京都・鴨川デルタに集う人々…「勢力図」があるあるだらけで話題

16時間前

こちさんが制作した「鴨川デルタ勢力図(2025年版)」(画像提供:@cochi_wan)

(写真5枚)

京都の賀茂川と高野川が交わるエリアに位置する三角地帯「鴨川デルタ」。そこには、祇園のような街並みとは対照的に自然豊かな河原が広がり、憩いの場として多くの人が思い思いのひとときを楽しんでいる。

先日、そんな様子を表した「鴨川デルタ勢力図」なるものがX(旧ツイッター)で話題に。「観察力すごい」「懐かしい!」「あるあるだらけでめっちゃ笑える」などといった120件を超えるコメントと4.5万いいねが集まった。

「鴨川デルタ勢力図」とは、そこに集う人々や動物たちをグループ分けした絵図。カップルやピクニックファミリーなど想像しやすい項目もあれば、「グローバル渋滞」や「鳥のおじさん」「橋の下よさこい」など現地を知る人にしか知り得ない少々マニアックなものも見受けられる。

なぜこの図を作ろうと思ったのか? そして図に書かれた言葉の指す意味は? 気になったので、作者であるこち(@cοchi_wan)さんに話を伺った。

■ なぜ作った?

多くの人が集まる「鴨川デルタ」(京都市左京区)
多くの人が集まる「鴨川デルタ」(京都市左京区)

──2022年にスタートし今回で2度目の制作とのことですが、「鴨川デルタ勢力図」を作ろうと思われたきっかけは?

週に1回くらいのペースでこのエリアはよく歩いていましたが、きっかけはアニメ『四畳半神話大系』(著者:森見登美彦)を観たことです。そこで鴨川デルタが聖地となっていて、さらに愛着を持つようになりましたね。グラフィックデザインが得意だったこともあり、この場所を図として可視化しようと考え制作を始めました。

──データは全てご自身の目で見た状況をもとに作られているのでしょうか?

私の独断と偏見も含まれていますが、実際に見聞きした情報をもとに作成しています。また、私よりも頻繁に鴨川デルタを訪れている友人がいるため、その友人からの情報を参考にしたりもしますね。

「鴨川デルタ勢力図(2022年版)」(画像提供:@cochi_wan)
今とどう違う? 2022年版の「鴨川デルタ勢力図」(画像提供:@cochi_wan)

■ 対岸は居心地が悪い? 気になる「京大領」と「同志社領」

──図をみているといくつか聞き慣れない言葉があるのですが、「鳥の羽おじさん」「橋の下よさこい」​とは何なんでしょうか?

「鳥の羽おじさん」​は、鳥の羽がたくさん付いた帽子をかぶり、いつも子どもたちと遊んでいるおじさんです。「橋の下よさこい」​は、賀茂大橋の下でよさこいの練習をしている、(恐らく)大学生のよさこいサークルの方々を指しています。

──「京大領」と「同志社領」も気になったのですが・・・。

これが「鴨川デルタ勢力図」を制作するきっかけのひとつでもあるのですが、鴨川デルタの西側に「同志社大学」、東側に「京都大学」が位置していることから、それぞれの大学に通う友人たちに話を聞くと「対岸は居心地が悪い」とお互いに感じていることが分かりました。

実際に観察してみると、各大学の学生が自然と自分たちの大学側に集まっている様子が見受けられ、この現象に興味を持ち、勢力図に組み込みました。

■ 2022年→2025年、どう変わった?

鴨川デルタで思い思いに楽しむ人々。トンビがたくさん飛んでいる(写真は10年以上前のもの)

──2022年の勢力図と2025年の最新版の勢力図を比べてどのように思われますか?

基本的な構図は大きく変わっていないように感じますが、初回に見られた「グローバル飲み会」はほとんど見かけなくなりましたね。その代わりにインバウンドの影響か、飛び石周辺では東アジアからの外国人観光客が増加し、これを反映する形で最新版では「グローバル渋滞」を追加しました。また、過去に見られた「大道芸・ダンス」は、「新しいデッキ」の影響か、最近ではあまり見かけなくなったように感じます。時代の移ろいを感じますね。

──最後に、2025年最新版の注目ポイントを教えてください。

注目ポイントは、特に単独感のある生き物にイラストを追加した点です。イラストを加えることで、その生き物がどのようなものかを視覚的にイメージしやすくなったと思います。

■ 当時遊んでいた「同志社生」にも聞いてみた

10年以上前の鴨川デルタ

12年前、同志社大学の学生で、鴨川デルタでよく遊んでいたという女性に「鴨川デルタ勢力図」について聞いてみた。

──当時を振り返りながらこの図を見てどう思われますか?

全域がトンビの狩場、すごく共感します! 小柄な友人はトンビからすると子どもに見えるのか、よくアイスやパンを一瞬で奪われてました(笑)。そして昔よりも人が増えてる印象ですね。昔はグローバル渋滞とかピクニックファミリーとかカップルはあんまり見た覚えがありません。

──「京大領」と「同志社領」の勢力図、共感されますか?

みんな自由に過ごしているので、勢力のような空気は感じてはなかったのですが、なんとなく過ごす場所は固定化しているのは分かります。

私は同志社生だったので、同志社側の川沿いで友だちとよくのんびり過ごしていました。コンビニでお菓子とか買ってなんとなく同志社側に戻っておしゃべりしていましたね。今となっては謎な行動ですが、当時は「同志社生はこっちやろ」みたいな感覚があったのかなと思います。

まもなく迎える桜の時期には観光客や学生たちで一層にぎわうであろう「鴨川デルタ」。勢力図を片手に集う人たちを観察してみるのも楽しいかもしれない。

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