第122回 繰り返しますが、手抜きではなく工夫です。
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11月☆日
下北沢で、書店にイベントを見に行って出てきたら、路上に人だかりが。誰かが弾き語りをしているらしい。近づいてみてもわたしの身長では何も見えず、いっしょにいた知人が近くの人に聞いてくれた。「誰ですか?」「向井秀徳」。えー、まじっすか! 噂には聞いてたし、インターネットに動画が上がってたりするのは見たことあったけど、ほんまにこういうことあんねや! 東京やなあ、としみじみしつつ、背伸びしてもやはりほぼ見えず、手を伸ばして掲げたスマートフォンでなんとか姿を確認し、1曲聴けました。いやー、よかった。
11月☆日
すっかりラジオっ子になりましたわたし、土曜日はゴンチチの『世界の快適音楽セレクション』を聴いてます、というのは前にも書きましたが。この番組は毎週、不思議なお題で幅広いジャンルの曲がかかるのが楽しくて、11月はたとえば「十代の文化の音楽」「職業の音楽」「はさみこむ音楽」「降ってくる音楽・わいてくる音楽」「チャンスの音楽」。タイトルがずばりのときもあれば、バンド名とか歌詞に出てくるとか、あーそういうつながりかっていうひねった選曲のときもあり。一見音楽と関係ないようなテーマのときのほうがおもしろかったりします。今日はめっちゃ好みの音楽多かったなあ、というときも、おもしろい選曲やったな、というときもいろいろあるけどおおむね楽しく聴ける2時間。でも、どうしても今日の曲全然無理ってときがあって、それは「アーバンな音楽」の回でした。80年代っぽい、エレクトリックかつ妙にムーディーなあの感じ、夜の都会の高層ビル&高速道路を走る車が見えてくるような、アーバンな感じ、どうも苦手やねんなあ。こうしてまとまると自分の苦手がはっきりするのもおもしろい。
前に、ラジオ深夜便の音楽特集の時間に、なんやこれ、わたしのあかん歌ばっかりや、めっちゃつらいー、ってなったことあって、それが「デイヴィッド・フォスター特集」で、あんたやったんか!わたしが苦手なやつめっちゃ作ってたんは!となりました。いや、むしろ世界的な大ヒットばっかりやねんけどね、どうしてもあかんのよ、たとえば黒板ひっかいた音とかみたいに理屈ではどうしようもない感じなの……。でも、苦手なんはこれや、とずばりわかってためになった特集でした。
12月☆日
仕事中のおやつ問題。
家で仕事してると、なんやらちょこちょこ食べてしまう。手持ちぶさたでもあるし、脳を使うとエネルギー補給せなあかんというか。でも、体は動かしてないので摂取したカロリーは蓄えられていくばかり。なので、どれがましか、スーパーの食品売り場でめっちゃ成分表チェックして、探し中(スーパーで長時間棚のものを裏返しては凝視してる姿は相当怪しい……。すんません……)。
チョコレートやらスナック菓子、あとかりんとうとか日本のお菓子も、けっこうな糖分&脂肪分。小分けの袋がいっぱい入ってるやつが食べ過ぎなくて最適なんやけど、その小分けの袋でもだいたい100キロカロリー超えの脂肪4グラム前後。糖質制限流行ってるけど、食べたもの記録するアプリ使ってみると、やばいのは脂肪分。加工食品とか外食とかはとにかく脂肪分すごい。あと塩分。
さんざん成分チェックした結果、今のところ、好き、かつ、脂肪とか少なそうなのは、さきいか、雪の宿(2枚ずつ小分け)、サッポロポテト(小さいのが4袋縦につながってるやつ)、かなあ。あと、昆布の「とろべ~」っていう薄いやつ。
しかし、佳境に入るとどうしてもチョコレートとか食べてまうなあ。今年も、Rummyの季節やし……。
12月☆日
言うてるそばから、忘年会シーズン。
あかんね、食べてまうね。そして飲んでまうね。
40代になってから、あんまり飲めなくなってきて、特に醸造酒、日本酒とか赤ワインとかに弱くなってしまったのやけど、ハイボールとか(ウイスキーがいちばん好きなお酒です)、レモンサワーとか、あると飲んでしまう(あ、人と外食したとき限定です。家でも外で一人でもまったく飲みません)。最近ちょこちょこ話題にあがることもあるけど、アメリカでは健康志向でモクテルというノンアルコールカクテルを置く店がだんだん増えてるらしい。2018年にUAEのシャルジャっていう国に行ったとき、イスラム教でアルコールはあかんから、外国人向けのリゾートホテルやレストランでもまったくお酒がなくて(隣のドバイに行ったらあるとの情報を得て行ってみたら、巨大なショッピングモールの中の、別棟の数軒だけしか置いてなかった)、代わりにモクテルが充実してた。これはいいなあ、と思って、それは、お酒そんなにいらんなあというときでも、メニューにお酒類はめちゃめちゃ充実してるのに、ソフトドリンクがウーロン茶、コーラ、オレンジジュースしかないみたいなことがよくあって、そうするとつい目移りしてお酒類を頼んでしまうので、モクテルの種類あったらほどほどに飲みつつ楽しむこともできるよなあ、と。
採算の関係で難しいとも聞きますが、需要はあると思うねんなあ。
12月☆日
年末感があまりない。というか、年々、1年が経つのが早くなっていて、これはなんかSF的な現象に入り込んでるんちゃうか、と思うほど、あっという間に1年が過ぎる。2019年4月発売の『文藝』夏号から、岸政彦さんと大阪についてのエッセイを書いていて、わたしは自分が育った街としての大阪を書いてるので子供の頃からのことを思い出してる。こないだ高校時代まで書いたんやけれども、書いてると、うわー、なにこれ、3年間にこんないろんなことあったん!? ってなる。ようさん書いたようでも、書いてないことがまだまだ山ほどあり、その後の人生を変えるような映画や音楽にどんどん出会って、いろんなとこに行って、友達とあれこれあって……。いやー、すごい密度。今は、3年なんかあっという間で、3年ぐらい前のことと思ったら5、6年前、下手したら10年前やん! みたいな状態やのに。この現象ってなんなんやろ。
『文藝』に書いてる「大阪」では、80、90年代の心斎橋や梅田周辺のことをたくさん書いてます。扇町ミュージアムスクエア、シネマヴェリテ、北野劇場、毎日文化ホール、キリンプラザ、心斎橋アセンス、ナンバブックセンター、楽天食堂、カンテ・グランデの泉の広場店とアメリカ村店……。もうない場所も、今もある場所も書いてます。東京にいると、大阪文化ってお笑いとたこ焼きだけみたいに思われてるなあ、と感じることもあるのですが、大阪でわたしが受け取ったもの、見てきたものを、知ってほしいというのもあるし、知ってる人と話したいなあという気持ちで書いてます。
12月☆日
今回食べ物の話題が多いですが、掃除道具に続いて、便利で手間がからんもん紹介シリーズ、「おだしがきいたきざみあげ」(相模屋)です。これ、簡単に言うと、乾燥させた油揚げに味がついてるものなんですが、そのまま料理に入れられる。青菜とかといっしょに鍋にほりこんだらもうできあがり! めっちゃ便利! 油揚げって、だいたい2枚入りで、1人か2人分のおかずを作ろうとするとけっこう残るし、油抜きせなあかんし、日持ちもせえへんやん? それがこの刻んであって乾燥してある油揚げやと、ちょこっとだけでも使える。日持ちもするし。考えた人ありがとう、やでほんまに。
それで、これを新聞のエッセイに書いたんですね。実は以前、わたしが簡単な料理(1つの鍋に材料を順番に入れていけばできるもの)しか作らないと別のエッセイに書いたところ、感想に「女なのに臆面もなく手抜きを語り」って書かれたことがあったんですね。臆面もなく??? 手抜き??? はああ??? ですよ。「臆面もなく」っていうのはですね、たとえばわたしがデパ地下で買ってきたものとか人に作ってもらった料理を自分が作ったと偽って振る舞いなんらかの利益を得たとか、そういうことをしれっと書いたときに使う言葉なんですわ(←大阪のおっさんぽく読んでください)。小説や文章自体についての批判はなんぼでもええのですが、そうじゃない属性やら偏見やらに関わることにはそれはないで、と言います。ほんで、作業工程を減らすのは手抜きではないです、工夫です。……というエピソードとともにこのきざみあげを紹介し、実生活でもそういうことを言うてくる人が手伝うてくれるわけでもなし、言うとおりにしたら百円くれるわけでもなし、とエッセイに書いたんですね。しばらくして、同じ新聞の『折々のことば』という、鷲田清一さんが本や出会った言葉の引用に短い随筆を書く欄で紹介されました。この欄、読むの好きやし、鷲田清一さんの著書は愛読してまして、たいへんうれしく、内容といっしょにツイッターに書きましてん。そしたら、そうですよね、自分の好きなようにしたらいいですよね、きざみあげ買いに行きます、などのリプライがようさんきたのですが、その中にですね、「たまには手抜きもいいですよね。わたしはちゃんと作りますけど」と言うのがありました。えーっ!? この文脈でそのマウンティング!? となりました。
繰り返しますが、手抜きではなく工夫です。そして仕事じゃないんやし手抜き自体まったくどこも悪くないです。その人が楽に、暮らしやすいのがいちばんです。
ほかのことも、いろいろ言うてくる人はいますが、言うてきた人がその後の結果に(たとえば一生懸命やり過ぎて体調崩したとか、ほんとはやりたかったことができなかったとか)に責任取ってくれるわけではないし、その通りしたからといって褒めてもくれないしお金もくれないです。それどころか言ったことさえ忘れてるし、極端になると例の「自己責任」て常套句が返ってきます。なので、自分のためになることをやったほうがいいです、と思います。
12月☆日
今年は暖冬やね。全然寒くならへんね。東京に引っ越した14年前は、大阪より寒いやん、と慌ててそれまで着たことなかったダウンを買いに行ったのに、全然そんな寒さじゃなくなったなあ。
プロフィール
柴崎友香(しばさき・ともか)
1973年大阪生まれ。映画化された『きょうのできごと』で作家デビュー。2007年に『その街の今は』で第57回芸術選推奨科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、第24回咲くやこの花賞受賞。2010年に『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年に『春の庭』で第151回芥川龍之介賞受賞。著書に『青空感傷ツアー』『フルタイムライフ』『また会う日まで』『星のしるし』『ドリーマーズ』『よそ見津々』『ビリジアン』『虹色と幸運』『わたしがいなかった街で』等多数。
公式サイト:http://shiba-to.com/
権田直博(ごんだ・なおひろ)
1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
キレイ:https://naohirogonda.tumblr.com/
風呂ンティア:https://frontier-spiritus.blogspot.jp/
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