋さんは、「聖人のがん克服、父と息子の和解、そして永吉の他界を描いた2週にわたるシークエンスは人の生死に関わる問題ですので、脚本家の根本ノンジさんと相談して、ひねらずにストレートに描きました。

第1回から繰りかえし登場する『米田家の呪い』という言葉は、大事なことをそのままストレートな言葉で言い切ってしまうことへのためらいと言いますか、作り手である我々のある種の『照れ隠し』でもありました。しかし昨今はストレートに言わざるを得ない時代のようにも感じ、歯痒さを感じるところでして。どこかではこの『照れ』を外して語るべきだとも思っていました。それをやるなら『米田家の呪い』が集約する21週に他ならないと考えました」と語る。

加えて、「永吉が結に言った『困っとう人ば助けるのに、理由やらいらんやろ』という台詞がありますが、ここにすべてが言い尽くされています。他者を思いやり、慮ることの大切さみたいなものを、永吉だから、また演じてくださる松平健さんだからこそ言えるといいますか。『すみません、ここはもうはっきり言ってください』という感じで(笑)」と真鍋さん。

『おむすび』第105回より。昔永吉に助けられた小松原弘樹(大鶴義丹)(C)NHK

■ 奇を衒わず、真っすぐに誠実に。根本ノンジ脚本の真骨頂

さらに宇佐川さんは、「21週のストレートさこそ、根本さんの脚本の真骨頂なのではないかと思っています。もちろん、伝えたいメッセージをさりげなく巧みに物語に落とし込む根本さんのストーリーテラーとしての手腕も見事で、どちらも大変に魅力的なのですが。私は、根本さんの奇を衒わず真っすぐに描く、誠実なところがとても好きです」と話した。

永吉が生涯を通じて体現した「米田家の呪い」改め「米田家の教え」は、結と聖人をはじめ米田家の人々にしっかりと託された。次週第22週「理想と現実って何なん?」では、さらに広く大きく「人助け」を実践しようとする結の奮闘が描かれる。

取材・文/佐野華英

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