おむすび最終回も「誰もが主人公」、福岡出身芸人がゲスト出演

2025.3.28 08:15

『おむすび』第125回より。牡蠣小屋を訪れた米田家の人々。写真左から、聖人(北村有起哉)、結(橋本環奈)、愛子(麻生久美子)、花(新津ちせ)、佳代(宮崎美子)(C)NHK

(写真4枚)

3月28日に最終回を迎えた連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)。1995年の阪神・淡路大震災を起点に、かつては心を閉ざしていた主人公・結(橋本環奈)と、それぞれに傷を抱えた米田家の人々が立ち上がり、誰かのために何ができるのかを問い続けたこの物語。エピローグでは、結、歩(仲里依紗)、聖人(北村有起哉)、愛子(麻生久美子)がそれぞれに自分らしい生き方を見つけ、これからも生きていく姿が描かれた。

身寄りのない少女・詩(大島美優)の未成年後見人となった歩は、結から「詩ちゃんはお姉ちゃんがひとりで育てるんやない。みんなで育てる。うちらが糸島や神戸の人たちにそうしてもらったように。みんなで」という力強い言葉をもらい、励まされる。

『おむすび』第125回より。詩を家族に迎える米田家の人々。写真左から、花(新津ちせ)、結(橋本環奈)、翔也(佐野勇斗)、詩(大島美優)、歩(仲里依紗)(C)NHK

聖人と愛子が糸島に戻ってから1年が経ち、聖人は「ヘアサロンヨネダ2号店」として出張カットをおこない、糸島の人々の髪と心を整える毎日だ。愛子は「よねだイチゴ農園」で新種のいちごの栽培に取り組みながら、キッチンカーでいちごのデザートの販売をしている。

■ 聖人がカーステでかけていた曲は…

聖人が海沿いの道を走らせる軽トラのカーステレオから、ジャズが流れていた。第98回で、胃がんの恐怖に怯えていた聖人が、孝雄(緒形直人)に連れられて行ったジャズバーで、生まれて初めて聴いたあのナンバーだ。風来坊の父・永吉(松平健)の影響で趣味を持つことに嫌悪感を抱いていた聖人が、物語の最後には自分らしい生き方を見つけ、趣味も見つけた。

聖人がカーステでかけていた曲は… (C)NHK

最終回の粋なはからいについて、制作統括の宇佐川隆史さんと真鍋斎さんに訊いた。真鍋さんは、「孝雄に教えてもらって初めてジャズを聴いた聖人は、あのときかなり心を動かされたのだと思います。以来、ジャズが好きになっているだろうという想定です。聖人が軽トラを走らせながら流すのは、音響効果のスタッフが『やっぱりこの曲だろう』ということで、MITCHさんの演奏による例の曲を入れました。聖人は今でも孝雄と連絡を取りあってジャズの指南を受けながら、CDを買ったりしているかもしれません」と話した。

■ 『おむすび』に似た朝ドラが流れていた!?

物語は今年の1月17日で締めくくられ、結は毎年、あの日避難所で結たちにおむすびを配ってくれた雅美(安藤千代子)に会いにいっているという描写がなされた。2025年1月17日の朝、米田家のテレビでは『おむすび』第75回(2025年1月17日放送)の冒頭が流れていた。この意図について、宇佐川さんはこう語る。

「1月17日の朝ということで、演出が『テレビから流れているのは「1.17のつどい」の模様にしたい』と願って、75回の映像を使いました。結や米田家の人々は毎年テレビの報道や特集番組を見ながら、『あの日』を意識しているのではないかと思います。米田家のリビングで流れていたのは、『おむすび』ではないけれど、震災を扱う朝ドラが流れていたという想定です」。

■ 福岡出身で食のエキスパート、ロバート・馬場が登場

また、最終回にはサプライズゲストも登場。ロバート・馬場裕之が、愛子にとって「いちご栽培の師匠」である井出(須田邦裕)の息子・康介を演じた。

井出(須田邦裕)の息子・康介を演じたロバート馬場(右)(C)NHK

馬場の起用について宇佐川さんは、「『おむすび』の糸島編では原口あきまささんやゴリけんさんなど、福岡にゆかりのある芸人さんにご出演いただきました。馬場さんは福岡のご出身で食のエキスパートでもいらっしゃるので、ぜひご出演いただきたいという声が当初からスタッフの間でも多かったんです。しかし、なかなかスケジュールが合わず、最後の最後に念願叶ってご登場いただきました」とコメントした。

『おむすび』は最終回を迎えたが、「誰もが自分の人生の主人公」であるこのドラマの世界の人々の毎日は、明日からも続いていく。

取材・文/佐野華英

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