衝撃、源内の死にあの傀儡師が…SNSに悲鳴【べらぼう】

2025.4.24 18:45

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。煙草を吸う平賀源内(安田顕)(C)NHK

(写真6枚)

江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。4月20日放送の第16回「さらば源内、見立は蓬莱」では、史実に残る平賀源内の殺人&獄中死の真相が、予想外の形で歴史の陰謀に組み込まれることに。とにかく心がしんどくなる展開に、SNSには悲鳴のようなコメントがあふれかえった。

■ 平賀源内に近づく怪しい2人…第16回あらすじ

田沼意次(渡辺謙)の依頼で徳川家基(奥智哉)毒殺の真相を探り、手袋に毒を仕込んだことを突き止めた平賀源内(安田顕)だったが、意次に調査の打ち切りを告げられた。源内は長屋を追い出され、大工・久五郎(齊藤友暁)に言われるがまま転居し、甘い香りがする煙草を愛煙するようになる。また、屋敷の普請を依頼してきた武士・丈右衛門(矢野聖人)から自分の世間の評判を聞くに連れ、源内は幻聴を聞くようになり、ついには久五郎を元凶とみなして襲いかかる。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。血のついた刀を持っていたことに驚く平賀源内(安田顕)(C)NHK

そこに丈右衛門が現れ、源内を気絶させる。源内を自害に見せかけようとする久五郎を丈右衛門は斬り殺し、さらにその刀を源内に持たせて、あたかも源内が久五郎を殺したかのように装った。源内は殺人犯として投獄されるが、彼の無実を信じる意次は真相を探ろうとする。しかし意次の息子・田沼意知(宮沢氷魚)は、手袋の犯人の手が意次や将軍・家治(眞島秀和)まで及ぶ恐れがあると諫言し、意次は源内を見捨てざるを得なくなる・・・。

■ 陰謀!? 家基の暗殺事件に巻き込まれたことに…

サブタイからして間違いなく、視聴者の誰からも愛された「非常の人」平賀源内先生の退場が決定していた第16回。源内が泥酔状態のときに、大名屋敷の工事の設計図を盗んだとして大工・久五郎を刺殺(殺した相手や動機には諸説あり)。そして牢屋のなかで「あめつちの 手をちぢめたる 氷かな」という句を遺して死んだ・・・とは言われているが、それらの史実を全部盛りしただけでなく、重三郎や意次に大きな傷跡を遺して去っていくことになるとは、第2回の陽気な登場のときに誰が予想できただろう?

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。平賀源内に戯作の執筆を依頼する重三郎。写真左から、重三郎(横浜流星)、大工・久五郎(齊藤友暁)、平賀源内(安田顕)(C)NHK

まず殺人を犯すに至るまでだけど、この『べらぼう』では陰謀説を取ってきた! まず久五郎が源内に近づき、引っ越しをさせて近所とのお付き合いと切り離し、さらに怪しい煙草をしきりにすすめてくる。一方屋敷の普請を依頼した武士・丈右衛門(殺害現場に居合わせたと言われる武士と同じ名前)は、世間の悪い噂を吹き込んで、源内の精神を追い詰めるという連携プレーを見せてきた。

この流れにSNSは「それ、吸ったらダメなやつでは?」「煙草の葉になんか混ざってません? 大丈夫?」「もしかしてタバコじゃなくて阿片とかでは・・・」「源内の怒りスイッチを押す依頼人」「源内先生の地雷を巧妙に踏んでああまで誘導した丈右衛門ひどい」「少しづつ怪しい葉っぱで精神を蝕み疑心暗鬼で錯乱させて崩壊させるとかトリックが周到で京極夏彦みたい」などの声が。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。ある事件が起こった平賀源内の「不吉の家」。写真左から、平賀源内(安田顕)、大工・久五郎(齊藤友暁)、武士・丈右衛門(矢野聖人)(C)NHK

この薬物+疑心暗鬼のダブルパンチで精神が崩壊した源内先生だが、どうやらそれが久五郎と丈右衛門がグルになって仕掛けたということが、2人の会話から判明。久五郎が自害に見せようとしたのに対して、丈右衛門は突然久五郎を袈裟斬りして殺人事件に仕立てた! これで結局は史実通りになったとはいえ、偶発的な事件ではなく、家基暗殺の陰謀に巻き込まれたことにするとは、エピソードの使われ方としてあまりに劇的すぎだ。

これにはSNSも「え? 濡れ衣???」「そういう話なの? ブッ飛んだ源内先生がやっちまったんじゃなくて」「このドラマの源内先生、とても人を斬るような人には見えないんだけどな・・・と密かに思っていたら・・・陰謀に巻き込まれてしまう物語にするとは・・・」「蔦重の恋をワクテカしながら聞いてたあの源内先生がこんな・・・こんな・・・こんな地獄が・・・」と、絶句するような言葉が並んでいた。

■ 「忘八が!」SNSで悲しいすれ違いを嘆く

しかしいろいろとカンが鋭い重三郎は、源内と交わした何気ない会話から、その死に意次が絡んでいると推察。すべての疑いを自分に向けさせることで、真相を探って殺される人間をこれ以上出さないようにする覚悟の意次は、その言葉を否定しなかった。それどころか「何を口走るか分からぬ狐憑きはおそろしい」と、あえて憎悪が自分に向くように。予告で流れた重三郎の「忘八が!」という言葉は、田沼様への発言だったのは驚きだったし、それを受け止めた意次の、悲しみと「これでいい」という納得が混じったような表情も味わい深かった。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第16回より。老中・田沼意次に訴える重三郎(写真左、横浜流星)(C)NHK

SNSも「こういった形で蔦重と田沼様が交わるとは・・・」「蔦重、オーバーキルだぞ」「この件を追求すれば、蔦重や須原屋さん、玄白先生だって殺されかねないから、だから終わりにしようとしたんだよ~!」「源内の残した原稿からして手袋の殺人鬼は意次のことではないか、意次を作品で貶めようとしているのではないかと勘違いしてしまったのかもしれない」「気遣って忘れろと命令した田沼様が忘八呼ばわりされる・・・」「重三の育ちで忘八が最大の罵声だってのも哀れだなぁ」と、悲しいすれ違いを嘆く言葉があふれていた。

■ またも傀儡師が…焼き芋食べる一橋治済に怒り

そしてこの事件の黒幕、大方の予想通り一橋治済の仕業ということが、源内のものとおぼしき原稿を焼き捨てていることで確定してしまった。その原稿が燃えるのを見ながら焼き芋を頬張っている姿に「治済ーー!!やっぱりお前かーーー!!」「傀儡師マジほんまええかげんにせえよ」「蔦重よ、本当の忘八はここにいる」「すげー邪悪な焼き芋だね」「大河史上最低最悪の生田斗真になってしまった。どこかでぎゃふんと言わされてほしい」と、今後の生田の人気を心配してしまうほどの苦言が飛び交っていた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第13回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第13回より。笑みを浮かべる一橋治済(生田斗真)(C)NHK

途中で本当にX(旧Twitter)の動きが重くなるほど、TLにいろんな憤慨と悲嘆の声が通常より激しく飛び交っていったこの16回。家基と源内がほぼ同時期に謎の死を遂げたことに目を付けて、どちらも治済の野望の犠牲になったということにするとは・・・思いついたとしてもあまり形にしたくないフィクションを「人の心がない」と言われるのを覚悟で描ききった脚本・森下佳子はもちろん、そのふてぶてしさを焼き芋を食べるだけで表現しきった生田斗真もお見事だった。そして平賀源内をエキセントリックに演じきった、安田顕の健闘ぶりは言わずもがな。その辺りは、また別のコラムで深く言及したいと思う。

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。来週の4月27日は、特別番組『大河ドラマ べらぼう ありがた山スペシャル』を放送。5月4日の第17回「乱れ咲き往来の桜」では、女郎・うつせみ(小野花梨)と駆け落ちした小田新之助(井之脇海)が重三郎の前に現れ、新たな販路を作るきっかけになるところが描かれる。

文/吉永美和子

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