デザインが「奈良推し」過ぎる!?関西初・おもちゃ美術館に潜入

12時間前

奈良らしい「おもちゃの平城京」コーナー

(写真10枚)

「人がはじめて出合う芸術は、おもちゃである」という哲学をベースに、良質な木のおもちゃで赤ちゃんから年配者まで多世代交流して楽しめる「おもちゃ美術館」。その全国13館目となり、関西初上陸の「奈良おもちゃ美術館」(奈良県生駒郡三郷町)が3月20日にグランドオープンする。

NPO法人「芸術と遊び創造協会」と総合監修し、三郷町からの委託を受けて、障がい者福祉施設などの運営に実績がある社会福祉法人「檸檬会」が運営する同館。全国の姉妹館すべて異なる特長を持ち、奈良は全国初の「障がい者が働けるインクルーシブな館」「大いなるごっこ遊びを通じ、奈良(関西)の文化や歴史を体感できる」という2点が最大の特長だ。

「FSS35キャンパス」(旧奈良学園三郷キャンパス跡地)内の旧大学図書館の建物を利用した「奈良おもちゃ美術館」外観
「FSS35キャンパス」(旧奈良学園三郷キャンパス跡地)内の旧大学図書館の建物を利用した「奈良おもちゃ美術館」外観

そして館内には約300種類、約5000点のおもちゃがあるが、「奈良推し」と言っても過言ではないほど、奈良らしいデザインのおもちゃが多いという。

一見すると、『おもちゃ』という言葉のイメージもあり、乳幼児向けの遊び場にも見える同館だが、子どもだけでなく大人も楽しめる多世代交流とはどんな感じなのか?さらに、『大いなるごっこ遊び』を通じた奈良の文化や歴史を体験とは一体?と思い、ひと足先に潜入した。

■ 大人もテンションあがる…「奈良推し」木製おもちゃ

「ごっこファーム」コーナーの奈良県の特産品である柿のおもちゃ。収穫体験ができる

「三郷町や奈良、関西の歴史文化を調べ、奈良館独自の木のおもちゃを企画し、ご用意しています」と広報担当者。館内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、三郷町のシンボルで、古くから風の神として信仰を集める「龍田大社(たつたたいしゃ)」や町内を流れる大和川、近くの信貴山をイメージした木製のおもちゃの数々だ。

「おもちゃのもり(山遊び)」コーナー。三郷町のシンボル「龍田大社」や「大和川」をイメージしたボールプール、「信貴山」をイメージした山がある

さわやかな木の香りが漂う気持ちの良い空間が広がり、大和川を模した木製ボールプール(奈良県産吉野ヒノキ材使用した約2万個の木のたまご)に入ってみると、ビックリするほど足ツボを刺激し、心地が良い。龍田大社でおみくじをひくと、「どこで」「だれと」「なにする」も占ってくれる。木のおもちゃを通じて、地域の宝を再発見できるのではないだろうか。

「おもちゃの森」のコーナーには、目を凝らすと、木製のカブトムシやクワガタムシ、コガネムシなどがおり、マグネット式なので実際に虫取り体験できる。レアなヘラクレスオオカブトもいるのだとか。

「おもちゃのもり(ひっつきむし遊び)」コーナー。個性的な原木のなかにさまざまな虫がいる。写真はヘラクレスオオカブト(レア)

年齢問わずテンションが上がりそうなのが「ごっこファーム」のコーナーだ。柿や梅、じばら等の奈良県の特産果物(マグネット式)や大和野菜を収穫ごっこし、鉄板焼きコーナーで料理ごっこできる。なかでも、さまざまなキノコが収穫できるコーナーでは、収穫したキノコがコマになるので、回して遊べ、おもしろい。

「ごっこファーム」コーナーのキノコ。収穫して、コマとして遊べる

そして、入館して非常に驚いたのが、「奈良推し」を感じるデザインの数々。至るところに奈良らしい「鹿」デザインのおもちゃがある。なかには、鹿版のシルバニアファミリーごっこができるおもちゃも。「おもちゃの平城京」には、ドミノ倒しが楽しめる五重塔もある。

まるで奈良の鹿版のシルバニアファミリーのようなおもちゃ

見た目も非常にかわいらしくオシャレで凝ったデザインなので、広報担当者は、「東京館は、学生さんカップルのデートスポットにもなっているんですよ。ゲームのへやにあるボードゲームで遊んだり、すべて撮影OKなので、デザイン性のあるおもちゃをSNSにアップしたりして楽しむ大人が本当に多いです」と魅力を語る。

また「関西初の館」なので、関西らしさも打ち出しており、同館オリジナルで、関西粉もん文化の体験ができる鉄板焼きも登場。タコ焼きにちゃんとタコや紅ショウガを入れるところから、くるくる回して焼くところまででき、お好み焼きを焼くなどのごっこ遊びができる。京都の伝統工芸「京コマ」の作家によるバラエティーに富んだコマなどもあり、どのおもちゃもユニークだ。

奈良館オリジナルの関西粉もん文化が体験できるコーナー

■ 多世代交流の担い手、ボランティアの学芸員

「おもちゃの平城京」コーナーにある五重塔ではドミノ倒しができる

多世代交流についてはどうだろうか?全国の姉妹館で、おもちゃと遊びの案内人であるボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」が果たす役割は大きい。同館でも養成講座を経て、約130名の「おもちゃ学芸員」が誕生。養成講座は、シニア層を中心に大変人気があり、来年度まですでに満席状態だという。

同館独自の役割として、奈良県の面積の7割は森林であり、林業も盛んなうえ、古代からの歴史も深い地であることから、奈良の自然や文化を伝える案内人にもなるという。「おもちゃ学芸員」の年代も幅広いので、まさに多世代交流の担い手といえる存在だ。

■ 日本独自スタイル、国産の木材へのこだわり

京都の伝統工芸「京コマ」は、さまざまなかわいいデザインで登場

奈良県のみならず、日本は国土の約7割が森林に覆われた世界第3位の森林大国。先んじておこなわれた竣工式では、三郷町と東京おもちゃ美術館とで「ウッドスタート宣言」の調印式もおこなわれた。

NPO法人「芸術と遊び創造協会」(東京おもちゃ美術館館長)の多田千尋理事長は、「国産の木材にこだわり、施設も欧米のマネではない、ジャパン(日本独自)で勝負しています。地域のふれあい施設でもあり、観光施設でもある。他館にくらべて、奈良は、大阪や京都などの周辺都市が多く、アクセスも良いので、インバウンドも含め、ものすごく可能性を秘めている」と熱く語った。

「奈良おもちゃ美術館」は、2フロア構成で、1階にライブラリーカフェ「MOKUMOKU Cafe 本のある山カフェ」、2階に約300種類・約5000点の国内外の木のおもちゃを用意。事前予約制で、料金(2階有料エリア)は、大人(中学生以上)が1300円、子ども(6ケ月~小学生)1000円。年間パスポートあり。土日祝のみ再入館不可。詳細は公式サイトにて。

取材・文・写真/いずみゆか

「奈良おもちゃ美術館」

住所:奈良県生駒郡三郷町立野北3-12-7
時間:2階有料エリア 10:00~16:00(木曜日休館)
   1階(ライブライリーカフェ、イベントスペース)9:30~16:30(変動あり、不定休)
料金:当日券 大人(中学生以上)が1300円(三郷町民800円)、子ども(6ケ月~小学生)1000円(三郷町民600円)

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