圧巻、愛子の宣言シーン…麻生久美子オールアップの瞬間、環奈は

16時間前

『おむすび』第119回より。福岡・糸島への移住について話す愛子(麻生久美子)(C)NHK

(写真3枚)

放送を残すところあと6回となった連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)。「家族って何なん?」とタイトルされた第24週、3月20日に放送された第119回では、結(橋本環奈)の母・愛子(麻生久美子)が米田家の家族の前で、聖人(北村有起哉)と共に糸島に移住したいと宣言した。

永吉(松平健)亡きあと糸島で一人暮らしをする佳代(宮崎美子)が心配で、コロナ禍以降は定期的に糸島を訪れていた愛子。糸島への移住はいつのまにか、佳代が心配だからという理由ではなく、愛子自身がこのあと「どう生きたいか」を自問した末の答えとなった。このシーンの撮影秘話を、制作統括の宇佐川隆史さんと真鍋斎さんに訊いた。

■ 広義の「家族とは何なのか」──根本作品に常にある問い

真鍋さんは、「私たち制作陣も、愛子が思いを語るこのシーンはとても大事にしています」と話し、こう続ける。

「愛子の言葉の裏には、18歳で名古屋から家出してきて両親と仲違いしたまま死に別れてしまった彼女の後悔もあるのだと思います。聖人と結婚してからの愛子は神戸から糸島へ、糸島から神戸へと移り住みましたが、彼女はいつも『どこで暮らすか』よりも『誰と暮らすか』を中心に考えて、人間同士の絆を大事にしてきた人。基本的に、相手を放っておけないんですね。『おむすび』が最終的に目指したのは『人と人がどう結ばれていくのか』『米田家の人々はどんな選択をするのか』というテーマでした。その意味で、このシーンは愛子の人生の集大成ともいえるのではないかと」。

『おむすび』第119回より。福岡・糸島での愛子(麻生久美子)と佳代(宮崎美子)(C)NHK

また、脚本家の根本ノンジさんと共にドラマの制作を続けるなかで強く感じたことがあるという。「根本さんの創作の根底には常に『家族とは何なのか』という問いがあり、ドラマの作劇にもそれが現れているように思います。もちろん根本さんが直接的な言葉でおっしゃったことはないのですが、僕はそう感じました。ここで言う『家族』は、血縁や地縁のつながりだけの『家族』ではなく、『人と人がダイレクトにつながって家族のようなものになっていく』ということ。『おむすび』ではそういう『家族』のかたちを描いてきました」と真鍋さん。

『おむすび』第119回より。福岡・糸島への移住について話し合う米田家の人々(C)NHK

愛子が「自由」について語るくだりが印象的だった。糸島への移住を願う愛子は、「(自由には)いろんな責任もともなう」「これは自由じゃなくて、自分勝手なことかもしれないけど、許してほしい」と家族に言う。

この台詞の真意について、真鍋さんは「これは僕が是非とも入れたかった台詞で、根本さんにお願いしました。自由が暴走し、肥大化している現代社会において『本当の自由』というのは責任が伴い、返り討ちに会う覚悟すら必要なのだということを、ぜひとも言いたいと思いました」とコメントした。

■ 愛子の「宣言シーン」は米田家の信頼関係あってこそ。橋本環奈も感涙

さらに、このシーンは麻生久美子と北村有起哉にとって最後の撮影だったとのことで、そのときの様子について宇佐川さんはこう語る。

「麻生久美子さんにとっては最後に重みのある長台詞となりましたが、圧巻でした。麻生さんのお芝居が素晴らしいのはもちろんのこと、米田家の家族を演じた北村有起哉さん、仲里依紗さん、橋本環奈さん、4人が紡いだ信頼感と安心感があるからこそ、あのシーンができたのだと思います。米田家の4人が行き着いたところがここなんだと、胸が熱くなりました。カットがかかり撮影終了となったあと、橋本さんはポロポロと涙を流されていました。こういう関係性を築けたことへの感謝と寂しさと、いろいろな思いがあったのだろうと思います」。

明日放送の120回では、結の勤める病院に入院してきた身寄りのない少女・詩(大島美優)と結、歩(仲里依紗)の関係性に新たな展開が。「誰かが誰かのために灯す」物語のたどり着く先を見守りたい。

取材・文/佐野華英

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