
高山の恵みを満喫
JR大阪駅から特急列車で約4時間半。美しい渓谷の風景を経て高山駅に到着。飛騨産のヒノキが多用された駅構内に足を踏み入れると、「木の国・飛騨高山」にたどり着いたのだと実感する。高まる旅への期待を胸に、まずは腹ごしらえ。地元の食を満喫することも、旅の醍醐味! 市街地を南北に流れる宮川を越え、江戸時代からの面影を残す下二之町から大新町へ。古くから地元に伝わる郷土料理を味わえる[飛騨高山 京や]でランチタイム。高山ならではの食材との出合いに心もおなかも満足したところで、「古い町並」(伝統的建造物群保存地区)へ。気になるお土産物屋や酒蔵をのぞきつつ、日が暮れ始めたら、飛騨牛や地元食材をふんだんに使う[BISTRO KANZO]へ。気さくなシェフとマダムの食材に対する愛あふれるトークを聞けば、おいしさもひとしおだ。もちろん、[旅館本陣平野屋 花兆庵]にてチェックインから夕食後まで、心ゆくまで湯巡りを楽しむのもいい。街歩きの疲れを癒やしつつ、1日を心地良く締めくくろう。

コロイモや小豆菜など地元の伝統野菜を使った煮物盛り合わせと、朴葉味噌、山菜の珍味など、高山の魅力が詰まった在郷定食2,700円

ノスタルジックな空間で高山の郷土料理と旬を味わう
飛騨高山 京や
0577-34-7660
「昔ながらの高山の雰囲気を感じられるお店にしたくて」と、築150年の古民家を移築。店内は地元の民芸品や古い調度品で設え、まるでタイムスリップしたかのような不思議な感覚に。そんな風情ある空間でいただけるのは、朴葉味噌やこも豆腐などの郷土料理。飛騨牛や富山湾から届く新鮮な海の幸を、目の前で焼き上げる炭火焼き料理も人気だ。

左/野菜をたっぷり使った飛騨牛ビーフシチュー2,640円は3月末までの冬季限定メニュー。右上/A5、A4ランクのみを使用したランプステーキ(スープ・パンorライス付)3,630円。

主役は、地元野菜と飛騨牛!
創意に満ちたカジュアルフレンチ
BISTRO KANZOビストロ・カンゾ
0577-34-2363
高山出身のシェフが「食材の旨みを生かしたフレンチを気軽に楽しんでほしい」と開店したレストラン。実家で育てた野菜を中心に、高山の農家から直接仕入れる野菜を主役とするためメニューは日替り。秋は飛騨ナメコを、冬は赤カブをポタージュスープにするなど、伝統的な食材をアレンジした、ここでしかいただけない創作メニューも。夜は要予約、昼も予約がベター。

[旅館本陣平野屋]に宿泊する大人の女性だけが利用できる「りらっくす蔵」(左下)。土蔵を改装した浴室には、美肌効果が期待できる温泉が湧き出る。入浴後は宮川を望む休憩所でひとやすみ。

宿泊者限定の温泉施設で癒やしのひと時を
旅館本陣平野屋 花兆庵
りょかんほんじんひらのや かちょうあん
0577-34-1234
高山出身のシェフが「食材の旨みを生かしたフレンチを気軽に楽しんでほしい」と開店したレストラン。実家で育てた野「古い町並」や国指定史跡「高山陣屋」にも徒歩すぐ、と観光に便利な立地がうれしい宿。純和風の客室に加え、半露天風呂付き客室、モダンな設えの和洋室など気分やシーンに応じてタイプを選べる。館内にある温泉はもちろん、別館の展望風呂や向かいにある古い町家を改装した「りらっくす蔵」(中学生以上の女性限定)の温泉など湯巡りが楽しめるのも魅力。

お買いもの&おいしいさんぽ
徒歩で観光が楽しめるのも高山の魅力。朝は農家のおかあさんたちが出店する朝市からスタートし、歩き疲れたら老舗の喫茶店でひと休み。お昼は地元っ子に愛される麺の名店でランチを満喫して、お土産に伝統工芸やおやつを探して歩けば、大充実の1日に。

宮川沿いの道に鍛冶橋から北に約50mにわたり、多い時で約40店舗が出店。さるぼぼモチーフの巾着500円を買って、気分を上げてお買い物をスタート。「朝市牛乳」と銘打った飛騨[牧成舎]の低温殺菌牛乳「白い命」180円。インパクトのある瓶を思わずパシャリ。冬の保存食として親しまれる赤カブ漬け300円はお土産に。

おかあさんたちとの素朴なやりとりも楽しい
宮川朝市
江戸時代に始まった米市、桑市、花市などの市を起源とし、明治中頃から農家の人々が野菜を販売するようになり、現在のかたちに。四季折々の新鮮な野菜や果物、花をはじめ漬物や餅、味噌といった加工食品、みたらし団子なども販売。手作りのさるぼぼなど民芸品もそろう。

一番人気の中華そば・味玉入り並盛850円。50秒と短時間でゆで上がり、スープがよく絡む細ちぢれ麺を使用する。二代目が独自に開発したレシピをもとに、自社工場で製麺。濃厚な旨みのあるスープはそのままでもおいしいけれど、地元では途中で酢を加えて味変を楽しむのが、ツウな食べ方とされているとか。ぜひチャレンジをしてみて。

創業時の味わいを守る高山ラーメンの老舗へ
豆天狗 本店
0577-33-5177
1948年に創業した高山ラーメンの名店。鶏・豚を中心に魚介の旨みを生かした醤油ベースのスープは、あっさりしているのにコクがあり、最後まですっきり飲み干せるのが特徴。2020年5月に八軒町から安川通りへ移転し、より立ち寄りやすい立地になったのもうれしい。

「今では親子三代で来てくれるご家族も。地元の人に長く親しんでもらえてうれしい」と、笑顔で語る女将さんの朗らかな人柄も愛される理由の一つだろう。冬の一押しは、干し貝柱のかき揚げをのせた天ぷらそば950円。サクサクの天ぷらをつゆにたっぷりと浸せば、より旨みが増す。ルウから手作りするカレーうどんも人気者。

ほんのり甘く、コクのあるだしの味わいにホッ
そば処 大黒屋
0577-35-1227
高山の名店で修業を積んだ女将が約33年前に創業。地元産と北海道産のそばを使った手打ち麺は、ほど良いコシがありやわらかな食感に。カツオやウルメ、シイタケや昆布などでていねいにだしをひいたコクと甘みのあるつゆも自慢。食後に供される濃厚なそば湯もごちそう!

コクのあるネルドリップコーヒー450円と合わせたいのが、二代目マスターの奥様が手作りするスイーツ。人気のシュークリーム350円は「サクサクとした食感を楽しんでほしいので」と、注文ごとにクリームを詰めて提供する。甘さ控えめの軽やかな口当たりで、ペロリと食べられてしまう。創業時からのレシピを受け継ぐチーズケーキもぜひ。

老舗喫茶店で名物スイーツをお目当てにいっぷく
コーヒー ドン
0577-32-0968
約70年の歴史を持つ高山で最古の喫茶店。「内装はほぼ創業時のまま。粋人だった創業者が好きだった飛騨家具を今も大切に使っています」と二代目マスター。ダークトーンの落ち着いた空間に香ばしいコーヒーと甘い焼き菓子の香りが漂い、深いリラックスを誘う。

冬こそ歩きたい! “古い町並”

商人の町として発展し、現在も出格子が美しい町家や用水路が残る三筋は「古い町並」と総称される。冬季には「飛騨高山・7蔵のん兵衛まつり」も開催されるほど造り酒屋も多く、軒先に下る杉の葉を玉にした「酒ばやし」がいっそう風情を加えている。
“飛騨高山・7蔵のん兵衛まつり”って?
飛騨高山の町にある7つの酒蔵を巡る冬季限定イベント。「飛騨高山御酒飲帳」(1冊3,000円)を買うと7蔵でそれぞれ2銘柄の試飲が楽しめるうえ、オリジナルグッズなども手に入る。 ●開催期間:2021年1月23日(土)~2月28日(日) ●購入場所:中橋観光案内所、高山濃飛バスセンター、のん兵衛まつり酒蔵7軒(平瀬酒造店、川尻酒造場、平田酒造場、二木酒造、舩坂酒造店、原田酒造場、老田酒造店)

かわいい高山土産も、お忘れなく!

現代の暮らしになじむ“新しい”工芸品を
山田春慶店
0577-32-0396
「透漆」を塗り上げ、自然のままの木目を生かした春慶塗。高山に400年以上伝わる伝統工芸で、こちらでは「新しい時代の春慶塗を」と、コーヒーカップやワイングラスなどモダンな製品を販売。日常遣いできる豆皿1,850円やピアス3,500円などアクセサリーもお土産に人気。

目を引く個性派おやつから伝統菓子まで
稲豊園とうほうえん
0577-32-1008
1901年創業の老舗和菓子店。三代目が「伝統的な製法をベースに新しい和菓子を」と、店の路地裏で暮らす野良猫をモチーフに開発したのが、招福猫子まんじゅう(5個入り)1,380円。やわらかな色合いとまっすぐに見つめる無垢な表情に猫好きならずとも心奪われる。

ACCESS●電車●JR大阪駅→JR特急ワイドビューひだ・JR高山駅。大阪から約4時間半、片道7,920円(自由席利用)
