大阪・十三の現役キャバレーを貸切に!昭和レトロな空間どう遊ぶ?

2025.3.26 20:00

現役キャバレーにぴったり!昭和感満載のパフォーマンスを披露する柳家睦とTHE RATBONESの「ムッチ先輩」こと柳家睦と、「筋肉少年隊」こと竹田光珠、神野聖人、ガイアホックス

(写真17枚)

◆「こんな場所は東京にもない。ここでライブやプロレスができるのは、奇跡」

今回のイベント主催者のひとりで、柳家睦&THE RATBONESを率いる、柳家睦氏にライブ後に「グランドサロン十三」でのライブの感想とその魅力を聞いた。

柳家睦とTHE RATBONESのアンコールには、暗黒プロレス組織666&新宿二丁目プロレスも飛び入り。愛は地球を救いそうな大団円

──今回「グランドサロン十三」での主催イベントは2度目ですね。大阪でも「知る人ぞ知る場所」という印象のこの場所で、関東を拠点に活動されている柳家一座が、イベント開催することになった経緯は?

もともと、ここのすぐ近くライブハウス「ファンダンゴ」(2019年に十三での営業終了、現在は堺に移転)ではライブやってて、キャバレーの存在は知ってたの。でもあの「ファンダンゴ」はなくなっちゃって。昨年かな、ここでライブをやれないかと思って、人づてに問い合わせしたのが最初。

──ライブハウスやクラブだけでなく、ボーリング場とかいろいろな場所で演奏されていますが、今回のライブ、いかがでしたか?

「グランドサロン十三」の魅力っていうのは、やっぱりなにより「現役である」ということ。東京もキャバレーってのは、どんどん潰れていってる。ココみたいに「現役のグランドキャバレー」で演奏できる場所って本当にないのよ。「東京キネマ倶楽部」も雰囲気は近いけど、あちらは元キャバレーなんだよね。

だから、こうしてこの場所で今日みたいに貸切ってライブやプロレスができるのは、正直奇跡よ。俺らも演ってて楽しいし、お客さんも喜んでくれてる。この昭和的で、歴史ある建物が、この先もずっと残るかどうかも、わからないじゃない。関東では「熱海芸妓見番」(静岡県熱海市、1954年~)で『熱海音泉〜浮世離れ歌謡祭〜』を恒例でやってるし、こういう場所で、できるうちにできるだけ演りたい、という気持ちはあるね。

吹き抜けになった階段から、ステージに向かうバンドメンバーたち
2階の控室から階段を下りて、ステージに向かうバンドメンバーたち

──楽曲の世界観も、ダンサーを入れたパフォーマンスも、この昭和感満載のステージにハマっていました。さらに、今回は666と新宿二丁目プロレスとのコラボレーションで、より妖しく、より賑やかでした。

そうね、この昭和的なハコにできるだけ沿うような内容にしたいと思って。今回に限らず、俺らは、アクの強い、心のどっかにひっかかるような、中毒性のあるステージを目指してる。今はバンドメンバーに、ダンサーや女王様も入れて総勢20人とか。『サマー・ソニック』(2023年、2024年に出演)の時なんかは、神輿担ぐメンバー含め30人以上いたかな、基本大所帯。地方行くときは、ハイエース2台に乗れるだけ、乗る(笑)。

2階から撮影すると、吹き抜けになったホールには、ゴージャスなシャンデリア
2階から撮影すると、吹き抜けになったホールには、ゴージャスなシャンデリア

──確かに、いつもステージ上に乗り切らないくらいメンバーいますね。睦さんはバンドを率いる、というか、もうサーカス団長みたいですよね。

今までの人生ずっと音楽ありきで50代真ん中までやってきたけど(※編集部注:現在休止中のサイコビリーバンド・BATTLE OF NINJAMANZの中心人物)、音楽だけで人を感動させるには、もう遅すぎるって気が付いて。俺はもともとテレビっ子だったから、テレビと生のステージの違いはあるけど、ドリフの『8時だよ全員集合』のリメイクみたいなことをイメージしてね。前のバンドとはまた違う形でスタートしたのが今のバンド。

昭和の時代は、家族でテレビを囲んでたよね。そんで、突然ちょっとエッチなシーンがはじまると、家族で観てると気まずくて「はぁ、びっくりした!」みたいなこともあったじゃん。今はとにかく「コンプラ、コンプラ」言うけど、当時はそういうのもみんな大爆笑してたよな。頑張っている人の姿が笑える、みたいな。そんな昔のフォーマットを活かしながら、昔のまんまではない今の形でやってみようって。俺みたいなお調子者がどこまでいけるのか、っていうのを今はやっているつもり。まぁ、お調子者のなれの果てだな。

柳家睦&THE RATBONES が「グランドサロン十三」でライブ
柳家睦&THE RATBONESのナンバー「希望の街」では、メンバーでダンサーのAya Mermaidが、能登半島地震で被災した地元珠洲への思いを込めて踊る。60分のステージに真面目と不真面目が絶妙なバランスで凝縮されている

──そんな懐かしい昭和な世界観がこの空間にビタッとハマっていました。イベントを終えて、今後の展開はどうでしょうか?

そうね、いつかここでやってみたい野望があるのよ。子どもからおじいちゃんまで、みーんな無料で入場してもらって。1日ダンスとか縁日とか、家族3代で楽しんでもらって。グッズからなにから買ってもらって、最後は気分良く財布すっからかんで帰ってもらう、っていう…そういうのをいつかやりたい。

今度4月13日には、ここで赤犬と対バンやるのが決まってる。似ているようで、似てない2組だから、共演すると毎回面白い。ふざけているけど実は赤犬は、音楽性が抜群にいいよね。いつまでもこういう場所があるわけではないから、次もお客さんに、めいっぱい楽しんでもらいたいね。それが一番よ。

参加者たちと記念撮影
この日の出演者と参加者たちとみんなで記念撮影。音楽ファンもプロレスファンも大満足の一日に

◆ 「貸す側」も「借りる側」もこの「グランドサロン十三」を愛する同志

同サロンの宮田社長は「こういった空間を今から新たに作るのは難しい。希少になったグランドキャバレーという業態と、この空間を守り活かして、自分の生まれ育った街・十三のにぎわいに貢献できる『文化施設』にしたい」と話す。昨年は建築一斉公開イベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」で施設見学会を行なったり、高校生が主役のバンドイベントを行ったり、文化的な活動にも積極的に参加。文化的なアプローチで、今までキャバレーとは縁遠かった人たちへのアピールにも余念がない。

十三グランドサロンの宮田社長と、貸会場事業を盛り上げるスタッフたち
宮田社長と貸会場事業を担当するスタッフ。皆「グランドサロン十三」を愛してやまない

そして、今回取材した貸会場事業に力を入れるため、スタッフも新たに採用。スタッフのひとりは「ここにはじめて来たのは、ロックバンド・BUCK-TICK‎のお人形をお迎えしたばかりのとき。『推しキャラ撮影会』にお人形と一緒に参加しました。昔から耽美で妖しい世界にすごく惹かれるタイプで…。その後、是非ここで働いてみたい、とスタッフ募集に応募。それまで働いていたモノづくりの仕事から、全く違う世界に飛び込みました」と話す。

絵になる空間を活かした『推しキャラ撮影会』スタッフの推しのバンド・BUCK-TICK‎のお人形
絵になる空間を活かした『推しキャラ撮影会』。BUCK-TICK‎櫻井敦司さんのお人形が素敵に撮影できた

「貸す側」も「借りる側」もこの「グランドサロン十三」という空間を愛する者同士。昭和レトロなこの空間を、どうやって楽しむか。いろいろなアイディアがふくらみそうだ。貸会場の問い合わせ方法は公式サイトで確認を。

◇ 

柳家睦&THE RATBONESライブ情報※最新情報は公式SNSで確認を

■『渋谷猥雑番外地〜ダイナマイトコンサート2025 柳家睦&THE RATBONES』
2025年4月10日 渋谷「クラブクアトロ」
出演:柳家睦&THE RATBONES DJ HIKARU(BOUNTY HUNTER) DJ高橋盾(UNDERCOVER) DJなるきよ

■『ツアーパシフィック25~大阪 グランドサロン十三~』
2025年4月13日 「グランドサロン十三」
出演:柳家睦&THE RATBONE 赤犬 GASOLINE 

■『宝さがしの夜〜ツアーパシフィック25』
2025年4月12日 四日市 「CLUB CHAOS」
出演:柳家睦&THE RATBONES ORANGE KLUB TAKARA DJ's

■『熱海浮世離れ歌謡祭2025』
2025年5月5日 「熱海芸妓見番」
出演: 柳家睦&THE RATBONE 気志團 DJ横山剣(from クレイジーケンバンド)  ミラクルひかる
2025年5月6日 「熱海芸妓見番」
出演:柳家睦&THE RATBONES 怒髪天 OAU

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