市村正親、伝説の喜劇王・榎本健一役に意欲「久々に大きな山だと」

16時間前

音楽劇『エノケン』で主役を務める市村正親(2025年4月・大阪市内)

(写真4枚)

小説『火花』で芥川賞を受賞するなど文筆家としても活躍する、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹が、初めて演劇の戯曲に挑戦する音楽劇『エノケン』。伝説の喜劇王・榎本健一(エノケン)の人生を描き出す注目の舞台で、主役の榎本健一を演じる市村正親が4月、大阪市内で会見をおこなった。

高い身体能力と音楽性を武器に、戦前から戦後にかけて大きな人気を博した榎本健一。私生活では離婚、一人息子の死、病気で足を切断などの悲劇に見舞われながらも、死の直前まで笑いを追求しつづけた。そんな喜劇王の人生を、同じ喜劇人でもある又吉が浮かび上がらせるわけだが、市村は「絶対大ざっぱには作らない人だと思う」と、すでに信頼の言葉を寄せる。

音楽劇『エノケン』で主役を務める市村正親(2025年4月・大阪市内)

脚本の完成はまだ先ながら「又吉さんの小説を読むと、太い血管だけではなく毛細血管みたいなところまで、役(のなか)に流れているように感じるんです。又吉さんが描くエノケンの血液に、どこまで僕が入っていけるのか。俳優って細ければ細かいほど、芝居を探究しようと思うので、僕と相性はいいと思いますね。僕もしつこい方ですから」と期待を込める。

音楽劇『エノケン』で主役を務める市村正親(2025年4月・大阪市内)

またベテラン俳優のカンで「又吉さんはエッセイで、自分のことをかなり否定的に書いているけど、そういう方が書くものって、1+1=2じゃないものを出してくる気がします」と予想したうえで、「又吉さんが考えるエノケンと市村がミックスされることで、笑いがあって悲しみもあり、それでも生きていくという強さのあるものができたらいいなと思います」と抱負を語った。

榎本健一役については「チャップリンとエノケンは、昔から興味がありました。50年以上がんばってきたからこそ、こういう役と出会ったので、日頃の私の努力を褒めてやりたいです(笑)」と喜びを見せるとともに「実際の山は登りたくないけれど、舞台の山にはまだまだ登りたい。久々に大きな山だと感じています」と力強く語ったあと「…いいコメントだね」と自画自賛して、エノケンなみに報道陣を笑わせる場面も。

音楽劇『エノケン』で主役を務める市村正親(2025年4月・大阪市内)

さらに「歌って踊って芝居をして、とても激しい人生を送った人。終わったあとに席を立てないぐらいのものをお見せする覚悟です」と気合を見せていた。市村のほかには松雪泰子、本田響矢、豊原功補などが出演。演出はシライケイタが務める。10月の東京公演を経て、大阪は11月1日~9日に「COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール」で上演。チケットは1万2800円で、8月10日から発売開始。大阪のあとは佐賀、愛知、埼玉でも公演あり。

取材・文・写真/吉永美和子

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